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「ガードレールや電柱に車をぶつけてしまった!」
人にケガを負わせなくて良かった・・・とホッとしたのも束の間、このような自損事故を起こした場合に”どう対処していくのが正しいのか?”という疑問を持つはずです。
たとえば、以下のような疑問です。
- 警察に連絡する必要があるのか?
- ガードレール・電柱などの所有者に連絡する必要があるのか?そもそも誰が所有しているのか?
- ガードレール・電柱の弁償をしなければならないのか?
- 車の修理に車両保険は使えるのか?
事故後の対応を怠ると、後々面倒な事になったり、自己負担が増えてしまう恐れがあります。
そのため、1つ1つしっかりと事故処理をしていきましょう。
分からないからといって、事故から逃げてはダメですよ。
そこで、今回はガードレール・電柱にぶつけた時の対応、弁償・修理などのお金・自動車保険に関する話などについて紹介します。
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ガードレール・電柱にぶつけた時の対応・連絡
ガードレール・電柱に車をぶつけてしまった時に、まずやるべき事は「危険防止の措置」です。
二次災害による事故を防ぐための行動ですね。
具体的な行動としては、以下の2つが挙げられます。
●運転車両を安全な場所へ移動させる(走行可能な場合)
●三角表示板や発炎筒を設置して後続車両に危険を知らせる
そして、危険防止の措置が完了したら、以下の各方面に連絡を入れます。
- ① 警察
- ② ガードレール・電信柱の所有者
- ③ 保険会社
連絡を入れる順番は、上記の順番通りです。
警察への連絡はなるべく事故直後に行いましょう。
それでは、各方面への連絡についてもう少し詳しく見ていきますね。
警察への連絡は義務
交通事故を起こしたドライバーには、警察への報告義務が課せられています。
これは「人身事故」でも「物損事故(自損事故)」でも同様です。
道路交通法第72条1項には、以下のように規定されています(抜粋)。
交通事故があったときは、当該交通事故に係る車両等の運転者等は、以下の事項を警察に報告しなければならない。
①交通事故が発生した日時と場所
②死傷者の数と負傷者のキズの程度
③損壊した物とその損壊の程度
④その事故に関わる車両の積載物と事故についてとった措置
「ガードレール・電柱との接触事故(こすった程度の事故)なら警察への届け出は必要ないかな?」
そう考える人もいますが、基本的には交通事故を起こしたら、どんなに小さな事故でも報告するのがドライバーの義務です。
上記の①~④の事項を頭で整理してから、警察へ連絡を入れるようにしましょう。
☆違反点数への影響や罰則は有るのか?
ガードレール・電柱にぶつかる事故は、物損事故扱いとなるので、ドライバーの義務を果たしている限り、それによって運転免許の点数は加点されません。
また、反則金や罰則もありません。
☆当て逃げした場合の罰則
ガードレール・電柱と接触事故を起こしても、ドライバーの義務を果たさずに、そのまま走り去ってしまう人もいます。
しかし、これは「当て逃げ」です。
当て逃げをしてしまうと、以下のような点数と罰則が課されます。
- 加点される点数・・・安全運転義務違反の2点と当て逃げの付加点数5点の合計7点(不注意の度合いによってさらに加点される場合も・・・)
- 罰則・・・報告義務違反となり、3ヶ月以下の懲役又は5万円以下の罰金
ただし、事故によってガードレールが変形したり、電柱が倒れてしまい、それが原因で後続車が事故を起こしてしまった場合には、「危険防止措置義務違反」となり、より重い罰則が適用されます。
その内容は1年以下の懲役又は10万円以下の罰金です。
警察へ連絡を入れれば、加点及び罰則を受ける事はないので、バレるかバレないか、逃げ切れるか逃げ切れないか、などのくだらない事を考えずに、速やかに連絡しましょう。
なによりドライバーの義務ですからね。
ガードレール・電柱の所有者は誰?どこに連絡すればいい?
ガードレールや電柱にも当然所有者がいます。
事故で損傷させてしまったのなら、その所有者にも連絡をいれておきましょう。
では、ガードレールや電柱の所有者は誰か分かりますか?それぞれの所有者は以下の通りです。
- ガードレール・・・国・都道府県・市町村などの道路管理者
- 電柱・・・電力会社・電話会社(電柱に所有者プレートが取り付けられています)
なお、ガードレールについては、基本的に設置場所が国道なら国、県道なら都道府県、市町村道なら市町村が管理しています。
ただし、区間によっては国道でも市が管理している事もあります。
ガードレール・電柱の所有者は、それぞれ上記のようになっているので、該当する所有者に連絡を入れて下さいね。
場合によっては、警察が所有者に連絡を入れる事もあるので、その辺は臨機応変に対応してください。
保険会社への連絡も必須
どのような事故でも保険会社へ連絡を入れるようにしましょう。
たとえガードレールや電柱に擦ったような軽い事故でもです。
なぜなら、保険会社への事故連絡が自動車保険を使用する条件となっているからです。
もちろんガードレール・電柱の弁償費用や車の修理費用が僅かな金額である場合には、結果として自動車保険を使用しない事もあります。
しかし、保険を使用するかどうかは後の話であり、また保険会社への連絡とは別の話です。
保険会社へ連絡を入れたからといって、保険の使用義務が発生する訳ではありません。
保険を使うかどうかは被保険者の自由です。
これは覚えておきましょう。
注:保険会社への連絡は事故当日でなくても大丈夫ですが、時間が経つほど、事故と車の損傷などとの因果関係が不明瞭になっていくので、保険金が支払われない可能性が高まります。
そのため、事故当日に保険会社へ電話をしておく方が良いでしょう。
ガードレールや電柱は弁償する必要がある?
ガードレールや電柱にも所有者がいる事は分かりましたよね。
これらの所有者が弁償を求めた場合には、当然事故を起こした人が賠償金を支払う必要があります。
ただし、擦った程度の事故の場合には、ガードレール・電柱の強度・機能に影響が出ないので、弁償を求められない事が多いです。
この判断は所有者・管理者次第です。
では、ガードレールや電柱の弁償を求められた場合、どれくらいの金額になるのでしょうか?それぞれについて見ていきましょう。
ガードレールの弁償金額はいくら?
ガードレールには、いくつかのタイプが有り、それぞれについて主に7種類の強度が設定されています。
つまり、ガードレールと一言でいっても、そのタイプ・強度によって弁償金額が変わってきます。
具体例を見ていきましょう。
まずは一般的なガードレールのタイプから。
なお、ガードレールの価格は神戸製鋼グループの「神鋼建材工業」を参考にしています。
「ガードレール」と言えば、上記の画像のタイプを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
このタイプは、強度によって以下のような価格設定になっています。
- 強度SC~SS(主に高速道路・自動車専用道路)・・・1m当たり19,500円~57,000円
- 強度C~A(主に一般道路)・・・1m当たり6,400円~18,200円
次のタイプはこちら。
これもけっこう街中で見かけますよね。
正式にはガードパイプと言うそうで、一般道路に広く用いられています。
このタイプも強度によって価格が異なり、1m当たり7,500円~17,200円という価格設定となっています。
ガードレールの2タイプの価格を見てきましたが、事故を起こした場所が一般道路か高速道路か、という違いによって弁償金額は大きく変わってきます。
また、紹介した価格は1m当たりの金額です。
ガードレールは3m~4mが1セットとなっているので、弁償となれば、基本的に上記の価格の3倍~4倍の弁償金額となるでしょう。
そして、ガードレール自体の金額に工事費用(人件費を含む)も加算されます。
そのため、弁償金額は10万円以上かかるのではないでしょうか。
電柱の弁償金額はいくら?
1から新しい電柱を作ることになれば、一本当たりの価格が8万円程度・設置費用が30万円程度というのが相場のようです(参考:NEWSポストセブン)。
もちろんガードレールと同様に電柱にも色々なタイプが有り、大きさ・太さなどにも違いがあるので、実際の弁償額は上記の価格通りにはならないと思います。
また、電柱の倒壊・電力や電話の支線の切断によって、停電・電話の不通といった障害が発生すると、その分の損害賠償も上乗せされる可能性があります。
そう考えると、電柱への衝撃の強さ次第で膨大な弁償金額になると思われます。
自動車保険で弁償は可能?
ガードレールや電柱との衝突事故は、自動車保険上、物損事故として扱われます。
つまり、弁償・修理費用を請求された場合には、「対物賠償保険」が適用されます。
ここまで見たように、ガードレール・電柱の損害状況によっては、弁償金額が膨大に膨れ上がるおそれがあります。
やはり、事故を起こした時には、警察及び保険会社への連絡を速やかに行うようにしましょう。
なお、ケガを負った場合には「人身傷害保険」や「搭乗者傷害保険」「自損事故保険」などが適用されます。
ガードレール・電柱との自損事故でも車両保険で車を修理できるのか?
このような場合一般型の車両保険を付けているならちゃんと保険金がおります。
しかし、エコノミー型の車両保険では補償されません。
どちらの車両保険を付帯するかで、保険料がかなり大きく変わってしまうので、悩みどころだと思います。
しかし、物損事故の発生件数が人身事故よりも多いことを考えると、一般型の車両保険を付帯した方が無難ですね。
なお、「ガードレール」や「電柱」に車をぶつける事故で、車両保険を利用すると「3等級ダウン事故」として扱われます。
【参考】ガードレールや電柱との事故件数
警察庁では、ガードレールや電柱、塀など、いわゆる工作物との事故の件数が集計されています。
2016年におけるそれぞれの事故件数を多い順に並べると、以下のようになります。
順位 | 対象物 | 事故件数 |
---|---|---|
1位 | ガードレール | 1,834件 |
2位 | 電柱 | 1,071件 |
3位 | 家屋・塀 | 850件 |
4位 | 分離帯 | 533件 |
5位 | 標識 | 234件 |
ガードレール及び電柱との事故が多くなっていますね。
また、こうした工作物との事故は、車体を擦ってしまうだけ、という軽い事故をイメージするかもしれませんが、命を落としている人も多数います。
自損事故は脇見運転や居眠り運転など、運転者の不注意が最大の原因と考えられています。
車両保険を使うくらいで済む軽微な事故なら問題ないのですが、死亡事故となると悔やんでも悔やみきれません。
安全運転を心がけて車を運転してくださいね。
まとめ
さて、ここまでガードレール・電柱との事故に関する内容を見ていきましたが、抱いていた疑問は解決したでしょうか?
今回紹介した内容をポイントを絞ってまとめると以下のようになります。
■ガードレール・電柱との事故のポイント
- 警察・所有者・保険会社に必ず連絡する事
- 物損事故は点数・罰則無し!(逃げると重めの罰則・・・)
- 弁償が発生する場合が有るが、対物賠償保険でカバー可能
- 車の修理費用は車両保険でカバー可能
自動車保険に加入していれば、ガードレール・電柱の弁償を恐れる必要はありません。
また車両保険を付帯してれば、車の修理費用だってカバー可能です。
そしてなにより、金銭的な心配がなくなるので、いざガードレール・電柱にぶつかってしまっても、「当て逃げしよう」という気持ちが芽生える事を防いでくれます。
もし自動車保険に加入していないのであれば、こうした自損事故に備えて、最低でも対物賠償保険が付帯された自動車保険に加入しておきましょう。
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