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自動車保険を契約する際に「車両保険に入るべきか否か・・・」と悩む人が多いのではないでしょうか?
車両保険を付帯すると保険料が大幅に上がってしまうので、なるべくなら外してしまいたいところです。
しかし、外してしまうと車の補償が無くなるので、もし事故を起こしたら・・・という不安がつきまといます。
このように「車両保険が有る時!」「車両保険が無い時!」のデメリットを考え出すと、なかなか結論が出せなくなってしまいます。
そこで今回は、車両保険の必要性を判断するポイントをいくつか紹介したいと思います。
車両保険の必要性を判断するポイント
車両保険を判断するポイントは以下の3つです。
- 保険料
- 車の古さ
- 経済的余裕
それぞれ詳しくみていきましょう。
高い保険料を支払えるのかどうか
車両保険に入った場合、保険料は「車両保険に入らない場合」のおよそ2倍の金額になります。
高い保険料の支払いが本当にキツイと感じるなら、無理に車両保険を付帯する必要はないでしょう。
では、実際「車両保険に入る場合」と「車両保険に入らない場合」の保険料がどれくらい違うのかを1つの見積例で比較してみましょう。
条件は以下の通りです。
●保険会社:イーデザイン損保 ●車種:プリウス(型式:ZVW40W)●等級:16等級 ●初度登録年月日:平成26年8月 ●使用目的:日常レジャー ●使用地:東京都 ●走行距離:5,000~10,000km ●生年月日:29歳(年齢条件:26歳以上補償) ●運転者の範囲:家族限定
■代表的な補償
●対人・対物:無制限 ●人身傷害保険:3,000万円(搭乗中のみ)■車両保険の内容(付帯する場合)
●タイプ:一般タイプ ●車両保険金額:260万円 ●免責金額:0万円-0万円
上記の条件で見積もった保険料がこちらです。
- 車両保険を付けた場合:63,620円
- 車両保険を付けなかった場合:28,980円
両者の差額は34,640円。
今回の場合では、車両保険を付帯すると保険料が約2.2倍にもなります。
ただ今回紹介した保険料はあくまで一例です。
6等級や7等級などの低い等級であったり、10代や20代前半の若い年齢であれば10万円単位の保険料になる事も多いです。
また、車の型式毎に設定されている車両料率クラスによっても保険料は大きく変わってきます。
漠然と「車両保険を付帯すると保険料が高くなるから外そうかな~」と考えている人は、決断する前に「付帯した場合」と「付帯しなかった場合」の保険料を見積もって、具体的な金額を基に車両保険の必要性について判断するようにしましょう。
保険会社によっても保険料は変わってくるので、複数の自動車保険の見積もりを取る事をオススメします。
なお、車両保険を「エコノミータイプ」にしたり、「免責金額」を設定する事で、車両保険を付帯した場合の保険料を安く抑える事ができます。
保険料の問題を少しは緩和できるので、検討してみてくださいね。
新車には必要!10年落ちなどの古い中古車は不要
新車を購入したのであれば、車両保険に加入する事をオススメします。
購入資金を支払ったばかりなのに、修理費用や再購入費用を負担する事は誰しも避けたいところですよね。
そうしたリスクは『車両保険』でカバーしておいた方がよいでしょう。
特にローンで購入している人は車両保険が必要です。ローンの支払いと修理費用・再購入費用の支払いの二重苦に悩まされずに済みます。
また、新車の車幅感覚やハンドル操作(取り回しや固さ)、制動力などを掴むまでにはある程度の時間がかかります。
運転に慣れていない状態は、自損事故も含めて事故を起こしやすい状態ですから、やはり車両保険に入っていた方が良いでしょう。
一方、10年落ちなどの古い中古車には車両保険は不要です。
もちろん、上記のようなリスクは新車と共通していますが、事故を起こしたとしても金銭的・精神的なダメージは小さいです。
古い車はそもそもの購入費用が基本的に安いからです。
また、車両保険を付帯したとしても補償される金額は、契約時点の市場価格相当額です(一定の幅があります)。
そのため、修理費用が補償金額を上回る事だってあります。
しかも保険料はそこまで安くなりません。
古い中古車に車両保険を付帯するメリットはあまりないので、車両保険に入る必要は無いでしょう。
なお、購入後2年目以降や比較的新しい中古車を購入する場合などについては、以下の記事も参考にしてください。
経済的な余裕
車両保険は修理費用や再購入費用などを補償する保険です。
これらの費用を自分の貯金からすんなり払う経済力が有るなら、車両保険に入る必要はないでしょう。
保険というのは、まさかの時の自分では負担しきれない損害などに備える為に入るものですからね。
さきほど新車には車両保険が必要!としましたが、修理代等を払える余裕が有るなら、車両保険に入らないという選択も合理的な判断だと思います。
結論的には、事故を起こしても自分で修理代を払える余力が有るなら車両保険は付帯しない、金銭的にカツカツなら車両保険を付帯して「もしもの場合」に備えるというのが正解です。 要は自分の経済的状態と事故を起こすリスクを考えて、どうすべきか?を個々人が考えないとダメという事ですね。
車両保険の加入率~乗用車は約43%~
損害保険料率算出機構によると、2016年度末時点の車両保険加入率は43.5%となっています。
ただこれは、営業用車両やバイクなども含めた全体の数値なので、以下に乗用車(普通車・小型車・軽自動車)だけの数値も紹介しておきます(損害保険会社のみのデータ)。
■乗用車の車両保険加入率
時期 | 加入率 |
---|---|
2016年3月末時点 | 51.6% |
2015年3月末時点 | 51.5% |
データを見ると、「車両保険は必要だ!」と考える人と「車両保険は不要だ!」と考える人は真っ二つに分かれている事がわかります。
とはいえ、個々人で状況が異なるので、今回紹介した車両保険の必要性を判断する各ポイントを参考に総合的に判断するようにしてくださいね。
必要な時だけ加入するという選択肢も有る
こちらの記事でも書いていますが、自動車保険は電話1本で契約内容を変更する事が可能です。
つまり、「今月は車両保険を付帯するけど、来月は車両保険を外す」という事も簡単に出来る訳です。
ですから、普段はサンデードライバーだから車両保険は付けないけど(あまり運転する機会が無い⇒事故を起こすリスクが少ない)、長期休暇の時は毎日運転する可能性が有るから、その時だけ車両保険を付けるという選択肢も有りと言えば有りです。
自分の状況に合わせて適切に保険内容を決めていきましょう!
なお、基本的に保険料は月割で計算されるので、契約内容の変更は月単位で検討するようにしてくださいね。
【注意】事故相手の保険から修理費用が支払われるから車両保険は不要?
車同士の事故であれば「事故相手の保険会社から対物賠償保険金を受け取れるから車両保険はいらないのでは?」と考える人もいます。
考え方としてはアリかもしれませんが、注意点が2点あります。
まず1つ目の注意点が「過失割合」です。
この過失割合によって、受け取れる保険金が減額され、自己負担が発生します。
たとえば、過失割合が「あなた:相手=20:80」であなたの車の修理費用が100万円だった場合、相手の対物賠償保険から支払われる保険金は「100万円×相手の過失割合80%=80万円」です。
残りの20万円は自己負担となります。
過失割合が0%になるのは、駐停車中に追突された場合や相手が赤信号を無視した場合などの極一部のケースだけなので、基本的に自己負担が発生すると考えておいた方がよいでしょう。
そして、もう1つの注意点が「示談」です。
示談により互いの過失割合及び賠償金額が確定し、保険金の支払いが行われます。しかし、示談が難航してしまう事も往々にしてあります。
当然、この場合は保険金の支払いも行われません。
一方、修理工場では、車の修理が行われます。
修理費用の支払いをある程度待ってくれるとは思いますが、示談成立前に請求される事もあるでしょう。
つまり、示談が難航すれば、修理費用の全額を一時的に負担する可能性が出てくるわけです。
車両保険に加入していれば、過失割合により減額された分がカバーされますし、また示談が難航しても車両保険からの先行払いを受けられるので全額を一時的に負担する事もありません。
事故相手の保険を頼りに車両保険の必要性を判断する際は、これらの注意点を考慮した上で決断するようにしてください。
まとめ
車両保険は事故により受けた車の損傷以外に盗難や飛び石、台風・洪水などによる損害も補償してくれます。
万が一の事を考えれば、なるべく付帯しておいた方が良いです。
ただ今回紹介した車両保険の必要性を判断するポイントを考慮して、外してしまうという決断も間違いではありません。
もし車両保険を不要と決めた場合には、将来発生するかもしれない修理費用等に備えて少しずつ貯蓄しておきましょう。
使う事が無かったとしても次の車の購入資金に回せますしね!
ファイナンシャル・プランナー監修(FP)からのコメント
黒須かおり(Kaori Kurosu)
2007年FP資格取得、保険会社、保険代理店をへて女性による女性のための独立系FP会社にて勤務。2016年、個人事務所FPofficeRapportを設立。女性を中心にマネーとキャリアのコンサルティングを行う。2019年個人事務所からFPラポール株式会社を設立し、代表取締役に就任。 現在延べ3,000人が参加したマネーセミナー講師や、企業研修、国や行政などでのセミナー講師などを務める。30代40代女性やファミリーなどを中心に個別相談をおこなうかたわら金融機関でのお客様の資産運用アドバイザーとしても活動経験あり。年間50本以上メディアへの執筆も行う。 <保有資格>CFP
車両保険に加入するかどうかは個人の判断になりますが、購入後間もない場合やローンで購入している場合などは加入する人が多いでしょう。
もし、大きな事故で車が廃車になるようなことがあったら、ローンが残ったままになってしまいます。車はすでに手元にないのにローンだけを支払っていくことは現実的ではありません。
少なくともローンがある間は車両保険に加入しておいうた方がいいでしょう。
また、購入後間もないときも同じです。ローンがなかったとしても車がなくなってしまっては、新たに購入することになるとその分お金がかかってしまいます。
さらに、事故だけではありません。
盗難や飛び石などの補償もあります。
いつまで加入するかの決まりはありませんが、自己負担できる金額まで車両の評価価格が下がってきたら、そのときに外すという選択でもいいでしょう。
ご参考:監修者一覧
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