この記事を読むのに必要な時間は約 12 分です。
福祉車両と言えば、介護タクシーやデイケアの送迎などには欠かせない車両です。
リフトアップ機能や回転シート機能など、普通の車にはない特殊な機能が付いているので、車単体の価格は高いです。
しかし、福祉社会の向上の為に、車購入時の税金軽減や助成金などの補助を手厚くしています。
特に消費税が非課税になるのは大きいですね。
本来、400万円の車を購入すれば、32万円の消費税が取られますが、福祉車両ならそれも有りません。
そして、福祉車両への優遇は「任意保険」にも存在しています。
それが「福祉車両割引」です。
そこで、福祉車両割引を採用している保険会社、割引率及び適用条件について見ていきたいと思います。
福祉車両を購入しようとしている方や所有している方は、自動車保険選びの参考にして下さいね。
⇒私が任意保険の保険料を4万円も節約できた理由はこちら>>
(見積もりが出来ます。)
福祉車両割引が有る自動車保険会社と割引率の一覧
保険会社 | 割引率 |
---|---|
共栄火災 | 3% |
あいおいニッセイ同和損保 | 3% |
三井住友海上 | 3% |
損保ジャパン日本興亜 | 3% |
東京海上 | 3% |
朝日火災 | 3% |
富士火災 | 3% |
JA共済 | 3% |
マイカー共済 | 7% |
以下の会社では福祉車両割引の適用が無いようです。
イーデザイン損保/セゾン自動車/SBI損保/セコム損保/ソニー損保/三井ダイレクト損保/チューリッヒ/そんぽ24/アクサダイレクト/AIU保険/ゼネラリ/CHUBB保険/日新火災
ご覧頂ければ分かるように、ほぼ全ての保険会社は割引率を「3%」に設定しています。
唯一、マイカー共済だけが他の保険会社の2倍超の割引率「7%」と設定しています。
マイカー共済が必ず安くなるわけでは有りませんが、見積もりを取っておきたいところですね。
なお、福祉車両割引を設置している保険会社の全てが「代理店型」の大手損保会社というのも1つの特徴です。
注:福祉車両割引はエコカー割引と併用できない事がほとんどです。
両方の割引条件を満たす場合は、割引率の高い方が適用されます。
【適用条件】福祉車両割引が受けられる車の種類
福祉車両割引は、以下の様な車両を保有している場合に、その割引を受けられます。
- ①福祉車両であること
- ②消費税非課税措置の対象車
- ③車検証上の車体形状が「車いす移動車」または「身体障害者輸送車」などの記載が有る場合
「②消費税非課税措置の対象車」とは、以下の「イ」又は「ロ」の構造・装置などを有している車を指します。
イ 身体障害者による運転に支障がないよう、道路交通法第91条《免許の条件》の規定により付される運転免許の条件の趣旨に従い、その身体障害者の身体の状態に応じて、手動装置、左足用アクセル、足踏式方向指示器、右駐車ブレーキレバー、足動装置、運転用改造座席の補助手段が講じられている自動車
ロ 車いす及び電動車いす(以下「車いす等」という。)を使用する者を車いす等とともに搬送できるよう、車いす等昇降装置を装備し、かつ、車いす等の固定等に必要な手段を施した自動車
また、「③車検証上の車体形状」については、主に以下の構造・装置などを有している車が該当します。
福祉車両割引が適用されるかを確認する際は、車検証の「車体の形状」の欄をチェックした方が早いですね。
「車いす移動車の構造要件」
1 車室には、車いすを確実に車体に固定することができる装置を有すること。
2 車いす利用者が容易に乗降できるスロープ又はリフトゲート等の装置を有すること。 等(引用:国土交通省「車体の形状及び構造要件」)
福祉車両割引の適用条件の「②」と「③」は、同時に満たす車両も有れば、満たさない車両も有るので、注意して下さい。
なお、②又は③の条件を満たしていれば①の条件を満たしていると考えて構いません。
保険会社毎の適用条件
さきほど紹介した福祉車両割引の3つの適用条件ですが、保険会社によって満たすべき条件が異なります。
各保険会社毎の適用条件は以下の通りです。
保険会社 | 適用条件 |
---|---|
共栄火災 | ①② |
あいおいニッセイ同和損保 | ①かつ②又は③ |
三井住友海上 | 不明 *1 |
損保ジャパン日本興亜 | ①②③ |
東京海上 | ①かつ②又は③ |
朝日火災 | ①② |
富士火災 | ①② |
JA共済 | ①② |
マイカー共済 | ①かつ②又は③ |
*1 ホームページ・約款などには、適用条件が記載されていませんでした。
詳細な情報については分かり次第掲載します。
「② 消費税非課税措置の対象車」を満たす福祉車両であれば、どこの保険会社でも福祉車両割引の適用を受ける事が出来ます。
なお、保険会社によって条件確認の為に証明書の提出を求められる場合が有ります。
その場合、「②」には車の注文書やパンフレットなど、「③」には車検証を提出するようにして下さい。
福祉車両割引の適用条件を満たす車の具体例
福祉車両割引の適用条件を満たす車は、「トヨタのウェルキャブ」や「日産 ライフケアビークル」などが該当します。
ウェルキャブやライフケアビークルという車種が存在するわけでは有りません。
実際には「プリウス」とか「日産 デイズ」などの車に介護用機能を付随させます。
それらをウェルキャブと総称しているだけです。
ただし、前述したように、保険会社によって福祉車両割引の適用条件に違いが有るので、注意が必要です。
新車で購入する時は、福祉車両割引の適用条件を満たしているかどうかをディーラーの担当者に確認しておきましょう。
おそらく事細かに説明してくれるはずです。
しかし、中古車を購入する時は注意が必要です。
その車が本当に「福祉車両の要件を満たしているのか?」をしっかりとチェックしてから、購入するようにしましょう。
自信が無いのであれば、新車を購入した方が無難です。
AIU損害保険の「障害者割引」の方が割引率も高いし条件も緩い!
ここまで自動車保険の福祉車両割引の割引率や適用条件などを見てきましたが、以下のように感じた人も多いのではないでしょうか。
「割引率が3%か・・・保険料の節約にあまりならないな。」
「車いす移動車などの適用条件が有るから、私の所有している福祉車両には割引が適用されない。」
確かにその通りですよね。そのように感じた人はAIU損害保険の「障害者割引」も検討してみて下さい。
障害者割引の割引率はなんと10%!また、家族に障害者手帳や療育手帳などを持っている人がいれば適用されます。
しかも福祉車両だけでなく、家族が所有している車両にも適用可能です。
福祉車両割引よりも割引率が高く、適用条件も緩くなっているので、一考の価値が有ると思いますよ。
基本的に8ナンバーの福祉車両は通販型自動車保険のネット見積が不可能
前述したように、福祉車両割引が有る自動車保険は代理店型ばかりでしたよね。
障害者割引が有るAIU損害保険も代理店型の自動車保険です。
割引制度が有る事自体は嬉しいのですが、「元々の保険料が高い」のがネックです。
それなら福祉車両割引が無くても「保険料の安い通販型自動車保険にしようかな」と考える人もいるかもしれません。
しかし、通販型の自動車保険では、基本的に8ナンバーの福祉車両のネット見積が出来ません。
カスタマーセンターに電話をして、見積・申込をする事になります。
つまり、最大1万円の割引を受けられるインターネット割引が適用されないんですね。
中には、福祉車両を契約対象外としている保険会社も有ります(イーデザイン損保などです)。
注:電話した結果、契約が出来ない場合や車両保険が付帯出来ない場合も有ります。
所有していた乗用車を福祉車両に改造して、車検証の型式欄に「改」などが記載された車両もネット見積が出来ません。
通販型の自動車保険は元々の保険料が安いので、インターネット割引が適用されなくても福祉車両割引が適用される代理店型の自動車保険より保険料が安くなる可能性は有ります。
ただし、一般の車両の場合と比べると、そこまで大きな差は生まれないかもしれません。
今後、高齢化社会が加速していく事を考えると、「福祉車両」にも対応したネット見積システムを構築・導入して、社会的責任も積極的に果たして行って欲しいものですね。
なお、3ナンバーや5ナンバーの福祉車両でも車検証などの情報によっては、ネットでの見積・申込が出来ない場合も有ります。
福祉車両は自動車保険の一括見積が出来ない
通販型の自動車保険で福祉車両のネット見積が出来ないなら、「自動車保険の一括見積を利用して安い自動車保険を見つけよう」と考える人もいるかもしれませんね。
しかし、自動車保険の一括見積は福祉車両そのものがサービス対象外なのです。
保険料が安い自動車保険を簡単に見つけられるサービスなのですが、残念ながら利用出来ません。
そのため、契約車両を福祉車両とする場合には、1社ずつ保険会社の見積を取って比較する必要があります。
コラム-交通事故と福祉車両
なお、交通事故等で家族が障害者になってしまった場合には、日々の生活のために「福祉車両」の購入が必須となると思いますが、なかなか保険会社が福祉車両を損害として認めてくれない事例が多々有るようです。
必ずしも、全ての保険会社が払い渋るわけでは有りませんが、在宅介護のために福祉車両を購入する場合には、その必要性についてキッチリと説明できるようにしておきましょう。
まとめ~福祉車両割引を採用していない会社も含め1社ずつ見積を取ろう~
福祉車両を対象とした「福祉車両割引」の内容を簡単にまとめると、以下のようになります。
- ほとんどの保険会社は割引率が3%
- 適用条件は消費税の非課税対象車であることなど
- 採用している保険会社は代理店型の自動車保険
割引率がそこまで高くない事や適用条件によって対象外になる事などを考慮すると、福祉車両割引を採用していない保険会社も候補として考えた方が良いでしょう。
障害者割引が有るAIU損害保険や元々の保険料が安い通販型自動車保険の方が安くなる可能性はあると思います。
ただし、福祉車両は「自動車保険の一括見積」のサービス対象外です。
そのため、根気よく1社ずつ見積を取って比較するようにして下さいね。
関連記事をチェックする