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エアバッグ割引やABS割引をはじめとする「安全装置割引」。
2011年頃までは、多くの保険会社で採用されていたようですが、今となっては全ての保険会社で廃止されています。
一体なぜなのでしょうか?
エアバッグ割引及びABS割引の詳細を見ながら解説していきます。
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エアバッグ割引を採用している保険会社は現在ゼロ
2015年7月以降、「エアバッグ割引」を採用している会社は有りません。
エアバッグは、車が衝撃を感知すると、車のハンドル部分から膨らんだ袋体が飛びてて、人への衝撃を緩和してくれる安全装置です。
当初は運転席のみにしか設置されていませんでしたが、その後改良が重ねられ、助手席やサイド部分にもエアバッグが設置されるようになりました。
割引対象となっていた保険は「人身傷害保険」や「搭乗者傷害保険」だけです。
対人賠償保険や対物賠償保険などのエアバッグによって被害を軽減出来ない損害を補償する保険は、割引対象外でした(「車を運転している人」を守る装置なので)。
割引率は10%に設定されている事が多かったです。
ABS装着車割引も廃止に
ABS搭載車に対して適用されていたのが「ABS装着車割引」です。
「対人賠償保険・対物賠償保険・人身傷害保険・搭乗者傷害保険」などの保険が割引対象となっていて、その割引率は5%で有ることが多かったです。
このABS装着車割引もエアバッグ割引同様に、次々と廃止されていきました。
そんな中、「マイカー共済(全労済)」だけは廃止せずに割引を適用してきたのですが、2016年2月をもって廃止が決定。
これでABS装着車割引を採用している保険会社は「0」になりました。
【参考】ABSとは
ABSとは「アンチロックブレーキシステム」の略称で、(急)ブレーキをかけてもタイヤがロックしないようにする安全装置です。
ABSは、タイヤがロックして以下のような危ない状況になるのを防いでくれているんですね。
- タイヤがロックしていない場合よりも停止距離が長くなる
- ハンドル操作による方向転換が出来なくなる
雪道で、車がスッ-と流れていってしまう現象を、イメージして頂ければ分かりやすいと思います。
ちなみに、東洋タイヤのサイトによれば、「ABS有りの車」と「ABS無しの車」を比較した時、車が完全停止するまでの距離は「ABS無しの車」の方が約1.3倍程度長くなるそうです。
(出典:第10回 ABSってなあに?より。停止距離の倍数は上記表より計算)
私も一度、ウェット路面でタイヤがロックしてしまい、全くハンドル操作が出来なくなった事が有ります。
その時は、前方にも後方にも他の車が無かったので、事なきを得ましたが、密集地帯でロックしていたら・・・と思うとゾッとします。
安全装置割引が廃止になった理由
多くの保険会社で採用されていた「エアバッグ割引」や「ABS装着車割引」を始めとする安全装置割引が廃止されたのは、エアバッグやABSなどの安全装置が標準装備になったからです。
内閣府によると、エアバッグ及びABSの装着率は以下のように推移してきました。
(出典:内閣府「道路交通の対策」)
エアバックに関して言えば、平成15年の時点で装着率はほぼ100%になっていますね。
ABSも平成24年に約98%まで上昇しています。
このように全ての車にエアバッグやABSが搭載されているなら、これらの装備による「事故時の被害軽減」や「事故率の低下」などは保険料を計算する上で埋没要素となります。
つまり、保険会社にはどの車も安全装置に関しては同じに見えるわけです。
そのため、エアバッグやABSなどの安全装置を搭載している車に、エアバッグ割引やABS割引で保険料を優遇する理由が保険会社には無くなったんですね。
こういった理由が有って、エアバッグ割引及びABS割引は次々と廃止されました。
ちなみに、イモビライザー(盗難防止装置)は2014年度における新車への装着率が約90%となっていて、100%まであと少しといった状況です。
従って、イモビライザー割引を採用している保険会社も少なくなっており、、2017年時点で2社のみとなっています。
まとめ~導入予定の「先進安全自動車割引」も同じ道を辿るかも~
残念ながら、エアバッグ割引やABS割引は廃止されてしまいました。
廃止されていなければ、ほぼ全ての車にこれらの安全装置が搭載されているので、多くの人が保険料の割引を受けられたんですけどね。
「多くの人が割引を受けられる」というのが、エアバッグ割引とABS割引の廃止理由というのも皮肉ですね。
なお、これらの割引との引き換えでは有りませんが、先進安全自動車割引の導入が予定されています。
自動ブレーキ搭載車などが対象です。
既に先進的な車を所有している人は、この割引に期待しておきましょう。
まだ導入されてもいない割引制度にこのような事を言うのも変な話ですが、先進技術が広く普及すれば、今回紹介したエアバッグ割引やABS割引のように廃止の道を辿るかもしれませんね。
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