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「4ナンバーの任意保険料は安い!」
このような事を聞いた事があるのではないでしょうか?昔からけっこう言われていますよね。
この話の根拠とされているのが、任意保険の契約内容の1つである「年齢条件」です。
「4ナンバーには運転者年齢条件特約が適用されないので、その結果として若年層(18~25歳)でも割高な保険料を負担する必要が無い」という内容です。
この事を鵜呑みにして、4ナンバー車を購入したり、他ナンバーを4ナンバーに改造したりする人がいるかもしれません。
しかし、ちょっと待った!
本当に4ナンバーの任意保険は安いのでしょうか?行動に移す前に、この点は確認しておいた方が良いでしょう。
そこで今回は「年齢条件によって4ナンバーの任意保険が本当に安くなるのか?」「他のナンバーと保険料を比較してどれくらい違いがあるのか」などについて見ていきたいと思います。
そもそも4ナンバーとは
4ナンバーとは、ナンバープレートの登録地域名の後の数字が”4″から始まっている自動車の事で、分類としては小型貨物車となります。
ちなみに、多くの人が乗っている普通乗用車は3ナンバー、小型乗用車は5・7ナンバーとなっています。
4ナンバーとして登録されるためには「用途」と「サイズ」を満たしておく必要があります。
【用途】貨物車と乗用車の別
車検証の用途の欄に「貨物」と記載されているか否かにより判別。
貨物と記載されていれば貨物自動車です。
【サイズ】小型とそれ以外の別
道路運送車車両法施行規則別表第一によれば、【全長4.7m以下、全幅1.7m以下、車高2.0m以下で、かつ排気量が2,000cc以下(ディーゼル車は無制限)の自動車】が小型自動車に区分されます。
上記の”用途”と”サイズ”の要件を満たした上で、リアバンパーに「最大積載量」を表示させると4ナンバーの小型貨物車となります。
4ナンバーの保険料は安いのか?
さて、ここからが当記事の本題です。
まずは、冒頭で紹介した「4ナンバーには年齢条件が適用されないので保険料が安くなる」という内容が正しいのかどうかを検証していきます。
上記の内容には、疑問を感じる部分が2箇所有ります。
1つずつ紐解いていきますね。
(検証対象車は「商用車」ではなく「個人所有の車」に関するものです)。
- 【疑問点①】本当に4ナンバーには年齢条件が適用されないのか?
- 【疑問点②】年齢条件が適用されない場合、本当に保険料は安くなるのか?
【疑問点①】について~4ナンバーに年齢条件を適用できる自動車保険はいくつも有る~
昔は4ナンバーに対して年齢条件が適用されなかったのかもしれません。
しかし、現在は契約車種が4ナンバーの小型貨物自動車でも”運転者年齢条件特約”を設定できる保険会社はいくつもあります。
■4ナンバーに年齢条件が適用される主な自動車保険
- SBI損保
- アクサダイレクト
- AIU保険
- イーデザイン損保 等
もちろん、いまだに4ナンバーに年齢条件を適用しない自動車保険もあります。
そんぽ24やチューリッヒなどです。
しかし、その数は少ないです。
このように、4ナンバーの年齢条件の適用については、各自動車保険で取り扱いが異なります。
全ての自動車保険で適用されないと勘違いしている人は、情報を更新しておいてくださいね。
【疑問点②】について~年齢条件が適用されない場合に保険料が安くなるのは嘘!~
年齢条件が適用されない4ナンバーなら保険料が安くなる!と言われていたのは、18歳~25歳の若い人達です。
というのも、任意保険の年齢条件は、若い人ほど保険料が高くなる仕組みになっており、それが適用されなければ「保険料が安くなるんじゃないの?」と考えられたわけです。
しかし、この考え方は間違っているんです。
(出典:そんぽ24)
これは4ナンバーに年齢条件を適用しない「そんぽ24」の説明文章です。
赤線を引いた箇所に注目してください。
最も保険料が高くなる「年齢を問わず補償」になる、と明記されています。
つまり、4ナンバーに年齢条件が適用されなくても、保険料は安くならないんです。
21歳未満の人(いずれにしても「年齢を問わず補償」になる人)は損得なし、21歳以上の人は軒並み損をします。
また、4ナンバーに年齢条件を「適用しない保険会社(そんぽ24)」と「適用する保険会社(SBI損保)」の保険料を比較すると、以下のような結果になりました。
以下は簡単ながら見積もりを取った前提条件です。
■見積もりの前提条件
- 自動車・・・ハイエース4ナンバー
- 型式・・・CBF-TRH200V-RRMDK
- 被保険者・・・等級9級の23歳男性
- 補償内容・・・対人・対物無制限、人身傷害保険3,000万円のみ
- 自動付帯される特約のみ・・・他車運転特約、無保険車傷害特約、自損事故特約
■そんぽ24・・・56,360円
■SBI損保・・・43,680円
結果は、年齢条件を設定するSBI損保の方が安くなりました。
つまり、4ナンバーだからと言って若年層の保険料が安くなるとは限らないという事ですね
ただ、今回は2社からしか見積もりを取っていませんし、前提条件も1個だけです。
他の会社で見積もりを取ったり、前提条件を変えれば結果が変わるかもしれません。
また、4ナンバーに年齢条件が適用されないダイレクト型自動車保険と適用される代理店型自動車保険を比較すると、ダイレクト型自動車保険の方が安くなる事も十分に有り得ます。
いずれにしても、4ナンバーに年齢条件が適用されないからといって、必ず保険料が安くなるわけではありません。
この点についても勘違いしないようにしてくださいね。
3ナンバーと4ナンバーの保険料を比較
次は、そもそも4ナンバーの保険料が本当に安いのか?という点について見ていきたいと思います。
比較対象は、ハイエースの3ナンバーと4ナンバーです。
なお、比較車両は”改造車”ではなく”純正車”で行っています。
(参考:改造車でも見積もりして自動車保険に加入できますか?)
比較する主な見積条件は以下の通りです。
- 保険会社:SBI損保
- 年齢・等級:22歳(年齢条件21歳以上補償)、10等級
- 車種:ハイエース
- 主な補償内容:対人・対物無制限、人身傷害3,000万円、車両保険無し
保険料の見積結果がこちら。
ナンバー | 保険料 |
---|---|
3ナンバー | 48,090円 |
4ナンバー | 40,980円 |
ハイエースの3ナンバーと4ナンバーの保険料を比較すると、4ナンバーの保険料の方が安くなりました。
ただ、車両のサイズや排気量などが違うので、順当な結果と言えるかもしれません。
なお、今回の比較結果はあくまでハイエースの特定のグレードを比較した場合です。
あなたが所有又は購入を考えている車種では、結果が異なる可能性も有ります。
任意保険は契約者や契約内容などによって保険料が大きく変わるので、必ず契約前に各自動車保険の見積もりを取って、比較するようにしてください。
【補足】ハイエース所有者向け
ハイエースには、他にも1ナンバーと2ナンバーがありますが、1ナンバーについては下記記事を参考にしてください。
また2ナンバーについては、基本的に通販型の自動車保険では取り扱いがありません。
あと、中古車で5ナンバーのハイエースが販売されていますが、5ナンバーのハイエースは改造車となります。
そのため、ネットで見積もりを取ることはできません。
5ナンバーハイエースの見積もり保険料を載せているサイトも有りますが、あまり参考にしない方が良いでしょう。
4ナンバーの自賠責保険料はいくら?
保険と言えばもう一つ”自賠責保険”があります。
4ナンバーの自賠責保険料は安くなるのかについても検証してみましょう。
自賠責保険は一般的には、車検の期間と同じ期間の保険を契約します。
- 3・5ナンバーの乗用車は、新車が3年、以後は2年毎
- 4ナンバーの軽貨物は、新車が2年、以後も2年毎
- 4ナンバーの小型貨物は、新車が2年、以後は1年毎
新車購入後3年間の自賠責保険料はどうなるか計算してみます。
自賠責保険の金額は2019年4月1日以降に契約した場合の金額(本土契約)を使っています。
■3、5ナンバーの乗用車の自賠責保険料
新車購入時点では37ヶ月の自賠責保険を契約する事になるので、保険料は36,780円となります。
参考:自賠責保険料の37ヶ月とか25ヶ月は何のために有る?どんな時に使う?
■4ナンバーの軽貨物の自賠責保険料
軽貨物の自賠責保険料は、軽自動車の検査対象車と同じです。
今回は「新車購入時の25ヶ月分の自賠責保険料」に「車検の時に必要となる24ヶ月分の自賠責保険料の半額」を加算して比較します。
25ヶ月分:25,880円
24ヶ月分の半額:25,070円÷2=12,535円
合計:38,415円
■4ナンバーの貨物の自賠責保険料
小型貨物の自賠責保険料は、新車購入時の25ヶ月分に車検時の12ヶ月分を加算して計算します。
25ヶ月分:30,460円
12ヶ月分:17,350円
合計:47,810円
これらをまとめると以下のようになります。
ナンバー・種類 | 自賠責保険料 |
---|---|
3、5ナンバーの乗用車 | 36,780円 |
4ナンバーの軽貨物 | 38,415円 |
4ナンバーの貨物 | 47,810円 |
自賠責は長期契約をすると割安になるので、37ヶ月契約が出来る3,5ナンバーが一番安いという結果になりました。
軽貨物も37ヶ月契約は出来るのですが、37ヶ月契約をしてしまうと車検と自賠責保険の更新時期がずれてしまい、知らないうちに無保険車になっている可能性が有るので、あまりおすすめは出来ません。
ちなみに、4ナンバー軽貨物の37ヶ月契約の金額は35,610円と最安になります。
車検と自賠責保険の更新時期をうまく調整できるなら”37ヶ月契約”をしても良いかもしれません。
小型貨物車は25ヶ月契約が最長となっているので、その他のナンバーと比べると自賠責保険は少し割高になります。
車検の際に、車検2回分の24ヶ月契約(合計で48ヶ月分の契約)をする事も出来ますが、それでも新車から3年間(25ヶ月分+24ヶ月分の半分)の自賠責保険料は45,425円と一番高い金額となります。
【参考】4ナンバー車を借りる場合の保険
なお、引越しなどの為に1日だけ4ナンバー車(小型貨物車)を友人・知人から借りるような場合は、1日単位で契約できる東京海上のちょいのり保険などの「ワンデイ保険」に加入しましょう。
1日500円~1,000円ほどの保険料で契約できます。
ただし、ワンデイ保険はレンタカー・カーシェアリングが契約対象外なので、任意保険込みのレンタカー業者等を選ぶようにしてくださいね。
まとめ
以上見てきたように、任意保険に関しても自賠責保険に関しても“4ナンバーだからと言って保険料が安くなるわけでは無い”という事が分かりました。
(もちろん前提条件によっては安くなる事も有ります。)
特に任意保険に関しては、各社の見積もりをしっかり取るのが大切である事を再認識出来ましたね。
なお、自動車保険ではなく車にかかる税金は確かに安くなるそうですよ!
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