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交通事故に遭遇し、被害者の方が損害賠償金を受け取ることになった場合、この受け取った損害賠償金には税金はかかるのでしょうか。
この記事では対人賠償金だけでなく対物賠償金など様々なケースの賠償金と税金との関連性について見て行きたいと思います。
非課税となる所得
人がお金や物をもらった場合、基本的には税金を払わなければなりません。
しかし、中には所得の性格上、税金をかけることがそぐわないものがあります。
例えば、雇用保険の失業手当や、生活保護の給付、健康保健や国民健康保健の保険給付などが該当します。
求職中はお金がなくて何とかやりくりをしていくことになりますが、失業手当をもらったからといって税金をとられてしまうと生活が一向に楽になりません。
生活保護や健康保険給付も同様に、税金をかけてしまうと給付を受ける意味が損なわれてしまう為、非課税となっています。
そして、税金をかけることがそぐわないものには、慰謝料や損害賠償金も含まれています。
損害賠償金は原則非課税!
国税庁が出している所得税の基本通達では、以下のような損害賠償金等を受け取ったときは非課税とする旨規定されています。
- ①心身に与えられた損害について受ける慰謝料
- ②不法行為その他突発的な事故により資産に加えられた損害について受ける損害賠償金など
- ③心身又は資産に加えられた損害につき支払を受ける相当の見舞金
従って、基本的には損害賠償金については税金はかかってきません。
所得税が非課税ということは、所得税を元に計算される住民税についても非課税となります。
では、上記の3つの内容をみていきましょう。
①心身に与えられた損害について受ける慰謝料
事故でケガをしたことで受け取った治療費や慰謝料、ケガで働けなくなってしまったことで収入が減る事(休業損害)に対する補償の意味合いとしての損害賠償金のことです。
②不法行為その他突発的な事故により資産に加えられた損害について受ける損害賠償金など
事故で自動車に傷ができたり、廃車となった様な場合に受け取る損害賠償金のことです。
①との違いは、人に対する損害か物に対する損害かにあります。
車両保険金とか対物賠償金が該当しますね。
③心身又は資産に加えられた損害につき支払を受ける相当の見舞金
見舞金は常識の範囲に限って(社会通念上妥当な範囲であれば)非課税となります。
具体的にいくら以上もらうと課税されて、いくら以下だと非課税かという点は気になるところですが、その人の職業や収入などによって異なるので一概にいうことはできません。
事業用資産に対する損害賠償金には税金がかかる?
上記の様に、交通事故の結果受け取る事となった損害賠償金は原則として非課税ですが、損害を受けた資産が「事業用の資産」の場合には注意が必要です。
■商品が破損したことに対する賠償金■
商品の搬送中に「交通事故で商品が破損した!」ということは意外によくあります。
この事故により、商品に対する損害を補うために損害賠償金を受け取ることになった場合は、収入金額(いわゆる売上)と同じような意味合いがあるので、事業所得を計算する上では収入金額として扱われることになります。
■仮店舗の賃借料を受け取った場合■
次に、お店を経営していて、自動車がいきなりお店に突っ込んできて被害を受け、しばらくの間営業ができなくなり仮店舗で営業することになったような場合を考えてみましょう。
被害者は損害賠償金として仮店舗の賃借料見合いの金額を受け取ることがあります。
これはもともと事業用の必要経費になる賃借料を補填するための損害賠償金なので、非課税とはならず所得の計算上は収入として考える必要があります。
■営業車両が廃車になってしまった場合■
最後に、事故で事業用で使用していた車両が廃車となってしまい、損害賠償金を受け取ることになった場合を考えてみましょう。
この場合は、自動車の損害に対して受け取った損害賠償金については非課税です。
ただし、事業所得を計算するために車両の資産損失の金額を計算する場合は、損失額から損害賠償金などによって補てんされる部分の金額を差し引いて計算することになります。
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