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日本で車を所有している人は、殆どの方が自賠責保険だけでなく、任意保険にも加入しています。
万が一事故を起こし損害賠償問題になると、一生かけても払えない様な大きな金額を請求される可能性があります。
この「万が一」に備えるのが任意保険ですが、日本で加入していれば、海外に旅行や仕事で行ったときに交通事故を起こしても補償されるのでしょうか?
日本の自動車保険は海外では使えない!
日本で加入した任意保険は、基本的には海外では使うことはできません。
理由としては、以下の二つが考えられます。
- ①保険の性質が原因
- ②保険の対象が原因
①保険の性質が原因
自動車保険は交通事故に遭う可能性(リスク)に基づいて高度な統計や計算を経て、保険料を決定しています。
そしてこのリスクは日本国内で交通事故が発生することを前提として計算がされています。
従って、海外での交通事故は保険料の計算対象外となっています。
それなのに海外での交通事故まで補償してしまうと、預かった保険料以上に支払う保険金が増えてしまい、保険会社の経営が成り立たなくなってしまいます。
その為、海外での交通事故は補償対象外となるのです。
②保険の対象が原因
自動車保険は人に対してかけるのではなく、使用している車に対してかけることになります。
その為、他人の車に乗って事故を起こしたとしても、自分が入っている保険による補償を受けることは出来ません(他車運転特約を付帯させていれば、自分の保険で補償が受けられます)。
従って、日本で自動車保険に入っているからといって、海外でも自動車保険が使えるということにはならないのです(海外では他車運転特約も使う事は出来ません)。
「日本の保険に入っている車を海外に持っていけば、海外でも補償を受けられるのでは?」と思った方もいるかもしれません。
しかし、①と②の両方の理由を合わせて考えると、それも使えないということが分かりますね。
海外で自動車保険を使うには?
では、海外で運転をするときには自動車保険はどうしたらいいでしょうか?海外に行く目的は、旅行や単身赴任、家族移住、留学と様々ですが、保険を使う方法としては以下の二つがあります。
- ①海外旅行保険に自動車運転損害賠償責任特約を付帯させる
- ②渡航先で現地の保険に加入する
①海外旅行保険に自動車運転損害賠償責任特約を付帯させる
これは、海外旅行をする方にオススメの方法です。
海外旅行をする時には多くの方が「海外旅行保険」に加入しますよね。
しかし、通常の海外旅行保険では、自動車の使用や管理上の賠償責任については補償対象外となっています。
そこで、海外旅行保険にオプションで「自動車運転損害賠償責任特約(名称は会社によって異なります)」を付帯させるのです。
この特約を付けておくと、海外でレンタカーを借りて交通事故を起こしたときに補償を受ける事ができます。
但し、以下の様な注意点があります。
- 補償は無制限ではなく「対人1億円、対物500万円」ということが多い
- 補償が受けられる国が、アメリカ若しくはカナダに限定されることが多い
- 現地のレンタカー会社で保険に加入した場合は、そちらが優先される
- 現地で購入した車や知人の車を運転している時の事故は補償されない
なお、海外で事故に遭遇したときの自分自身のケガの治療費については、自動車運転損害賠償責任特約をつけていなくても、通常の海外旅行保険でカバーされているので問題無く補償されます(日本で医療保険に入っていれば利用できる可能性もあります)。
②渡航先で現地の保険に加入する
海外赴任や留学、移住の場合は、旅行の場合と異なり現地で保険を調達する必要があります。
しかし、現地での保険加入はその国での運転や保険加入の実績がないと断られる可能性があります。
また、頑張って何とか加入できたとしても補償額が対人賠償5万ドル(500万円前後)など、著しく低額になってしまう可能性もあります。
そこで、海外赴任者や留学する方を対象にした海外保険の仲介をしてくれる会社を利用する方法を考えましょう。
利用出来る国は限られています(アメリカに限定されることが多い)が、日本での運転実績も考慮してくれるので、十分な補償を受けられることが多いです。
また、JALとAIUが共同でパッケージ化した「海外赴任者総合保障制度」を使うと、基本の補償内容に自動車超過損害賠償責任が含まれているので2億円まで保険金が出ることになります。
但し、注意点が1つ有ります。
アメリカやカナダでは、上記の自動車超過損害賠償責任は「免責金額が非常に高額である」という点です。
【対人1事故あたり30万ドル、対物1事故あたり30万ドル】に設定されているので、免責金額部分については別途自動車保険に加入する必要が有るのです。
なお、海外で車を運転するには国際運転免許証を取得する必要があります。
取得方法については下記記事を参照して下さい。
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