日弁連基準・裁判基準での損害額計算方法

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このページでは、【日弁連基準・裁判基準】で交通事故等における損害額を実際に計算してみたいと思います。

結論から言うと、日弁連基準で計算したほうが自賠責保険の基準で計算した場合よりも損害額は遥かに高くなるのが通例です。

自賠責保険基準での死亡事故等における損害額の算定方法は「「死亡」の場合の損害額の算定方法(自賠責保険の場合)」を見て下さい。

法律

ただ損害額の計算結果については【自賠責保険基準<日弁連・裁判基準】となるのが通例ですが、自賠責保険基準での支払の場合には「重過失減額制度」という被害者保護の観点からすれば非常に有利な制度も採用されます。

もし貴方が自賠責基準(もっと言えば任意保険会社が提示してきた金額)を不服として裁判に訴えた場合、この「重過失減額制度」の適用が外れて厳密な「過失相殺制度」を採用することになることは忘れないで下さい。

要は裁判に訴えることは大きな損害賠償額を貰える可能性がある一方で自賠責保険基準の賠償額すら貰えなくなる可能性が有る諸刃の刃ということです。ただ自らの過失が小さいのであれば、あまり気にする必要は有りません。

参考記事:裁判に訴えた事によって損害賠償額が小さくなる危険性

では、日弁連・裁判基準における損害額の計算方法を見て行きましょう。

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死亡の場合の日弁連・裁判基準の計算方法

計算基礎となるのは自賠責基準と同じで以下の3つです。

  • ①逸失利益
  • ②慰謝料
  • ③葬儀費

計算前提は

・40歳男性サラリーマン
・妻1人・子供2人

同じ計算前提の元で計算した自賠責基準の保険金額は6,684万円です。

これが日弁連基準・裁判基準となると保険金額は8,739万円に跳ね上がり自賠責基準とは2,000万円以上もの差が開きます。

管理人注:なお現在の日弁連基準とは結果が違う可能性が有りますので参考情報として御覧ください。

項目日弁連基準自賠責基準両者の差額
逸失利益5,989万円5,284万円705万円
慰謝料2,600万円1,300万円1,300万円
葬儀費150万円100万円50万円
合計8,739万円6,684万円2,055万円

【自賠責基準との違い】①逸失利益

電卓とお金

逸失利益の計算方法自体は日弁連基準も自賠責基準と同じです。

逸失利益=(年間収入額ー生活費)×死亡した年齢の就労可能年数のライプニッツ係数

しかし、年間収入額と生活費の求め方に差異が発生してきます。

■年間収入額について

日弁連基準で使用される年間収入額は「産業計・企業規模計・学歴計・男子労働者」の平均年収が使用されます。この計算の場合であれば収入額は6,291,600円が該当します。

一方、自賠責基準では事故前1年間の収入額又は年齢別平均給与額のいずれか高い方です。今回の場合だと収入額は5,551,200円です。

■生活費

日弁連基準では、生活費の控除割合は以下のように定められています。

死亡者控除率
一家の支柱30〜40%
女性(女児・主婦を含む)30〜40%
男性単身者(男児を含む)50%

今回の計算事例では一家の支柱の方が死亡しているので30%~40%の生活費が控除されます。ただ、個別具体的な内容を定めていないので間をとって35%で計算しました。

一方、自賠責基準では、被害者に被扶養者がいる場合は35%、被扶養者がいない場合は50%と定められています(生活費を証明した場合はその金額)。今回の計算事例では被扶養者がいるので35%となります。

まとめると、今回の計算事例では生活費に違いが無かったものの、収入額に大きな差が出たので自賠責基準よりも700万円以上も大きな賠償額となりました。

死亡逸失利益の計算方法【日弁連基準】

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【自賠責基準との違い】②慰謝料

悩む夫婦

逸失利益よりも慰謝料のほうが大きな違いが出てきます。

日弁連基準では、被害者が死亡した場合の慰謝料は以下の金額となります。

被害者の属性死亡慰謝料金額
一家の支柱の場合2,700~3,100万円
一家の支柱に準ずる場合2,400~2,700万円
その他の場合2,000~2,500万円

今回の前提条件では一家の支柱が亡くなっているので2,700万円~3,100万円の慰謝料が認められます。

一方、自賠責基準では以下のようになります。

自賠責保険基準の慰謝料

今回の場合だと慰謝料は1,300万円にしかなりません(本人350万円+遺族750万円+加算200万円)。

日弁連基準が最低額の2,700万円にしたとしても自賠責基準とは倍以上の差が開きます。

【日弁連基準】死亡慰謝料についての金額と判例

【自賠責基準との違い】③葬儀費

葬儀

自賠責基準では60万円~100万円の間でしか認められない葬儀費用も日弁連基準では150万円も認められます。

このように計算した結果、両者の間には2,000万円以上の差が出てくるわけです。ただ冒頭に言ったように裁判に訴えることは諸刃の刃であることも認識しておいて下さいね。

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