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普段から通勤や子供の送迎などに車を使用している場合、事故で車が使えなくなったら非常に困りますよね。
このような場合の備えとなるのが、自動車保険の「レンタカー特約(代車費用特約)」です。
車の修理中の代車費用が補償され、移動手段に困らなくて済みますからね。
保険会社によって、特約の名称は様々です。
レンタカー特約や代車費用特約、事故時レンタカー費用特約などなど。
ただ、この代車費用特約の付帯にあたって、そもそも必要なのか、と悩む人が多いです。
修理工場に頼めば無料で代車を貸してくれる場合もありますし、なにより代車費用特約の保険料って案外高いですからね。
そこで、今回はレンタカー特約の概要や保険料、注意点、そして付帯する必要性の高い人・低い人などについて紹介したいと思います。
レンタカー特約(代車費用特約)とは
レンタカー特約(代車費用特約)とは、契約車両の修理期間中にレンタカー費用(代車費用)を補償してくれる特約です。
基本的に、車両保険を付帯した契約にのみセットできます。
利用できるのは「車両保険の支払対象となる”事故”」に限定されている場合がほとんどです。
そのため、単なる車の故障や車検などの場合には、レンタカー費用は補償されません。
なお、損保ジャパンや東京海上日動のように、故障で走行不能となる場合もレンタカー特約の補償対象としている保険会社も有ります(レッカー搬送が条件)。
補償期間と補償金額
一般的に、レンタカー特約の補償期間はレンタカー利用開始日から30日間です。
以前は、事故日や修理工場への入庫日を起算点としている保険会社も有りましたが、改定によって「レンタカー利用開始日」を起算点にしている保険会社がほとんどです。
補償金額は、1日あたり5,000円~10,000円となっています。
自動車保険の契約時に補償金額を設定しますが、1日あたり5,000円しか選択できない保険会社がほとんどです。
なお、チャブ保険のように、車両保険の免責金額が「代車の利用料」にも波及する損保会社が有ります。
代車を利用する期間が短いと、ほとんど実費になる可能性があるので注意してください。
ただ、レンタカー特約の利用条件は「車両保険とセットで使用」となっている場合が多いので、免責金額への波及の有無にかかわらず、免責金額を設定していれば、自己負担が発生する事になります。
車両保険の免責金額の設定は、自動車保険料節約のための常套手段ですが、保険金請求時には痛みを伴う事は覚えておきましょう。
意外に高い!レンタカー特約(代車費用特約)の保険料
レンタカー特約(代車費用特約)の保険料は意外に高いです。
イーデザイン損保とソニー損保の2社で「レンタカー特約有り」と「レンタカー特約無し」の場合の保険料を比較してみましょう。
まずはイーデザイン損保から。
(出典:イーデザイン損保)
これはイーデザイン損保の見積結果です。
これを見ると、年間の保険料は「5,340円」も違いが有ります。
続いて、ソニー損保の見積結果です。
(出典:ソニー損保)
ソニー損保の場合だと、年間保険料の差額は「3,810円」です。
その他にも数社で同じように見積を取りましたが、保険料の差額は4,000円~6,000円の範囲に収まりました。
契約者の年齢や等級などの見積条件によって保険料は異なります。
ちなみに、上記の保険料は、13等級やゴールド免許などの条件で見積もった結果です。
「高い!」と感じませんか?
そのくせ、補償される保険金は「30日×5,000円=15万円」という設定になっている保険会社が多いです。
レンタカー特約の付帯を考えている人は、この特約の必要性と共に保険料についても考慮するようにしましょう。
逆に、レンタカー特約を付帯している人であれば、契約から外す事によって保険料の大幅な節約が可能です。
【参考】レンタカー特約を使用すると等級は下がる?
自動車保険はノンフリート等級制度を採用しており、請求する保険金の種類によって、翌年の等級の変化が以下の3つのパターンに分かれます。
レンタカー特約は、ノーカウント事故として取り扱われるので、使用しても等級が下がる事はありません。
しかし、レンタカー特約は車両保険とセットで使用するのが基本なので、車両保険の使用によって、1等級又は3等級のダウンとなります。
レンタカー特約(代車費用特約)は必要?
「レンタカー特約は必要なの?」と悩む最大の理由は、代車が無料で提供されるサービスの存在です。
- 加入している保険会社の提携修理工場の代車無料サービス
- 地元の修理工場の代車無料サービス
これらのサービスを利用できるわけですから、高い保険料を払ってまでレンタカー特約を付帯する必要は無い、と考えても不思議では有りません。
ちなみに、修理工場の代車サービスでは、所有している車のレベルよりも低いレベルの車が提供される可能性が高いです。
取り敢えず移動手段が有れば良いという方なら、これで大丈夫でしょう。
しかし、2つほど注意点が有ります。
1つ目は、修理工場の代車の数には限りが有る点です。
修理工場が用意している代車が全て出払っていれば、当然代車を借りる事は出来ません。
事故は突発的に発生するので、予約なんて出来ませんからね。
2つ目は、盗難や全損などの場合には、代車サービスが提供されない点です。
修理工場は、修理代金を支払ってくれるお客様だからこそ”代車”を無料で提供しています。
1銭の売上にも繋がらない人に、代車サービスを提供するような修理工場はどこを探してもないでしょう。
つまり、修理工場の代車サービスは必ず受けられる物ではないのです。
そのため、自動車保険にレンタカー特約を付帯するかどうかを考えるにあたっては、修理工場の代車サービスを前提にするのではなく、普段の車の使用状況や代替可能な交通手段の有無などを考慮して判断するようにしましょう。
また、レンタカー特約を付帯する場合には保険料がグッと高くなってしまうので、その点も含めて考えて下さいね。
レンタカー特約が必要な人
上記の注意点を踏まえると、レンタカー特約を付帯する必要性の高い人は以下のような方々です。
- 通勤や通学・子供の送迎などで、頻繁に車を使用する人
- バスや電車等の交通機関が整備されてない地域に住んでいる人
- 福祉車両など特別な仕様の車を所有している人 等
レンタカー特約が不要な人
一方で、レンタカー特約の付帯が不要な人、付帯する必要性が低い人は以下のような方々です。
- サンデードライバーの人
- バスや電車等の交通機関で代替可能な人
- 保険料を節約したい人 等
【補足の注意事項】ロードサービスだけでは不十分
万が一の事故の時は、ロードサービスの帰宅費用サポートで対応しようと考えている人もいるかもしれませんが、それだけでは不十分です。
なぜなら、ロードサービスについているレンタカー無料サービスは、緊急の移動手段用として1日のみの補償となっている場合が多いからです。
また、保険会社によっては、ロードサービスの対象ではなく、「事故付随費用特約」の付帯が必要な場合も有ります。
もし「代車はロードサービスで!」と考えているのであれば、もう一度考え直してみてください。
まとめ
レンタカー特約は、万が一の事故で車を修理に出した時のレンタカー費用を補償してくれる特約です。
日常生活において、車を手放せない人なら付帯を考えてみても良いでしょう。
ただ個人的な見解としては、年間4,000円~6,000円の保険料を払うほどの価値は、あまり無いのかなと思います。
高い保険料を支払い続けるなら、万が一に備えて、代替可能な交通手段を考えておいた方が良いのではないでしょうか?カーシェアリングに加入しておくのも1つの手段です。
一方、レンタカー特約を付帯している人は、これを機に自動車保険の見直しを行って、保険料を節約していきましょう。
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