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自動車の購入時に「車両の料率クラス」までチェックする人は意外と少ないのではないでしょうか?
料率クラスとは、自動車保険の保険料を算定する1つの要素です。
車の型式毎に過去の事故での保険金の支払額などに基いて設定されます。
型式とは自動車名やエンジンの種類等を表しており、自動車の構造、性能、装置などが同一の車毎に分類され、同じ車種でも性能が違えば型式も違うものになります。
たとえば、プリウスでも「ZVW50」や「ZVW51」などのようにいくつもの型式が有り、それぞれに料率クラスが設定されています。
設定された料率クラスによって、自動車保険料が高くなるのか、それとも安くなるのかが左右されるので、料率クラスを気にしてなかった人は、今後の車両購入時に保険料節約の為にチェックするようにしましょう。
そこで今回は、自動車保険の料率クラスについてその内容や保険料の違いなどについて紹介します。
また、2019年版の主要車種の料率クラスデータ一覧も紹介します。
料率クラスとは
料率クラスとは、型式毎の事故リスクを1~9の数字で数値化したものです。
過去の事故実績(保険金支払額・事故率等)などの統計から型式毎に料率クラスが決定されます。
ちなみに、料率クラスを決定しているのは「損害保険料率算出機構」です。
事故リスクが高いと評価された車は料率クラスの数字が大きく設定され、事故を起こす危険度が低いと評価された車は料率クラスの数字が小さく設定されます。
そして、設定された料率クラスに応じて、自動車保険料が計算されます。
料率クラス「1」が保険料が最も安く、数字が大きくなるにつれ高くなり、料率クラス「9」が最も保険料が高いクラスになります。
なお、料率クラスはあくまでリスク細分型自動車保険のリスクの項目の一つですので、その他の要素も加味されて最終的な保険料が算定されます。
料率クラスは保険の種類毎に設定されている
料率クラスは以下の4つの保険毎に設定されています。
過去の事故で、対人賠償保険、対物賠償保険、傷害保険、車両保険で『どれだけ保険金を支払ったのか等のデータ』を基に各保険毎に料率クラスを設定しているんですね。
例えば、プリウスでは型式毎に料率クラスが以下のように設定されています。
車種 型式 対人 対物 車両 傷害
プリウス ZVW50 4 5 5 4
プリウス ZVW51 4 3 4 4
プリウス ZVW55 4 3 4 4
プリウス ZVW30 4 4 5 5
プリウスだけを見ても、対人賠償保険の料率クラスが高い型式や傷害保険の料率クラスが高い型式が有る事が分かります。
このように料率クラスは保険毎に決まっています。
また、同じ車種でも型式毎に違いがある事も確認できたのではないでしょうか。
保険更新時に保険料金が変化することもある
料率クラスは毎年1月1日に見直しが行われるので、保険の更新の際に前と同じ内容でも料率クラスの変化により保険料金が上下することがあります。
同じ型式に乗っている人がいっぱい事故を起こしてしまうと、その型式の車は事故を起こす危険が高いと評価されて料率クラスが上がってしまうのです。
その結果自分が事故を起こした事が無くても、保険料は高く計算されてしまいます。
ちなみに、料率クラスの見直しにおいて、基準となるのは過去3年間の「各型式の損害率」と「自家用車全体の平均損害率」です。
両者に20%以上の差が有れば、料率クラスが上下し、20%以内の差であれば据え置きとなります。
- 「ある型式の損害率」が「自家用車全体の平均損害率」よりも20%以上高い場合・・・料率クラスが1つ上がる
- 「ある型式の損害率」が「自家用車全体の平均損害率」よりも20%以上低い場合・・・料率クラスが1つ下がる
料率クラスによってどれだけ自動車保険料に変化があるのか?
料率クラスによって自動車保険料が変化することは上でお話しました。
具体的にどれだけ金額に差がでるのか見ていきましょう。
下の表はセゾン自動車火災保険で見積もった人身傷害補償保険料金を料率クラス毎に比較した表です。
見積条件は、車内外補償タイプで保険金額が3,000万円の場合です(その他の見積条件は同一)。 見積もる保険会社や条件によって、料率クラスによる保険料差額が異なります。
車種 型式 料率 保険料
カムリ ACV30 1 2,530
ウィッシュ ZNE14G 2 3,320
エスティマ TCR20W 3 3,980
ヴィッツ NCP15 4 5,260
ガイア ACM15G 5 6,070
カリーナ AT192 6 7,440
カルディナ CT216G 7 9,080
クラウンマジェスタ UZS155 8 10,900
カローラ AE95 9 13,260
このように人身傷害補償保険の保険料金は、料率クラスが高くなればなるほど保険料金も高くなっている事がわかりますね。
そして、料率クラスが1と9では約5倍の保険料の差が出ています。
料率クラスだけでこれだけの違いが保険料に現れるのは驚きですね。 なお、車両保険では一般的に料率クラスが1違えば1.2倍~1.3倍くらい保険料が変わり、料率クラスが1と9の差は4倍近くになります。
【2019年版】主要車種毎の料率クラスデータ一覧表
販売台数の多い車種の料率クラスを調べてみたので、以下にメーカー別に一覧で表示しておきます。
気になる車種をチェックしてくださいね。
■トヨタ
車種 型式 対人 対物 車両 傷害
プリウス ZVW50 4 5 5 4
ZVW51 4 3 4 4
ZVW55 4 3 4 4
ZVW52 4 4 4 4
C-HR ZYX10 4 4 5 4
NGX50 4 4 5 4
アクア NHP10H 4 4 4 4
NHP10 5 5 4 4
シエンタ NHP170G 4 4 4 4
NCP175G 4 3 4 4
NSP170G 4 3 4 4
ヴィッツ NSP130 5 5 3 4
NSP135 4 5 4 4
NHP130 4 4 3 4
KSP130 4 5 3 4
ヴォクシー ZRR80G 4 3 4 4
ZRR85G 4 3 4 4
ZRR80W 3 3 3 4
ZRR85W 3 3 3 4
ルーミー M900A 4 4 4 4
M910A 4 4 4 4
カローラ NKE165 4 6 4 3
NKE165G 5 5 3 4
タンク M900A 4 4 4 4
M910A 4 4 4 4
ハリアー ZSU65W 5 5 5 4
ASU65W 4 4 5 4
パッソ M710A 4 4 3 4
M700A 4 4 3 4
ヴェルファイア GGH35W 6 4 5 4
AGH35W 4 5 5 4
AYH30W 4 4 6 4
ノア ZRR80G 4 3 4 4
ZRR85G 4 3 4 4
ZWR80G 4 4 5 4
アルファード GGH35W 6 4 5 4
AGH35W 4 5 5 4
AYH30W 4 4 6 4
ステップワゴン RP3 4 3 4 4
RP4 4 3 5 4
エスクァイア ZRR80G 4 3 4 4
ZWR80G 4 4 5 4
クラウン GRS214 7 2 5 4
GRS211 3 4 5 4
ARS210 4 3 4 4
シャトル GP8 4 3 5 4
GK8 4 4 4 4
■日産
車種 型式 対人 対物 車両 傷害
ノート HE12 4 4 4 4
NE12 4 5 4 4
セレナ GNC27 4 4 4 4
GFNC27 4 4 4 4
エクストレイル T32 4 5 5 4
HT32 4 4 4 4
DNT31 4 5 5 4
■ホンダ
車種 型式 対人 対物 車両 傷害
フリード GB5 4 4 3 4
GB7 4 4 3 4
フィット GK3 4 4 3 4
GK4 4 4 3 4
GP6 4 4 4 4
ヴェゼル RU3 4 4 5 4
RU4 5 5 5 4
■マツダ
車種 型式 対人 対物 車両 傷害
デミオ DJ5FS 4 4 4 4
DJ3AS 4 4 4 4
CX-5 KF2P 4 4 4 4
KFEP 4 4 3 4
アクセラ BM2AP 4 4 5 4
BM5AS 4 3 4 4
BYEFP 4 5 5 4
■スズキ
車種 型式 対人 対物 車両 傷害 AEB装着による割引
ソリオ MA46S 3 5 9 7 対象外
スイフト ZD83S 6 6 6 7 対象外
■スバル
車種 型式 対人 対物 車両 傷害
インプレッサ GK2 4 4 4 4
GT2 4 4 4 4
料率クラスの調べ方
今回紹介できた料率クラスは、販売されている車種のごく一部です。
「あれ?知りたい車種・型式がない!?」という人は、自動車保険の見積を利用して調べてみてください。
実際、上記のデータは「セゾン自動車火災保険」の見積を取って調べた情報です。
そんぽ24はほとんどの型式の料率クラスが表示されるのでオススメです。
料率クラスの調べ方は、そんぽ24の保険料見積ページで、型式を入力し、車種を選択するだけでOK(その他の条件は適当で大丈夫です)。
保険料の見積結果の下の方に「料率クラス」の欄が有るので、そこをチェックしてください。
型式は車検証の型式欄に記載されている「△△△-○○○」の”○○○”部分だけを入力しましょう(ハイフン以降)。
なお、購入を検討している車種の場合は、各メーカーのHPのスペック表に記載されているので、それを利用してください。
車両保険の料率クラスが「9」だと車両保険を付帯できない場合がある
料率クラスが「9」の場合、「保険料が高くなる」というデメリットがあります。
これは既に紹介したとおりです。
実は、それ以外にも料率クラス「9」にはデメリットがあるんです。
それは、車両保険の料率クラス「9」の場合には、車両保険の付帯を拒否される点です(自動車保険には加入できます)。
どちらかというと、ダイレクト型の自動車保険で多く見受けられます。
車両保険の料率クラスが「8」の場合も車両保険の付帯が拒否される事もあります。
車両保険の料率クラスが「9」でも車両保険に加入したい場合は、代理店型の自動車保険を当たってみると良いでしょう。
ただし、代理店型の自動車保険はそもそもの保険料が高いので、しっかりと保険料の見積・比較を行ってくださいね。
まとめ
料率クラスを見ることによって保険料が「高くなるか」それとも「低くなるか」の目安をつける事ができます。
料率クラスは後から変更することができないので、購入前にチェックしておきましょう。
車選びの段階から自動車保険の節約が可能という事ですね。
また、料率クラスが過去の事故の統計等から設定されている事を考えると、料率クラスが高い型式の車はそれだけ保険金支払い額が高かった事が予測できます。
料率クラスの低い車を購入することによって将来の事故予防にも繋がりますね。
合わせて読みたい!【2020年改定】最新の自動車保険の型式別料率クラスの仕組みと改定内容
専門家からのコメント
中村 傑 (Suguru Nakamura)
大垣共立銀行を退職後、東京海上日動火災保険に代理店研修生として入社。研修期間を経て、2015年に独立開業。2020年に株式会社として法人成り、現在に至る。家業が自動車販売業であり事業承継者でもある。車と保険の両方の業務を兼務しており、専門領域が広い事が強み。
コメント
料率クラスは、一般的に外車等の高級車では高い傾向にあり、軽自動車をはじめとしたコンパクトカーで事故が少ない傾向にある車は低い傾向にあります。
車両によっては、新車購入時から5年以上経過すると、中古車相場が下がる事により、若年層が新たな乗り手となるため事故が増加傾向となり、料率クラスがランクアップする事があります。
料率クラスは損害保険料算出機構が決める為、免許証の色や等級とは異なり、自分でコントロールが出来ない領域となります。
従って、保険料の節約を前提として車を購入するのであれば、類似のクラスの中でも料率クラスを確認した上で、最も料率の低い車種を検討する事が保険料を抑えるポイントです。
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