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日本の任意保険ではノンフリート等級制度が採用されているので、事故を起こして保険金を請求すると、必ず等級が下がって翌年度の保険料が跳ね上がってしまう!と思っている人も少なくありません。しかし、実は例外が有るんです。
その例外がタイトルにも有る「ノーカウント事故」です。ノーカウント事故とは、保険金を請求しても事故件数とはカウントされない事故を指します。そのため、翌年に等級は下がらず、また保険料が値上がりする事も有りません。
その他に事故が無ければ、翌年度のノンフリート等級も1等級上がります。
なお、ノーカウント事故以外に等級がダウンする「3等級ダウン事故」や「1等級ダウン事故」が有ります。これらのダウン事故について知りたい方は、以下の参考記事をご覧下さい。
3等級ダウン事故とは?契約者としては絶対に起こしたくない事故!
1等級ダウン事故とは~等級据え置き事故が廃止され1等級ダウン事故へ!
ノーカウント事故を列挙
等級が下がらない・カウントされない保険及び特約の代表的なものを列挙します。下記で書いている保険・特約だけの保険金を請求した場合には「ノーカウント事故」として取り扱われるので、等級は下がりません。
- ①搭乗者傷害保険
- ②人身傷害補償保険
- ③無保険車傷害保険
- ④ファミリーバイク特約
- ⑤弁護士費用等補償特約等の保険金のみを請求した場合
- または、これらの保険金の組み合わせ
以上の保険・特約などの保険金を請求するだけの事故を起こした場合、一般的にノーカウント事故と判断されます。但し、保険会社各社によって微妙に内容が異なってきますので、契約時・保険金請求時には約款をしっかりと見ておく必要があります。
ノーカウント事故を知らない人の中には事故をしたこと自体がバレると等級が下がってしまう!と勘違いしている人もいるようです。事故と加入者が支払う保険料は関係ありません。
関係有るのは事故によって保険会社から保険金が支払われたかどうかです。一旦保険金を受け取ると、悪く言えば貴方は損保会社から要注意人物としてみなされるわけです。(語弊が有るかもしれませんが・・・)。
反対に言えば、保険金を受け取らなければ、等級には影響ありません。なので、保険会社に電話して
「車の修理費が30万円と言われたのですが、車両保険を利用すると翌年度の保険料はいくらになりますか?」
ってな感じで相談しても良いわけです。お金を貰っているお客様を無下に扱うことは出来ませんから、ちゃんと対応してくれます。
なぜノーカウント事故なるものが存在しているのか?
保険金を貰ったら、翌年度の保険料は上がるのが普通です。しかもメリ・デメ制が採用されている日本では、事故を起こして保険金を受け取った加入者には、懲罰的な意味合いを込めて、翌年度以降に割増保険料支払って貰うことになっています。
つまり、メリ・デメ制は「無事故でドライバーを続けている人」と「事故を起こして保険金を受け取った人」との保険料負担の公平化を図っているわけですね。(事故有り係数適用期間の導入で更に厳しくなりました。)
にも関わらず、ノーカウント事故なるものが存在していると、矛盾してしまうのではないでしょうか?だって公平じゃないですからね。でも、ノーカウント事故が存在している「ちゃんとした理由」が有るんです。
一番の理由は【搭乗者保険とか人身傷害補償保険は加入者の責任を問わない保険である】というところに有ります。
例として「人身傷害保険」の場合で考えてみましょう。人身傷害補償保険は、加入者に責任(過失)が有っても保険金が満額支払われる、というメリットが有ったからこそ、爆発的に普及した傷害保険です。
にも関わらず
「貴方は去年事故を起こして人身傷害補償保険使いましたよね?」
↓
「保険金を支払ったので貴方には多めに保険料を払って貰います」
という論理を通せば、責任が有ったとしても、無いとみなして保険金を支払う人身傷害補償保険の趣旨に反することになります。つまり、保険料を上げることによって、間接的に加入者の責任を問いただしているのと同じ事になる、という訳ですね。
なので、ノーカウント事故ってものが存在しているんです。
【参考】ノーカウント事故に車両保険を使用する事故は含まれる?
自動車保険を使用するかしないかで多くの人が迷うのが「車両保険」です。駐車場で軽く擦ってしまった傷や飛び石などによって付いてしまった傷など、ちょっとした傷の修理が悩みの種となります。
悩む人の中には「このような些細な傷の修理はノーカウント事故なのでは?」と淡い期待を抱いている人もいるかもしれませんが、残念ながらノーカウント事故では有りません。1等級ダウン事故又は3等級ダウン事故となります。
車両保険を使用する場合は基本的に等級がダウンします。しかし、追突事故などで被害者の過失が0%の場合は「車両無過失事故特約」によって車両保険を使用してもノーカウント事故として取り扱われます(自動付帯されている場合が多いです)。
車を修理するのであれば、「修理費用の見積」と「車両保険を使用した場合の保険料の値上がり分」を比較して、自腹又は自動車保険のどちらでいくか検討するようにして下さい。
なお、車両保険に免責金額を設定している場合はその分も検討材料に加えて下さいね。
ちなみに、各メーカーはこのような小さな傷を少額の自己負担で修理出来るサポートプランを用意しています。利用出来る条件は有りますが、このサポートプランを利用出来るかどうかも調べてみて下さいね。
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