この記事を読むのに必要な時間は約 10 分です。
任意保険(自動車保険)を契約途中で解約するにあたって、気になるポイントがいくつか有りますよね。
- 「解約返戻金はいくら返金されるのか?」
- 「解約したら自動車保険の等級はどうなるのか?」
- 「解約すると違約金は発生するのか?」
解約時期によっては満期まで契約を継続した方がお得な場合も有るので、これらのポイントを1つずつ整理した上で任意保険の中途解約を行う必要が有ります。
そこで今回は、任意保険を契約期間中に解約する時に気を付けたい事、また解約した場合の解約返戻金などについて解説したいと思います。
任意保険を契約途中で解約したらお金は戻ってくるの??
答えはイエスです!
ただ支払い方法が年払いなのか、月払いなのかによって少し違いがあります。
年払い(一括払い)の解約返戻金計算方法
自動車保険料を1年分まとめて支払っている場合は、「短期率表」に従って解約返戻金の計算をします。
解約返戻金=年間保険料×(1-契約が経過した期間に対応する短期率)
短期率表
短期率とは、解約返戻金の計算に用いられる比率ですが、その数値は解約までの期間での契約を結んだと仮定した場合に、年間保険料に対してどれくらいの保険料金になるかを表しています。
短期率表を見てもらうと、経過期間が「6ヶ月まで」の時点で解約すると、短期率が70%となっている事が分かります。
つまり、30%分しか保険料は還って来ません。
半年分の保険料金が返還されるわけではないんですね。
年間保険料が60,000円、契約してから4ヶ月と10日が経過してから保険を解約した場合
端数である日数は、切り上げて1月経過していると考えます。
そのため、この場合は5ヶ月経過している物とみなされます(1日過ぎたただけでも1月換算です)。
短期率表で「5ヶ月まで」の区分を見てみると65%となっています。
解約返戻金は60,000×(1-0.65)=21,000円となります。
なお、ほとんどの自動車保険がこの短期率を用いて解約返戻金を計算していますが、「月割」で解約返戻金を計算しているところも有ります。
たとえば、セゾン自動車火災やそんぽ24などです。
上記の事例の場合では、60,000円÷12ヶ月×(12ヶ月-5ヶ月)=35,000円が解約返戻金となります。
月払い(11回払い)の解約返戻金計算方法
月払いの場合には月割で計算します。
仮に、経過期間が2ヶ月未満で、既に3ヶ月目の保険料金が引き落とされているなら、1ヶ月分がまるまる返還されます。
但し、口座振替のように、保険始期日よりも後に引落が行われる払込方法を採用している場合には、逆に1ヶ月分の追加保険料を請求される事も有ります。
(例)
上の年払いの場合と同じ条件で計算してみると、
年間保険料が60,000円なので12ヶ月で割って1月5,000円。
5ヶ月で解約するので、支払う必要のある保険料は25,000円です。
月払い(分割払い)の時に、解約返戻金を貰えるか、追加で保険料を請求されるかは、自分の保険料の支払形態に依存します。
概ね、どの保険会社でも保険料は「月払い」の方が「年払い」よりも5%程度割高になりますが、契約途中で解約する場合には、月払いにしておいた方が損をしない可能性が高いです。
解約する時期によっては満期まで待った方が得かも
任意保険には「ノンフリート等級制度」が適用されます。
1年間無事故であれば、翌年に等級が1つ上がり、割引率も高くなる制度のことですね。
で、等級をアップさせる為には、1年間無事故で過ごすことに加えて、「同じ保険会社で1年間契約を継続すること」という条件も満たす必要が有ります(原則として)。
そのため、契約途中で任意保険を解約して、新契約に乗り換えてしまうと、等級の進行が遅れるというデメリットが有ります。
この辺りは下記記事を参考にして下さい。
契約期間が残りわずかなら満期まで我慢!
契約期間が、残り1、2ヶ月なら満期まで待ったほうが等級が上がるのでお得です。短期率表を見てもらっても「90%~95%」となっているので、保険料はほとんど返還されません。
今の契約と比べて、何万円もお得な自動車保険が見つかったなら話は別ですけどね。
よって、契約期間中に他社に乗り換える場合には、「解約返戻金の金額」と「切り替え後の保険料の金額(等級が遅れるデメリットも含めて)」の両者を天秤にかけて、どちらがお得か?で判断する必要が有ります。
車に乗らないという理由なら中断証明を忘れずに!
新たな保険へ乗り換えるのではなく、車に当分乗らない等の理由で任意保険を途中解約する場合には、忘れずに中断証明書を取得しましょう。
中断証明を取ることによって、今の等級を保護できます。
今、現在15等級なら、将来契約するときも15等級で契約できます!しかも、等級は10年間保存できます。
自動車保険を解約しても違約金は発生しない
一般的に、何かしらの契約を途中で解約すると「違約金」が発生する事がたまにありますよね。
違約金の事を考えて、解約を断念する人もいるでしょう。
しかし、自動車保険では中途解約による違約金は発生しません。
そのため、自動車保険を契約途中で解約するにあたっては、解約金を考慮する必要がないんですね。
まとめ
自動車保険を契約途中に解約する場合の解約返戻金について紹介しました。
- 年払いの場合・・・短期率によって解約返戻金を計算(月割計算の自動車保険も一部あり)
- 月払いの場合・・・月割りで解約返戻金を計算
自動車保険の中途解約をしても違約金は発生しませんが、「等級が進まない」というデメリットが有るので、残りの契約期間と解約返戻金などを天秤にかけて判断するようにしてください。
基本的に残りの契約期間が2ヶ月~3ヶ月しかない場合には損をする人が多いと思います!
専門家からのコメント
中村 傑 (Suguru Nakamura)
大垣共立銀行を退職後、東京海上日動火災保険に代理店研修生として入社。研修期間を経て、2015年に独立開業。2020年に株式会社として法人成り、現在に至る。家業が自動車販売業であり事業承継者でもある。車と保険の両方の業務を兼務しており、専門領域が広い事が強み。
コメント
記事に書かれている通り、自動車保険の等級は1年で1等級しか進行しない為、やむを得ず解約するには現在の等級に注意する必要があります。
20等級であれば、最上位の等級になる為、保険期間のどのタイミングで解約しても等級の進行に支障はありませんが、それ以外であれば基本的に注意が必要です。
また、車を廃車して今後乗る予定がないのであれば問題はありませんが、車の買い替えのタイミングで保険会社を切り替えるための中途解約であれば、要注意です。
過去に実際のケースですが、満期まで残り1ヶ月も満たないタイミングで中途解約の申し出があった事案もありました。
保険代理店としては、契約者からの申し出である以上は代理店の判断で解約を受付しない、という事は出来ません。(必ず説明、確認はしますが)
自動車保険を解約する際は、必ず、等級と満期日を確認するようにしてください。
コメント
この記事へのコメントはありません。