この記事を読むのに必要な時間は約 9 分です。
自動車保険は契約している車が補償の対象となります。
従って、保険期間中に車を買い替えたら自動車保険の補償対象を新しい車に切り替える手続き(車両入替・契約車両の変更)が必要となります。
これを怠ると、もしもの時に保険金が支払われないといった事態になりかねません。
せっかく自動車保険に加入して保険料を払っているのに、いざという時に保険金が貰えないとなると保険の意味が無いですよね。
そういった事が無い様に、以下で車両入替の条件や手続きについて見ていきましょう。
車両入替の条件
車両入替は従来の補償内容や等級はそのまま(※)に、補償対象となる車だけを変更する手続きです。
※:無事故の情報だけでなく、事故履歴も当然引き継がれます。
どんな車でも自由に入替手続きが出来るという訳ではなく、以下の条件を満たす必要が有ります。
条件1:車両入替前後の所有者
車両入替後の所有者は、以下のいずれかで有る事が必要です。
- 車両入替前の所有者と同一
- 記名被保険者
- 記名被保険者の配偶者
- 記名被保険者又は配偶者の同居親族
なお、ローンを利用している場合は基本的にディーラー名(若しくはローン会社名)が所有者として記載されるので、使用者欄が上記のいずれかになっていればOKです。
注:夫婦で持っている車をお互いに交換して車両入替する事は出来ません。
条件2:車両入替後の車
車両入替後の車は、以下のいずれかの車で有る事が必要です。
- 新たに購入したか譲渡された
- 新たに1年以上のリース契約をした
- 他契約から吐き出された車(※)
※:車を持っていた方が追加で車を購入した際、新規で保険加入するのではなく車両入替で対応する事が有ります。
放っておくと元の車は保険が付いていない状態になり、この様な車を「吐き出された車」と言うのです。
従って、昔から持っている車(上記の吐き出された車は除く)や代車、レンタカーなどで車両入替をする事は出来ません。
条件3:入替前後の用途車種区分
入替前後の車は、用途車種区分(車検証の「自動車の種別」「用途」「自家用・事業用の別」の欄)が同じである事が必要です。
また、用途車種区分は以下に示す「自家用8車種」のいずれかに該当していなければなりません。
- 自家用普通乗用車
- 自家用小型乗用車
- 自家用軽四輪乗用車
- 自家用普通貨物車(最大積載量0.5トン超2トン以下)
- 自家用普通貨物車(最大積載量0.5トン以下)
- 自家用小型貨物車
- 自家用軽四輪貨物車
- 特種用途自動車(キャンピング車)
実際のところ、上記の要件を満たさずに入替が出来なかったという事例は殆ど無い様です。あまり心配をする必要は無いですが、条件が有るという事だけは知っておいて下さいね。
車両入替に必要な手続き
以下では、車両入替時に必要となる手続きや情報を見ていきましょう。
手続き自体はとても簡単で、保険会社に「電話で連絡」または「ネットで手続き」を行えばOKです。
手続には以下の情報が必要となるので、予め用意しておきましょう。
- 納車日
- (新しい車の)車検証 ※
- (新しい車の)走行距離
- (前の車の)走行距離
- (返金が有る場合は)返金先の口座情報
※:車検証が手元に無い場合は、「型式・車名・初度登録年月・登録番号・車台番号・所有者・使用者」を予め調べておきましょう。
保険会社に必要事項を伝えると、現契約の残日数や車両保険の金額などから保険料の過不足額を計算してくれるので、それに従って精算をします。
保険料の精算が終われば、後は納車を待つのみです。納車日になると、補償の対象となる車が自動的に切り替わります。
実際の手続きは保険会社によって多少異なるので、加入している保険会社に問い合わせる様にして下さいね。
なお、親族や知り合いから車を買い取った場合は、馴れ合いから手続きを忘れがちなので注意が必要ですね。
特に、家族の場合は名義変更を先延ばしにしてしまう方が多い様です。
車両入替をするには車検証上の名義変更が必須なので忘れずに!
手続きを忘れてしまった場合
車両入替には手続きが必要ですが、うっかり手続きするのを忘れてしまった場合はすぐに補償が受けられなくなるのでしょうか?
答えは「No」です。
手続きを忘れていたとしても、新しい車を取得した日(車検証の日付)から30日間は猶予期間として補償を受ける事が出来ます。
参考:一般的に自動付帯されている「被保険自動車の入替における自動担保特約」によるものです。
手続きが1日遅れたからといって、全く補償が受けられないというのでは契約者に酷なので、保険会社が救済処置をとっているという訳ですね。
従って、猶予期間中に交通事故に遭ったとしても保険金を貰う事は可能です。但し、猶予期間が経過しても入替手続きをしなかった様な場合には、補償を受ける事は出来ません。
ディーラーで購入した場合は、担当者が何度も保険について連絡をくれるので手続きを忘れる事は滅多に無いですが、知り合いや親族から買った場合は手続きを忘れる可能性が高いです。
手続きを忘れていた方は、すぐに保険会社に連絡する様にしましょうね。
まとめ
いかがでしたか?
車を買い替えたときは、車両入替の手続をしておかないと大変な事になり得る事が分かりましたね。
手続き自体はとても簡単なので、忘れずに手続きをする様にしましょう。
ファイナンシャル・プランナー(FP)からのコメント
菊地 季美子(Kimiko Kikuchi)
菊池 季美子 (Kimiko Kikuchi) 「 MoneQ 」
生命保険会社2社に合計8年の在籍後、損害保険へ転向。3年の営業店事務経験ののち損害保険代理店に転職、自動車保険・火災保険の設計を担当し、相談件数は在籍3年で800件を超える。現在はフリーランスでFP資格試験の講師、セミナー、執筆活動を行っている。
<保有資格> FP技能士3級・2級、日本FP協会認定AFP、トータルライフコンサルタント、損害保険プランナー
「コメント」
車両入替を行う際、すでに複数台の車を所有している場合には、「等級シャッフル」を行うこともできます。
例として、現在AとBの2台の車を所有しており、Bを廃車にして新車Cを購入するケースを解説します。なお、自動車保険の等級とは、車に付けるラベルのようなものだと考えてください。
現在、A車に20等級、B車に10等級のラベルが付いているとしましょう。今回、10等級のBを廃車にして新車Cを購入し、B⇒Cに車両入替するとします。しかし、新車Cは高級車で料率クラスが高く、10等級だと保険料が高額になってしまいます。
その反面、20等級のA車は料率クラスの低い軽自動車で、10等級に下がってもそれほど負担は大きくありません。
この場合、次のような等級シャッフルの手続きを行うことで、合理的な保険料の等級に付け替えることができるのです。
- 新車CをA と車両入替=新車Cは20等級になる
- 掃き出されたAをBと車両入替=A車 は10等級になる
この等級シャッフルは同居の家族間でも行うことができますので、免許を取ったばかりの若い子供に20等級を譲渡して保険料を安くしてあげる、といったこともできます。
関連記事をチェックする