【専門家監修】自動車保険を滞納すると交通事故を起こしても補償されないのか?

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自動車保険は保険料を支払うことで、もしものときに補償を受けることが出来るものですが、保険料を滞納すると自動車保険契約はどうなるのでしょうか?また、滞納しているときに交通事故に遭遇すると保険金は支払われないのでしょうか?

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月払い契約の人は特に注意!

自動車保険の場合、支払方法が「年払い」の方が保険料が安くなるので、一般的には年払い契約の方が多いです。

そして、年払い契約の場合は保険料を期日までに支払わなかった場合、契約が更新されないことになるので「契約解除」という話は基本的には出て来ません。

保険料の滞納が問題になるのは「月払い」の契約者の場合です。

口座引き落としの設定にしていたのに、うっかり残高をチェックするのを忘れていたり、お金が一時的に足りなくて支払が出来なかった場合などに滞納状態になります。

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滞納してもすぐには契約解除にならない!

保険会社は金融機関です。

そして、金融機関というものは「支払期限」に対して厳しいです。

また民法上は、以下の様に、1度でも支払遅滞があると契約を解除する事も出来ます。

(履行遅滞等による解除権)
第五百四十一条  当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。

しかし、1度滞納したからといってすぐに契約を解除してしまうのはあまりにも酷なので、一般的には支払猶予期間の規定が保険会社にはあります。

契約状況にもよりますが、一般的には支払期限を過ぎてしまうと、翌月に2ヶ月分の保険料を請求されることになります。

また、過去に滞納をしたことがある人の場合は、残りの保険期間の保険料を翌月に一括で請求される事になります。

これらの請求を無視すると保険契約が解除されてしまうことになるのです(実際にすぐに解約されるかは、保険会社によって異なります)。

つまり、1度保険料を期限内に支払う事が出来なかったからと言って、すぐに契約解除となる訳ではありませんが「滞納した翌月の一括請求も期限内に支払う事が出来なかった場合に契約解除となりうる」ということです。

契約が解除になると、保険契約がそもそも最初から無かったという扱いになる為、次回保険契約を新たに締結するときに等級が6等級まで下がってしまうという点にも注意して下さいね。

猶予期間なら補償は有効!

「滞納してもすぐには契約が解除になる訳ではない」と上記で書きましたが【契約の解除】と【補償されるかどうか】は別問題です。

保険料を期日までに支払う事が出来ずに滞納してしまった場合で、翌月末までに滞納分を支払うことが出来なかった場合は、契約が失効し当初の支払期日まで遡って補償は効かなくなります。

つまり、滞納したからといってすぐに補償が効かなくなるという訳ではなく、支払の猶予期間の間は補償は有効ということです。

この様に失効までの猶予があるのは、1度支払期日に遅れたからといって、即座に補償されなくなってしまったのでは、病気や事故などによって止むなく支払が出来なかった人も補償が受けられなくなってしまうからです。

以下で、滞納中の事故について簡単な例を見てみましょう。

滞納中の補償について

毎月の保険料の引き落としが25日の事例。4月25日の引き落としが不能となった場合は、翌月の5月25日に2ヶ月分が引き落としされます。2ヶ月分の引き落としがされれば問題ないですし、払込票によって5月末までに支払をするのでも問題ありません。

この場合は、滞納中の5月10日に交通事故を起こしたとしても保険金の支払を受ける事が出来ます。

しかし、5月25日の引き落としが出来ず、5月末までの支払も出来なかった場合は、4月25日に遡って契約が失効し、以降の補償が受けられなくなります。

つまり、5月10日に交通事故を起こすと保険金の支払は受ける事が出来なくなります。

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保険料を滞納しない為に

どうしても毎月の保険料の支払がキツい場合、契約の見直しをすることをお勧めします。現状と同等の条件で今より保険料の安い保険会社を探すか、現状の補償を少なくする事で保険料は安く抑えることが可能です。

若しくは、毎月の保険料が支払えないくらいに資金繰りに困ってしまっている状態なのであれば、思い切って車を売ってしまうのも一つの方法ですね。

保険料を滞納し契約が解除されてしまうと、上記の様に等級の引き継ぎが出来ずに将来の保険料が高くなってしまいます。

安全運転をしているのに保険料が高くなってしまってはもったいないですから、滞納をしなくて済む様な保険設計が必要ですね。

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専門家からのコメント

中村 傑 (Suguru Nakamura)

大垣共立銀行を退職後、東京海上日動火災保険に代理店研修生として入社。研修期間を経て、2015年に独立開業。2020年に株式会社として法人成り、現在に至る。家業が自動車販売業であり事業承継者でもある。車と保険の両方の業務を兼務しており、専門領域が広い事が強み。

中村 傑(Suguru Nakamura) ブログ

保有資格:AFPMBA中古自動車販売士

コメント

この記事については契約者目線で書かれておりますが、事故の相手側、勤務先の経営者側の目線で補足解説させて頂きます。

これは代理店業務において実際にあった事例です。

現代の自動車保険の「保険証券」というのは、初回保険料の領収前に保険会社より郵送されるのが一般的です。企業にもよりますが、通勤で使用している車の自動車保険のコピーを定期的な提出を求めているケースが多くなっています。就職や転職により、新たに入社した際に、自動車保険が無契約だった為に慌てて契約、必要なのは「保険証券」であり、一度も保険料が支払われる事なく契約が解除となる事がありました。

(勤務先へ密告しようと思いましたが、個人情報なので留まりましたが)

上記のケースの通り、保険証券があっても6・7等級の場合、保険料が滞納により契約が無効となっている可能性があります。契約の有効性が疑わしい場合については、付保証明書の提示を求め、契約が有効になっているかを確認する事をオススメします。

※「付保証明書」とは、保険会社(保険代理店)が発行する自動車保険・火災保険の契約が有効であることを証明する証明書の事です。

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