この記事を読むのに必要な時間は約 5 分です。
警察の捜査が終了すると、警察の捜査資料やその他の判断材料を加味しつつ起訴か不起訴かの判断を検察官が行います。
そして起訴と判断した場合には検察官は正式裁判か略式裁判のどちらかを選択することになります。
両者の判断基準は概ね以下のように判断されているようです。
- 正式裁判-懲役刑又は禁錮刑を求刑するような交通事故
- 略式裁判-100万円以下の罰金刑を求刑するような交通事故
しかし、上記のような判断基準は有りますが、憲法37条では以下のように規定されています。
すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。
要は刑事事件の被疑者は正式な裁判を受ける事が原則であり、権利も持っているわけです。
そのため略式裁判と判断された被疑者はその内容に不服があれば裁判所に申立てをして正式裁判で判決を受ける事ができます。
ちなみに、日本では交通事故の刑事裁判に関しては略式裁判が圧倒的に多いです。
今回はこの正式裁判と略式裁判について説明していきたいと思います。
[myphp file=’kiji-top’]
正式裁判と略式裁判
原則である正式裁判は公開裁判所の法廷で裁判官の審理を受けた上で判決が下されることとなります。
そのおおまかな流れは以下の通りです。
- 1.罪状認否
- 2.証拠調べ・証人尋問
- 3.被告人質問
- 4.検察による論告・求刑
- 5.弁護士による最終弁論
- 6.判決
もし、一審の家庭裁判所や地方裁判所の判決に不服があれば上訴手続きを取り、二審の高等裁判所に控訴することが出来ます。
高等裁判所の判決にも不服があれば最高裁判所に上告し更に裁判を受けることになります。
正式裁判はこのような流れとなります。
■略式裁判について■
略式裁判は、正式裁判の「罪状認否~弁護士の最終弁論までの裁判手続き」を省き、検察官の提出する証拠書類のみで判決が下される簡便な裁判となります。
つまり法廷での審理は開かれること無く結論が下されます。
これを略式裁判と言います。
ただ、略式裁判の内容に不服がある場合には裁判所に申立を行えば改めて正式裁判を行うことも出来ます。
略式裁判の意義
冒頭でも書きましたが、正式裁判よりも略式裁判で処理される事故の数のほうが圧倒的に多いです。
なぜだか分かりますか?これは非常に簡単です。
略式裁判で結審したほうが労力がかからないからです。
裁判官の人数にも限りが有りますから、いちいち小さな事件まで正式裁判で処理をしているといくら時間があっても足りません。
日本では発生している人身事故のほとんどが怪我の程度が軽く、被疑者も犯行を認めていることが多いです。
また、罰を与えるにしても罰金100万円以下で終わるようなものがほとんどです。
だからこそ、略式裁判が積極的に活用されているわけです。
ただ、犯行を認めていない場合には争いが生まれるので、例え罰金刑の求刑でも正式裁判として処理をすることになります。
【コラム】弁護人の選任
起訴されて正式裁判になった場合には原則弁護士が必要になります。
弁護士費用はお金が無い人にとっては高いので私選弁護士を雇うのはかなり厳しいと思います。
が、過失運転致死傷罪に問われているような場合にはお金の無い人にも国選弁護人が付いてくれます。
ただ、国選弁護人は原則「起訴後」に選任されるので起訴されないようにして欲しい!と思っている人にあまり意味は有りません。
裁判を有利に進めたいのであれば判決が出る前、もっと言えば事故が起こった直後から弁護士を選任して民事・刑事双方を解決してくれるように頼むのが良いでしょう。
弁護士費用特約は民事裁判や示談についての問題解決・相談の為の特約なので刑事裁判に関しては使用できませんが、刑事裁判で弁護士が付いていなかったとしても示談が成立していれば刑事裁判の裁判官にもかなり良い印象を与える事が出来ますので、特約を上手く使って示談が成立するように弁護士に頑張ってもらう事は非常に有用です。
コメント
この記事へのコメントはありません。