この記事を読むのに必要な時間は約 10 分です。
自宅近くのコンビニや駅など、短時間だけ車を運転する時にすぐに履けるサンダルで出掛ける事って有りませんか?また、普段下駄(ゲタ)を履く人は少ないと思いますが、花火シーズンには浴衣姿に下駄を履いて車で出掛ける事が有ると思います。
実は、サンダルや下駄等を履いて運転する事が交通違反になる可能性が有るんです。どういうことなのか詳しく見ていきましょう。
サンダルや下駄等で車を運転したら交通違反になる?
冒頭で書いたように、サンダルや下駄で車を運転する行為は交通違反になる場合が有ります。
根拠となる条文は、道路交通法第71条六号です。
六 前各号に掲げるもののほか、道路又は交通の状況により、公安委員会が道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要と認めて定めた事項
ただこの条文だけでは、サンダルや下駄での車の運転が禁止されているのかどうかはっきりしません。従って、公安委員会が定めた道路交通法施行規則又は細則を見る必要が有ります。
道路交通法施行規則・細則は各都道府県の公安委員会が独自に定めており、その内容は微妙に異なります。つまり、サンダルや下駄での車の運転が違反になるかどうかは都道府県によって異なる事になります。
基本的にサンダルや下駄での運転は違反
では、早速各都道府県の道路交通法施行細則を見てみましょう。具体例として香川県と広島県の道路交通法施行細則を紹介しますね。内容は以下の通りです。
■香川県
第20条 (6) げた、サンダルその他運転操作に支障を及ぼすおそれのある履物を履いて自動車又は原動機付自転車を運転しないこと。
(引用:香川県の道路交通法施行細則)
■広島県
第10条 (6) サンダル、げたその他運転に支障を及ぼすおそれのある履物を履いて、自動車又は原動機付自転車を運転しないこと。
(引用:広島県の道路交通法施行細則)
このように「運転に支障を及ぼすおそれのある履物」を履いて運転する行為は禁止されています。そして、その例示としてサンダルと下駄が明記されています。そのため、広島県や香川県ではサンダルや下駄での車の運転は違反になります。
ここで注意して欲しいのは「例示されていない履物は違反にならない」と勘違いしてしまう事です。紹介した2つの県の場合だと「スリッパ」は例示されていませんよね。だからといって、スリッパを履いて運転しても良いわけでは有りません。
禁止されているのは「運転に支障を及ぼすおそれのある履物を履いての運転」です。例示されていなくいても「運転に支障を及ぼすおそれのある履物」に該当するのであれば違反になります。
スリッパに関して言えば、一般的にサンダルや下駄と同系統の履物です。サンダルや下駄が「運転に支障を及ぼす履物」に該当する以上、スリッパも「運転に支障を及ぼす履物」と考えた方が無難でしょう。
ただし、道路交通法施行細則に例示されていない履物の中でどのような履物が「運転に支障を及ぼす履物」に該当するのかは各都道府県の警察次第です。運転する前に、管轄の警察に確認しておいた方が良いでしょう。
なお、ほとんどの都道府県では「運転に支障を及ぼす履物」の例示として「下駄」のみを挙げています。例えば、兵庫県や岩手県などです。
■兵庫県
第9条 (7) げた、その他安全な運転に支障のあるものを履いて、自動車又は原動機付自転車を運転しないこと。
(出典:兵庫県の道路交通法施行細則)
■岩手県
第14条 (1) 運転の妨げとなるような服装をし、又は下駄たその他運転の妨げとなるような履物を履いて自動車又は原動機付自転車を運転しないこと。
このような道路交通法施行細則であっても考え方はさきほど紹介した通りです。サンダルやスリッパでの運転は避けた方が無難でしょう。
サンダル・下駄等での運転が違反となった場合の点数と反則金
サンダル・下駄等で車を運転していて警察に取締りを受けた場合は「公安委員会遵守事項違反」となります。反則金は以下の通りです(参考:警視庁)。
違反名 | 反則金(普通車) | 点数 |
---|---|---|
公安委員会遵守事項違反 | 6,000円 | 0点 |
【参考】ベルトで踵(かかと)が固定されるクロックスも違反になる?
クロックスもサンダルの仲間ですが、ベルトで踵(かかと)を固定出来るので、一般的なサンダルよりは脱げにくくなっています。そのため、ベルトを踵に回して足を固定していれば「違反にならない」という意見も有ります。
しかし、結局クロックスもサンダルの仲間なので、違反になるかどうかの考え方はサンダルと同じです。つまり、各都道府県の公安委員会が規定している「道路交通法施行規則又は細則」次第という事になります。
ただし、施行規則には「クロックスがOK」とは明示されていないので、違反になるかどうかを警察に確認した方が良いでしょう。
ちなみに、山梨県では以下のように規定されています。
第10条 三 げた、足に固定しないサンダル、スリッパ等運転操作を妨げるおそれのある履物を履いて自動車又は原動機付自転車を運転しないこと。
(引用:山梨県の道路交通法施行細則)
「足に固定しないサンダル」が違反となるので、「踵をベルトで固定するクロックス」を履いて車を運転する事は違反にならなそうです。条文を読んでの予想なので、山梨県に住んでいる人も念の為警察に確認して下さいね。
なお、クロックスで車を運転して違反となった場合もサンダルと同様に反則金6,000円(普通車の場合)、点数は0点です。
裸足での運転は違反になる?
これまでサンダルやゲタなど、運転操作を妨げる可能性がある履物を履いての運転は違反行為であると記述してきましたが、裸足での運転はどうなのでしょうか。
「運転に支障がある履物どころか何も履いてない状態なので問題ないのでは?」と考える人も多いかもしれません。
実はこの行為、法律的には問題ありません。
基本的に踵がロックされていない履物が運転に支障をきたすと判断されるので、裸足での運転は法律では認められています。
最近ではあまりみませんが、車内を土足禁止にしている人っていますよね。
つまり、マイカーを土足禁止にしている人は、乗車する際に靴を脱いで裸足で運転をしている事になります。
もちろん、この行為自体は違反ではありません。
しかし、裸足での運転は危険との意見も多く、あまり推奨できるものではありません。
なぜ裸足運転が危険なのか?
裸足での運転が推奨できない理由としては、ブレーキの踏み込みがあまくなるからです。
本来、車のブレーキペダルは靴を履いた状態で踏むことを想定して作られているので、裸足で運転することは考慮されていません。
つまり、急ブレーキが必要な際に、うまく力がペダルに伝わらずにフルブレーキをかける事ができないのです。
これが裸足での運転が違法でないにしても危険だと言われる理由です。
裸足運転をする時の注意
サンダルなどで車を運転をして出かけて、出先でこの記事を読んだ人は、もしかしたら「帰りはサンダルを脱いで裸足で運転して帰ろう」と考えるかもしれません。
その際に注意してほしいのが、履物を運転席で脱いだままにしない事です。
履物を運転席の足物に転がしておく、又はシートの下に押し込むなどの状態で運転すると、運転中の揺れや衝撃などで履物がブレーキやアクセルペダルの下に潜り込んでしまう可能性があります。
そうなると、とっさにブレーキやアクセルを踏めない状態となってしまい、非常に危険です。
日常的に車内を土足禁止にしている人であれば気を付けている事ですが、やむなく裸足運転をする場合には注意が必要です。
まとめ
サンダルや下駄、スリッパ等での車の運転は基本的に違反になりますが、都道府県によっては違反にならない履物も有ります。
従って、どのような履物が違反になるのかを知りたい人は警察に確認するようにして下さい。
なお、サンダル等での運転はスニーカーなどの運転しやすい靴と比べると事故を起こす危険性が高くなります。たとえ違反にならなかったとしてもサンダルでの運転は控えた方が良いでしょう。
関連記事をチェックする