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交通事故後、警察の捜査が終了したら検察の捜査へと移行します。
ただ、検察の捜査は1から新しく始めるのではなく、警察の捜査資料(実況見分調書、供述調書など)を元に行われます。
以下、検察で下される処分の内容や検察官が処分を下す時に指針とする判断基準などを見ていきましょう。
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検察官の判断材料
検察官は警察の捜査資料を基に起訴・不起訴の判断をしますが、それ以外にも検察官本人が取り調べ捜査を行った結果やそれ以外の資料も判断材料として扱います。
処分内容の詳細は後述しますが、起訴処分と判断されれば最悪の場合には懲役刑です。
つまり、前科が付いてしまうという事ですね。
軽微な交通事故で起訴処分をされないようにするためにも、検察官の判断材料を把握しておきましょう。
もちろん、一番大事な事はそもそも交通事故を起こさないように努力することです。
検察官の捜査
検察は警察の捜査資料を基に被疑者(加害者)に取り調べを行います。
この捜査資料に、貴方にとって不利になるような誤った記載が有ったとしたら、思わぬ損害を被る事になります。
ですので、捜査資料に間違いが有れば、しっかりと指摘して捜査をやり直してもらうようにしましょう。
被害者からの要望書
交通事故の被害者は、検察官に対して加害者の起訴内容を厳罰に処してくれるように要望書を提出する事が出来ます。
加害者が反省の態度を示さない場合や、加害者の誠意がなく示談がなかなかスムーズに進まないといった場合に提出されることが有るようです。
要望書の提出が認められるためには、上記のような正当な理由が必要ですので、加害者への恨みを晴らすためだけに要望書を提出しても意向通りにはなりません。
また、被疑者(加害者)としては、こういった要望書が提出されると検察官の判断に悪影響を及ぼすので、謝罪や示談は誠意を持って早めに行うべきでしょう。
間違っても謝罪代行会社を利用してはいけませんよ。
加害者の情状
示談の成立や示談が成立していなくても自己負担での損害の補償、また被害者側からの減刑の嘆願書は検察官の減刑判断に影響します。(参考:示談の効果)
なので、示談書を既に受け取っていたり、被害者に治療費などを支払った証拠としての領収書が有る場合には、積極的に検察官に提出しましょう。
検察で判断される処分の詳細
検察官は、警察から送られてきた事件を元に捜査を行い、前セクションで記述した判断材料等も踏まえて被疑者の処分を決定します。
この処分は概ね以下の5つに分類されます。
-
■起訴する場合
- 正式裁判
- 略式裁判
- 家庭裁判所へ送致(少年(20歳未満の場合)の場合)
- 起訴猶予処分
- 嫌疑不十分
■不起訴とする場合
起訴処分の詳細
検察官が【起訴処分が妥当である】と判断した時に、正式裁判と略式裁判のどちらになるかは【求刑内容】を基準に判断されます。
具体的には「求刑が懲役刑又は禁錮刑」の場合に正式裁判、「求刑が100万円以下の罰金刑」の場合には略式裁判として処理される事になります。
しかし、被疑者が犯行を否認している場合や略式裁判に異議がある場合には正式裁判で処理されます。
不起訴処分の詳細
検察が不起訴処分とする場合は「起訴猶予処分」もしくは「嫌疑不十分」のどちらかとして処理されます。
それぞれに該当する状況としては、以下のようなケースが考えられます。
■起訴猶予処分
被害者の傷害の程度が軽く、被疑者に重大な交通違反(飲酒運転や赤信号無視など)の経歴がなく、示談が成立している又はその可能性が高いと考えられるような場合には、検察官は起訴猶予処分とする事が多いようです。
■嫌疑不十分
被害者に重大な過失があり、被疑者(加害者)の過失責任が十分に認定できないような場合に嫌疑不十分として処理されるようです。
【コラム】不起訴処分に対する不服申し立て
捜査の結果、加害者に対する処分が不起訴になることも良く有ります。
しかし、被害者や被害者の家族としては不起訴処分に納得出来ない場合も有ると思います。
怪我の程度が軽かったら、被害者側としてもそんなに文句が出てくることは無いと思いますが、後遺障害を負ったり死亡してしまうような大事故で不起訴処分が下されると、怒りがこみ上げてくる事も有るでしょう。
こんな時に使える制度が【不服の審査申立】です。
加害者に対する不起訴処分に不服があれば、高等検察庁に対して申立を行いましょう。
不服の審査申立がなされると、検察審査会や高等検察庁が審査を行い、その結果、不起訴処分が相当でないと判断した場合には、処分を行った検察庁に対して再度捜査をするよう命じます。
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