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仮免許運転違反はどんな違反行為?
道路交通法で違反行為と指定されている項目の一つに、仮免許運転違反というものがあります。
これは違反名の通り、仮免許で運転したという違反行為に当たります。
仮免許しか持たない人でも、いくつかの条件を満たせば仮免許運転違反とならずに公道で運転の練習をする事は可能なのですが、この条件を守らないと仮免許運転違反として厳しく処罰されるので注意が必要ですね。
仮免許でも仮免許運転違反にならずに運転できる?
そもそも自動車の免許を取得する際には、教習所で練習をして仮免許を取得し、その上で路上教習などを受けて試験を受けてから本免許を取得するという流れになっています。
仮免許を取得しても本免許ではないため、基本的には本免許を持っているドライバーのように運転することは道路交通法によって認められていません。
しかし仮免許の場合には、いくつかの条件を満たすことによって公道での運転がOKとなっています。
その条件というのは、 1つ目に仮免許を持っているという事、
2つ目は運転歴3年以上のドライバーなどの条件を満たす同乗者がいるという事、
3つ目には仮免許練習中というプレートを掲示している
という3つの条件を満たすことによって、仮免許しか持たないドライバーでも仮免許運転違反することなく公道で運転ができます。
自動車教習所には通っているけれど、仮免もまだ持っていないという人や、教習所で知り合った友人を乗せて運転するとか、免許取り立ての人を同乗者にするというのもNGですし、条件を満たす同乗者を乗せていても、仮免許練習中のプレートを掲示しなければ、それだけでも仮免許運転違反として罰則を受ける事になります。
ちなみに、仮免許練習中のプレートは、免許センターや教習所などで販売されていることがあるので、もしも仮免許を取得したら運転の練習をしたいと考えている人は、仮免許運転違反のリスクを冒さなくても条件を満たせば堂々と運転の練習ができます。
まずはプレートを購入して準備すると良いでしょう。
仮免許運転違反の処罰は本免許と同じ
仮免許ではなく本免許を持っているドライバーの場合には、交通違反行為をすると警察官に止められて、免許証を提示して減点や罰金などの罰則を受ける事になります。
しかし仮免許の場合には、警察官に止められて免許証を見せろと言われても、本免許を持っていないわけですから、見せることができませんよね。
仮免許運転違反では、まだ免許を持っていない人でも本免許を持っているドライバーと基本的には同じ処分や罰則が適用されます。
減点が6点で免許停止の処分となりますし、減点の累積が15点になれば、本免許を取っていなくても免許取り消しという重い罰則を受ける事になります。
仮免許運転違反によってどのような事態が想定されるのか、ここでは具体的な例を挙げて説明しましょう。
例えば、仮免許を持っている人が一般道でスピードオーバーをして、3点の減点をされたと仮定しましょう。 減点3点は免許停止にも免許取り消しにもなりません。 この場合、仮免許運転違反という違反にはならず、スピードオーバーによる青キップが切られることになりますよね。 仮免許運転違反にならない理由は、仮免許のドライバーが公道を走るための条件を満たしているからです。 その結果、仮免許を持っているドライバーはそのまま継続して教習所に通い続けることができますし、本免許の試験に合格すれば免許を交付してもらうことができます。
もしもスピードオーバーなどで減点が3点以上になってしまった場合には、6点を超えなければ免許停止にはなりませんが、初心者講習を受ける必要があります。
また、一般道でスピード違反をすると、どのぐらいの違反をしたかによっては減点が6点となり、免許も取得していないのに免許停止処分という罰則が科せられることもあります。
減点6点の場合には、免許停止期間が30日間となりますが、この30日間のカウントは、赤キップを受け取った日からのカウントではないので注意しましょう。
赤キップを受け取っても教習所に続けて通うことはできますし、本免許を交付してもらうことも可能です。
しかし、試験に合格して免許を交付してもらえるはずでも、免許停止期間の30日のカウントがそこから始まるため、30日間は免許の交付が保留という扱いになり、試験に合格しても免許証を受け取ることはできません。
ちなみに、30日間の免許停止期間が過ぎれば、問題なく免許を発行してもらうことができるので安心してください。
仮免許運転違反は『未成年』と『成人』とで扱いが異なる?
仮免許運転違反を含めて道路交通法の違反行為をすると、どんな違反行為をしたかによって減点され、その点数に合わせて反則金や罰金を支払う義務が発生します。
減点6点未満の場合には反則金を支払うことになりますが、これは仮免許のドライバーが成人でも未成年でも変わらず、支払う義務が発生します。
しかし減点6点以上になると、反則金ではなく罰金という分類となり、この場合には成人なら支払う義務がありますが、未成年の場合には支払う義務がなくなるという特例がついています。
仮免許なのに一人で運転をすると仮免許運転違反
仮免許を持っている人は、条件を満たす同乗者を乗せずに一人で運転することはNGです。
これは、仮免許運転違反という違反行為に該当し、点数が減点されるだけでなく、厳しい罰則と罰金が科せられることになります。
仮免許運転違反の場合には、違反の点数は12点となり、これは一発で免許停止となるレベルです。
実際に本免許を持っている人が12点の減点となる違反行為をするとなると、スピード違反で言うなら一般道を50キロオーバーで走行した時と同じぐらい重い罰則なのです。
一人で運転することによる仮免許運転違反は、そのぐらい重たい違反だということを理解しておきましょう。
スピード違反などをしなくても、仮免許保持者が1人で運転しているということ自体が仮免許運転違反となり、一発で免許停止となってしまうので注意しましょう。
仮免許運転違反の罰則は、点数が12点減点されるだけではありません。
免許停止期間は90日間なので、無事に教習所での教習を終えて試験にも受かり、いよいよ本免許を発行してもらえる段階になっても、そこから免許停止の90日間のカウントが始まるため、90日間は免許を交付してもらうことができません。
教習所にのんびり通いながら90日間を待つということはできないので注意してくださいね。
仮免許運転違反の怖さは長く続く
仮免許運転違反をする事の怖さは、本免許の試験に合格しても90日間交付してもらえないというだけではありません。
12点の減点は赤キップという扱いになり、行政処分の対象となります。
つまり、前歴1回とカウントされてしまいます。
前歴がつくということは、次から交通違反を犯してしまうと、少ない減点数で重たい処罰の対象となってしまうということで、他の初心者ドライバーと比べると、『免許取り消し』まで距離がかなり短いということになりますね。
前歴1回の場合、違反点数が10になると免許取り消しという処分が下ります。 そうならなくても、違反点数が4点~5点で60日間の免許停止、6点~7点で90日間の免許停止、8点~9点で120日間の免許停止処分となってしまいます。 前歴がないドライバーの場合には、免許停止には15点の減点が必要ですし、前歴1回の人が免許取り消しの処分となる減点10点では、60日間の免許停止処分を受ける事になります。 罰則の点では、前歴0回と1回とでは雲泥の差があることが分かるでしょう。
仮免許運転違反の罰則はそれだけではありません。
仮免許運転違反をすると『6か月以下の懲役または10万円以下の罰金』という処罰が課せられます。
多くの場合には罰金を支払えば懲役になることはありませんが、罰金を払えなかったり払わなかったりして未払になってしまうと、財産を差し押さえられてしまいますし、それでも罰金の金額に相当する分を回収できない場合には、労役場留置と言って懲役刑となってしまいますね。
同乗者に対する罰則は?
仮免許運転違反に違反する原因はたくさんありますよね。
仮免許しか持たないドライバーが単独で運転するのは言語道断ですが、本人は仮免許運転違反にならないように注意していたはずでも、ウッカリした原因によって仮免許運転違反になってしまうことはあります。
例えば、仮免許をウッカリ自宅に置いてきてしまって、一時停止でしっかり止まらずに曲がってしまった、なんてことがあるかもしれませんし、そうしたことで警察に止められる可能性もあります。
交通違反をした場合には、仮免許でもドライバーが処罰を受ける事になり、減点や罰金などの罰則が適用されますが、同乗している人に対しては、こうした罰則は適用されません。
仮免許運転違反の項目でも、同乗者は仮免許を持つドライバーに適切な指導をすることが求められているものの、正しい指導を行う義務が生じているわけではありません。
もちろん、交通違反にならないように正しく指導をしたり注意をする役割がありますが、その役割をどこまで完璧に遂行できたかという点については罰則を受ける規定はないのです。
仮免許運転違反で事故を起こすとどうなる?
仮免許運転違反にならないように細心の注意を払って練習していても、交通事故を100%防ぐことはできませんよね。 しかし、仮免許運転違反による交通事故は、厳しい処分の対象になることを覚悟した方が良いでしょう。 もしも仮免許運転違反で交通事故を起こしてしまった場合や酒酔い運転など悪質かつ重大な交通違反行為をした場合には、一発で免許取り消しになる可能性が高くなります。 まだ教習所に通っていて本免許も取得できていない状態なのに免許取り消しになってしまうということは、教習所に通い続ける事が出来なくなるということでもあるので注意しましょう。
免許停止の処分になると、欠落期間が発生します。
仮免許運転違反の場合には、欠落期間が過ぎるまでは教習所に通うことが出来なくなるため、欠落期間となる3年~6年という長い年月を経たのちに、再び教習所を再開して本免許の取得に臨むということになるでしょう。
自動車の運転免許証を取得したくて通っている教習所なのに、免許を取得する前に仮免許運転違反をしてしまうと、長期にわたって大切な計画が崩れ落ちることになりかねませんよね。
自動車を運転できないどころか免許すら交付されず、しかも教習所も途中の段階でストップしなければいけなくなってしまいます。
日常生活にも大きな影響が出てしまいますから、こうした事態にならないように、くれぐれも仮免許運転違反にはならないように注意しましょう。
仮免許運転違反をしないための対策
仮免許運転違反は、自分で気を付けることによって十分に回避できる交通違反行為です。
自動車教習所の外でも運転の練習をして少しでも運転スキルをアップしたいと考える気持ちは、決してマイナス評価されるわけではありません。 しかし、仮免許運転違反は本免許を持たない仮免保持者が、一般の公道を走ることによって他人に少なからず迷惑をかけてしまう可能性が高いことは、あらかじめ理解しておかなければいけません。
自分では大丈夫と思っている行為でも、周囲にとっては危険極まりない行為になることはありますし、何が安全で何が安全ではないかという点を理解しきれていないので、教習所で教官を乗せて運転する時よりも安全運転を心がけなければいけませんよね。
仮免許運転違反にならないための対策はいくつかあります。
1つ目は最も簡単な方法で、本免許を取得するまでは教習所以外では運転しないという方法がありますよね。 日本の自動車教習所のカリキュラムでは、別の所で自主的に運転をしなくても、カリキュラムの中で十分に基本的な運転スキルを身に着けられる内容となっています。 そのため、無理に外で運転の練習をして仮免許運転違反のリスクを冒してしまうよりは、教習所の教官からしっかりと指導を受けて免許を取得してから、初心者マークをつけて運転の練習をするという方法が安心かもしれません。
2つ目の方法は、仮免許運転違反ならないように運転前には満たさなければいけない条件をしっかりと確認する作業が必要ですね。 仮免許を携帯するという点や、運転歴3年以上のドライバーに同乗してもらうという部分は忘れにくいものですが、仮免許運転中と記載されたプレートを掲示するという部分は、多くのドライバーがウッカリ忘れてしまって仮免許運転違反となってしまう傾向にあります。 教習所とか免許センターなどで販売されているものを購入すれば、プレートの規格などについては詳しく知らなくても安心ですが、もしも自作でプレートを作る場合には、プレートの大きさや色、文字のサイズやフォントなどについて細かい規定があるので、しっかりとカバーするようにしてください。
仮免許運転違反にならないためにはプレートを掲示しよう
仮免許運転違反とならない仮免許練習中プレートのスペックですが、プレートの大きさは「縦17㎝」で「横は30㎝」、「白いプレート」に「黒いマジック」で『仮免許練習中』と書かなければいけません。
1行目には仮免許と縦横4㎝の大きさの文字で書き、2行目には練習中と縦8㎝横7㎝の文字で書く必要があります。
最初からマジックで書くと書き直しができないので、まずは鉛筆で下書きをして文字のサイズを確認してから、マジックで上書きするのがオススメですね。
また、仮免許練習中のプレートは、前後に1枚ずつ掲示しなければいけません。
後ろだけに掲示していると仮免許運転違反となってしまいますし、前だけに掲示するのも仮免許運転違反となるので注意してくださいね。
また、他のドライバーから見えやすい場所という指定があるので、その点も気を付けましょう。
仮免許運転違反は百害あって一利なし
仮免許運転違反の前歴があると、免許を取得した後にわずかなスピードオーバーでも、あっという間に免許停止や取り消しの罰則が適用されてしまうので、せっかく取得した運転免許をすぐに失うことになってしまうかもしれません。
そうならないためには、仮免許運転違反は徹底的に避けたい交通違反と言えるでしょう。
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