替え玉事故の犯人に課せられる隠避罪

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ひき逃げやあて逃げの交通事故があった場合に犯人が後日出頭して逮捕されるようなニュースを見た事がありますよね。

この加害者は本当に犯人なのでしょうか?

一般的に交通事故が起きた時には当事者がその場に留まり警察を呼び事故の処理をするため誰が加害者で誰が被害者なのかが明白ですが、加害者が逃走してしまったような場合には車両は特定できても誰が運転していたのかまではわからなくなります。

このような場合には本当の加害者が誰かに頼んで罪を被ってもらうような事が起きてしまうのではないでしょうか?

このように本当の加害者の代わりにその交通事故とは全く関係の無い人が嘘をついて犯人であると申し出る事を替え玉といい、加害者の身代わりになる人を替え玉犯、このような交通事故の事を替え玉事故と言います。

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どんな場合に替え玉をすることが考えられるのか

勝手に替え玉犯が生まれる事は考え難いですよね。

本当の加害者がなんらかの理由で交通事故を隠したが為に家族・知人・部下などに替え玉犯になってくれるように頼む事が考えられます。

替え玉をする理由

①飲酒運転
②無免許運転(免停中)
③社会的地位の確保 等

これらの理由は単独の場合もあれば複合して存在している場合もあります。

飲酒運転で捕まったら会社を首になってしまうから妻にお願いする事などが考えられますね。

社会的地位の確保は仕事や役職を失ってしまうからなのでしょうが、飲酒運転や無免許運転などはなぜ替え玉をしようとするのでしょうか?

飲酒運転・無免許で逮捕されたら

飲酒運転や無免許で人を事故をおこした場合の罰則

飲酒運転の場合は致死:15年以下の懲役、致傷:12年以下の懲役

無免許の場合は刑が加重され
15年以下の懲役⇒6ヶ月以上20年以下の懲役
12年以下の懲役⇒15年以下の懲役
7年以下の懲役等⇒10年以下の懲役


(出典:警視庁

このような罰則が規定されています。

替え玉をしようとする人は正確な数字は知らないにしても罪が重い事は認識しているので罪を逃れる為に替え玉をしようとするのでしょう。

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替え玉がわかった場合の罰則

警察の捜査で身代わりだとわかった場合には替え玉犯は、交通事故に関しては関係が無いので無罪となります。

しかし、犯人隠避罪という罰則を受けることになります。

罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、2年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。

刑法103条

本当の加害者は、本来の道路交通法違反と交通事故の罰則を受けることになります。

 

合わせて読みたい

交通事故の刑事責任-道交法や過失運転致死傷罪について

 

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替え玉事故における保険会社の対応

任意保険会社の対応を考える前に損害額が自賠責保険の限度額内であった場合には、替え玉事故であったとしてもなかったとしても被害者保護の見地から保険金は支払われるので、被害者は損害賠償においては重要な問題を抱える事はありません。

しかし、損害額が自賠責保険の限度額を超える場合には問題となってきます。

なぜ問題になるかというと事故が起きた場合には契約者は保険会社に連絡する義務いわゆる通知義務があります。

またただ連絡すればいいだけではなく事故の状況つまり、いつ?どこで?誰が運転していたのか?を正確に伝えなければいけません。

気付いた方も多いと思います。

「誰が運転していたのか?」この通知事項が替え玉事故の場合には虚偽の連絡がされているという事です。

また替え玉事故なので事故が起きてすぐの連絡ではなく、事故現場から逃げて替え玉となってくれる人を用意する時間が経過している事も問題になります。

このような通知事項や通常考えられない保険金請求に関して多くの任意保険会社の保険約款には以下のように記載されています。

■事故後の通知事項に関して

事故後の通知事項について、ただちにご連絡いただけなかったことによって損保ジャパン日本興亜に生じた損害につきましては、保険金のお支払いの対象とならない場合がありますのでご注意ください。

■重大事由による契約解除又は保険金の支払いの拒否

被保険者または保険金を受け取るべき方が、保険金の請求について詐欺を行った場合

引用「損保ジャパン日本興亜約款

替え玉は轢き逃げ・当て逃げ事故となりますので、すぐに被害者の救護措置を取っていたら損害が軽くなっていた可能性もあります。

しかし、事故現場から逃げてしまった事で損害が拡大したとされればその損害拡大分に関しては保険金が支払われない可能性があります。

また、替え玉の事故報告が詐欺に該当した場合にも同様です。

被害者としては保険会社に損害賠償を支払ってもらうことが一番ではありますが、以上のように保険会社が支払いを拒んだ場合には直接加害者個人に賠償請求する他なく加害者が無資力だった場合には損害を補填する事がほぼ不可能となってしまいます。

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