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毎年、交通違反が原因で死亡事故が多発しています。
では、どの交通違反が死亡事故の原因として最も多かったか分かりますか?
「スピード違反!」
と答える人が多いかもしれませんね。
実はそうでは無いんです。
果たして死亡事故原因として最も多かった交通違反はどれなのでしょうか?死亡事故に繋がった交通違反をランキング形式で紹介します。
なお、今回紹介する交通違反以外でも死亡事故は発生しています。
交通ルールを守って運転するようにして下さいね。
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死亡事故の原因となる交通違反ランキング
警察庁によると、平成28年における死亡事故の原因となった交通違反は以下のようになっています。
順位 | 交通違反 | 死亡事故件数 |
---|---|---|
1位 | 安全運転義務違反 | 1,963件 |
2位 | 歩行者妨害等 | 252件 |
3位 | スピード違反 | 199件 |
4位 | 通行区分違反 | 192件 |
5位 | 信号無視 | 119件 |
* 原付・自動二輪・自動車の死亡事故件数です。
* 交通違反は事故の第一当事者(事故の当事者のうち過失がもっとも重い人)が犯したものです。
ちなみに、6位は104件で「優先通行妨害」、7位は101件で「一時不停止」となっています。
【1位】安全運転義務違反
死亡事故の原因となる交通違反第1位は「安全運転義務違反」です。
なんと件数は1,963件です。
その他の違反と比較すると非常に多い事が分かります。
というのも、安全運転義務違反は道路交通法で以下のように規定されていて、人身事故を起こせば、基本的にこの違反に問われる事になるからです。
第70条 車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。
安全運転義務違反以外の交通違反を犯していなければ、死亡事故の原因となる交通違反は必然的に安全運転義務違反という事になります。
だからこの違反が突出して多い結果となっているんですね。
この安全運転義務違反ですが、具体的には以下のような運転が該当します。
- 操作不適
- 前方不注意(脇見運転・漫然運転)
- 動静不注視
- 安全不確認
- 安全速度違反
- 予測不適
- その他
ちなみに、これらの中で最も死亡事故原因として多かったのが「前方不注意(1,105件)」です。
漫然運転が593件、脇見運転が412件となっています。
車両を運転する際は、運転にだけ集中するようにしましょう。
また、集中力が欠けていると感じたら早めに休憩するようにして下さいね。
【2位】歩行者妨害等
死亡事故の原因となる交通違反第2位は「歩行者妨害等」です。
件数は252件です。
歩行者妨害等とは、横断歩道や横断歩道が設置されていない交差点付近を横断している歩行者又は自転車の進路を妨害する違反です(道路交通法第38条)。
横断歩道を通過する際に、停止できる速度で進行しなかったり、横断している歩行者がいるのに一時停止しなかった場合には取締りを受ける事になります。
なお、歩行者がいない事が明らかな場合は、停止できる速度で進行する必要は有りません。
この事から、歩行者妨害等は「車対人(自転車含む)」の死亡事故の原因である事が分かります。
左折する際に歩行者が死角に入っていたり、右折する際に対向車ばかり気になって歩行者を見過ごしていたり・・・。
減速せずに歩行者と衝突して死亡させてしまうケースが多いのかもしれません。
横断歩道以外でも言える事ですが、歩行者の事を常に考えて安全運転をするようにして下さい。
【3位】スピード違反
死亡事故の原因となる交通違反第3位は「スピード違反」です。
件数は199件です。
スピード違反は死亡事故に限らず、事故の原因になりやすい違反です。
その理由は以下の通りです。
- スピードが速いほど、車の操作が困難になる
- スピードが速いほど、視界が狭くなる
- スピードが速いほど、停止距離(空走距離+制動距離)が伸びる 等
危険の察知が遅れたり、回避行動が遅れたりするので、速いスピードで走行する事は非常に危険なのです。
そして速度が速ければ速いほど、衝突した際の衝撃が大きくなります。
そのため、スピード違反は死亡事故に繋がりやすい交通違反となるのです。
もちろん、法定速度で走っていても死亡事故は起きてしまいますが、それでも法定速度を守る事はドライバーの基本です。
法定速度を守り、その上で安全運転を心掛けるようにしましょう。
【4位】通行区分違反
死亡事故の原因となる交通違反第4位は「通行区分違反」です。
件数は192件です。
通行区分違反は、道路交通法で以下のように規定されています。
第35条 車両(軽車両及び右折につき原動機付自転車が前条第五項本文の規定によることとされる交差点において左折又は右折をする原動機付自転車を除く。)は、車両通行帯の設けられた道路において、道路標識等により交差点で進行する方向に関する通行の区分が指定されているときは、前条第一項、第二項及び第四項の規定にかかわらず、当該通行の区分に従い当該車両通行帯を通行しなければならない。
例えば、右折専用レーンから右折せずに直進したり、直進レーンから右折した場合などに通行区分違反となります。
この通行区分違反はかなり危険な違反です。
なぜなら、他の車両からすれば、違反車両の動きは想定外だからです。
交差点で右折待ちをしていたとしましょう。
対向車線には右折レーンを走行して来る車が1台、直進レーンを走行して来る車は有りません。
この状況では誰もが右折するはずです。
この時、対向車線の右折レーンを走行していた車が右折せずに直進してきたら・・・考えただけで怖いですよね。
通行区分違反は、慣れていない道路で犯しやすい違反です。
どの交差点に右折専用レーンなどが設置されているか分かりませんからね。
そのため、知らない道を運転する際は、通行区分に注意して運転するようにしましょう。
【5位】信号無視違反
死亡事故の原因となる交通違反第5位は「信号無視違反」です。件数は119件です。
信号無視も非常に危険な違反行為です。
さきほどの「通行区分違反」と同様に、人・車共に信号を無視して通行・走行するとは誰も想像していないからです。
しかも、車と車の事故の場合では、お互いにある程度の速度が出ている状態で衝突する事になります。
信号無視をする車両は、法定速度を守っていない場合も多く、凄まじい衝撃が被害者を襲います。
そのため、信号無視が原因で発生する事故は、死亡事故に繋がりやすいのです。
「信号を守る事」これは小学生でも守っているルールです。
ハンドルを握る人は、そのルールをもう一度再認識し、必ず信号を守って車を運転するようにしましょう。
まとめ
今回は死亡事故の原因となる交通違反について紹介しました。
安全運転義務違反が1位になっている事から分かるように、ちょっとした心の隙・油断が死亡事故に繋がってしまいます。
そのため、交通ルールを遵守する事はもちろんですが、安全運転をより意識してハンドルを握るようにして下さいね。
なお、死亡事故となれば損害賠償金も高額になる事が多いです(高額賠償事例)。
もしもの時に備えて自動車保険には加入しておくべきでしょう。
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