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警察官現場指示違反は、道路交通法によって定められている違反行為の一つで、懲役3ヶ月以下または罰金5万円以下という罰則があります。
点数も2点の減点となりますが、警察官現場指示違反の場合には青キップではなく赤キップが切られることになるという点が他の違反行為とは異なる特徴となっています。
赤キップとなると刑事事件として裁判を受ける事になるので、できれば避けたいものですね。
警察官現場指示違反はどんな違反行為?
道路交通法で定められている違反行為にはいろいろなものがありますが、警察官現場指示違反もそうした違反行為の一つです。
警察官現場指示違反はどういう違反行為かというと、一言で言うなら、道路などにおいて交通の誘導をしている警察官の指示に従わないという違反行為ですね。
一般的には、道路には信号や道路標識などが立っていて、ドライバーはそうした指示に従って安全運転をしますよね。
しかし、場合によっては、信号機の故障や道路の工事などで通常通りの通行ができないことがあります。
いつもなら両方向1車線ずつ通ることができるのに、工事中で片側1車線のみが通行可能になっている、という場合ですね。
また、落雷や停電などによって信号機が止まってしまうと、交差点などでは交通が麻痺してしまうことも考えられます。
そうした時に、実際に道路に立って信号機や道路標識の代わりに指示を出してくれるのが、警察官です。
そして、この警察官の指示に従わないと、警察官現場指示違反という違反行為となってしまうのです。
警察官現場指示違反に該当する違反行為は他にもあります。
例えば、警察官に運転免許証を提示するように言われて拒否すると、警察官現場指示違反になってしまいます。
何もやましいことがなければ警察官に免許証を見せても損をする事はないのですから、素直に提示したほうが賢明ですよね。
もしも、ウッカリ運転免許証を自宅に置き忘れて持っていなかった、なんていう場合には、どうしたら良いのでしょうか?
運転免許証を携帯せずに運転することは、道路交通法では違反行為となってしまうので、その先は運転することはできません。
そのため、免許証を見せたくないために「持っていない」とウソをつくことは、警察官現場指示違反になるだけでなく、決して賢い選択ではないので注意してくださいね。
もしも持っていない場合には、正直に持っていないことを打ち明けるのが得策です。
その場合には、免許証不携帯という別の違反行為が適用されることになりますが、警察官現場指示違反には該当しないと判断してもらえることが多いようですね。
警察官現場指示違反に類似した違反行為にはこんなものがある
道路交通法によって定められている違反行為の中には、警察官現場指示違反と類似したものもあります。
例えば、高速道路で事故があった時などに、警察官が交通渋滞を少しでも安全に緩和するために道路に立って指示を出していることがありますが、その指示に従わなければ、警察官現場指示違反ではなくて高速自動車国道措置命令違反という違反行為が適用されます。
また、自然災害によって土砂崩れが起こったりすると、安全に道路を走行できなくなるために道路の通行が禁止されることがあります。
その判断は、道路交通法に基づいて警察官によって行われますが、その禁止措置を無視して通行しようとすると、警察官現場指示違反ではなくて警察官通行禁止制限違反という違反行為が適用されることになります。
パトカーの停止命令を無視すると警察官現場指示違反になる?
違反行為の中には、警察官現場指示違反に該当しそうな行為でも実際には別の違反行為に該当する行為もあります。
例えば、道路を走行している時にパトカーや白バイなどに停止するように促された場合を考えてみてください。
もちろん、警察官に止まれと言われたら止まるのが一般的なのですが、中には事情があったり気づかずに無視したりしてしまうことがあるかもしれませんよね。
この行為は、警察官現場指示違反に当たるのでは?と考えがちですが、実際には警察官現場指示違反にはなりません。
しかし、警察官現場指示違反にならないから違反行為に当たらないと考えるのは間違っていて、警察官の停止命令を無視すると、停止命令違反という別の違反行為になってしまいます。
警察官現場指示違反にはどんな罰則があるの?
警察官現場指示違反は道路交通法という法律に違反する行為となり、違反すると罰則を受ける事になります。
警察官現場指示違反の罰則は、懲役3か月以下または罰金5万円以下となっていて、通常の場合には罰金での対応となります。
よほど悪質な場合や罰金を支払うことが難しい場合、差し押さえる資産もない場合などには、やむなく懲役刑が課せられることはありますが、警察官現場指示違反で懲役というのは一般的ではありません。
そして、警察官現場指示違反は道路交通法に違反する行為なので、違反点数もついています。
違反点数は2点の減点となりますね。
通常の場合、3点以下の違反行為においては、切られるキップは青キップなのですが、警察官現場指示違反の場合には反則金通告制度は適用されないというルールになっているため、2点の減点でも赤キップが切られることになるという点は注意したいですね。
青キップと赤キップの違いですが、青キップは反則金と呼ばれるもので、納得できなければ申し立てれば裁判を受ける事はできます。
しかし赤キップになると、反則金ではなく法律違反に対する罰金という扱いになり、納得できなくても裁判を申し立てることはできませんし、法律を犯したということで刑事事件の裁判を受ける事になってしまいます。
たかがキップの色、たかが減点2点と言っても、警察官現場指示違反は重大な罰則が科せられる違反行為なのです。
だからこそ、警察官現場指示違反にならないためにも、警察官の指示にはきちんと従うことが大切ですよね。
警察官現場指示違反の罰金が払えない場合にはどうする?
警察官現場指示違反行為に対する罰金は、5万円以下と定められています。
そして道路交通法に違反した行為に対する反則金や罰金は、基本的には現金での支払いのみとなっています。
クレジットカードでの支払いは認められていません。
そのため、貯金を崩したりして罰金を捻出する努力をしなければなりません。
警察官現場指示違反の罰金を払う意思はあるけれど、どうしても金額を捻出できないという場合には、各都道府県に設置されている交通違反通告センターに相談してみてください。
金額や経済事情によってケースバイケースで相談に応じてくれ、一括払いができないことがやむをえないと認められたら、分割払いで対応してもらうことも可能です。
ただし、警察官現場指示違反の罰金の金額が5万円なので、もしかしたら分割払いに対応してもらうことは難しいかもしれません。
警察官現場指示違反の罰金を分割払いにしても払えない時にはどうなるの?
警察官現場指示違反の罰金をどうしても払えないという時には、払えないことが分かった時点で速やかに相談することが得策です。
払えないからと違反切符の支払い期限が過ぎるまで無視していても、問題が解決してくれるわけではありませんよね。
支払期限が過ぎると、郵便局や銀行などでの支払いは受け付けてもらえなくなってしまうため、期限を1日でも過ぎると交通違反通告センターまで罰金することになります。
しかし、納付期限を10日以上過ぎてしまうと、いくら交通違反通告センターに罰金を持参しても受け付けてもらうことが出来なくなり、警察官現場指示違反よりもさらに重い処罰の対象となるので注意しましょう。
警察官現場指示違反に罰金という形で納付することができない場合には、まず持っている資産で払えないかどうかが検討されることになります。
できるだけ懲役になることを避けるための配慮ですね。
そして、資産を差し押さえなどでも罰金の支払いができない場合には、労役という形で支払う事になります。
労役というのは罰金の金額だけ働くということですが、懲役刑と同じようなものなので、自由などはなくなってしまいますね。
労役だとどのぐらいの期間働かなければいけないのか?
警察官現場指示違反の罰則は、懲役3か月以下または罰金5万円以下と規定されています。
そのため、罰金として支払う場合でも5万円を超えることはありませんし、労役として支払う場合には3ヶ月を超えることはありません。
「3か月も懲役をしなければいけないの?」と思う人がいるかもしれませんよね。
実際には、警察官現場指示違反を労役として支払う場合には、3ヶ月もかかることは少ないようです。
その理由は、労役では1日当たりの評価は5000円として計算されるため、罰金となる5万円を労役で支払う場合には、最高で10日程度しかかからないからです。
警察官現場指示違反の罰則は、罰金と労役どちらかを選べるの?
警察官現場指示違反の罰則は、3か月以下の懲役もしくは5万円以下の罰金という2種類があります。
法律的にはどちらかを適用すればよいということなのですが、違反をしたドライバーが自由にどちらかを選べるというわけではないので注意しましょう。
基本的には、警察官現場指示違反の罰則では罰金の支払いが優先されることになります。
そして、経済的な理由で5万円以下の罰金を支払うことが難しいという場合でも、できるだけ懲役刑を避けるために資産で払えないかどうかを検討してもらうことになります。
資産もないという場合にだけ、労役として懲役刑がかせられることになるのです。