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子供を車に乗せる際に、チャイルドシートに座らせている光景をよく見かけるでしょう。
このチャイルドシート、日本では装着が義務化されていますよ。
もし6歳未満のお子さんをチャイルドシートに乗せずに車の運転をした場合、道路交通法に基づき幼児用補助装置使用義務違反で罰せられる可能性が出てきますよ。
幼児用補助装置使用義務違反にならないようにするためもありますが、交通事故でお子さんの命を危険にさらすことにもなりますよ。
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幼児用補助装置使用義務違反とはどのようなもの?
小さな子供を自動車に乗せる場合、チャイルドシートの上に座らせる、このような親御さんが多いでしょうね。
もしこれをやっていなければ、幼児用補助装置使用義務違反という立派な交通違反に該当しますよ。
チャイルドシートの使用義務化は2000年4月から実施されていて、それに伴い幼児用補助装置使用義務違反も規定されました。
幼児用補助装置使用義務違反に関する規則は道路交通法の第71条の3の3に記載されています。
こちらを簡単に説明しますと「自動車のドライバーは幼児用補助装置いわゆるチャイルドシートを使用しないといけない、もし使用せずに幼児をのっけた場合、自動車を運転することはできない」です。
(幼児用補助装置に関する定義もこの条文の中には記載されていますが、この部分は割愛いたしました)簡単に言ってしまうと、子供を車に乗せる場合、やむを得ない場合を除きチャイルドシートを使用しないといけませんよということですね。
これを守らないと幼児用補助装置使用義務違反になるわけですね。
ちなみに幼児用補助装置使用義務違反の根拠である道路交通法上では、幼児を6歳未満のものと定義しています。
つまり5歳以下の子供がいる場合、チャイルドシートを使用しなければなりませんね。装着せずに運転すると、幼児用補助装置使用義務違反になりますね。
チャイルドシートには、3つのタイプに分類できます。
ベビーシートとチャイルドシート、ジュニアシートの3種類です。
このように言われると「ウチはジュニアシートを購入したけれどもチャイルドシートに買い替えないと幼児用補助装置使用義務違反に問われるの?」と思ってしまうかもしれませんね。
しかし幼児用補助装置使用義務違反ですから、ジュニアシートもベビーシートも幼児用補助装置に含まれます。よって正しく使用している分には、幼児用補助装置使用義務違反に問われることはありませんよ。
幼児用補助装置使用義務違反で検挙された場合のペナルティについて
幼児用補助装置使用義務違反で警察に捕まってしまった場合、どのような罰則が来るのか気になりますよね。
まず幼児用補助装置使用義務違反には、刑事罰はありません。
よって幼児用補助装置使用義務違反により逮捕はもちろんのこと、罰金をとられることはありません。
ただし反則切符は切られます。
幼児用補助装置使用義務違反は刑事罰はないですが、行政処分を受けてしまうので注意しましょうね。
幼児用補助装置使用義務違反の場合、違反点数として1点発生しますよ。
幼児用補助装置使用義務違反を警察から指摘された場合、俗にいう白切符が交付されます。
青切符の場合、違反点数のほかに反則金が科されます。
しかし幼児用補助装置使用義務違反のような白切符の場合、違反点数は生じるものの、反則金は請求されませんね。
ですから幼児用補助装置使用義務違反の場合、交通違反の中では比較的軽微な違反行為といえますよ。
幼児用補助装置使用義務違反に該当しないケースも
基本的に6歳未満のお子さんを車に乗せる場合、チャイルドシートを設置しなければなりません。
チャイルドシートなしで運転した場合、幼児用補助装置使用義務違反に問われます。
ただし一定の条件を満たした場合、チャイルドシートを設置していなくても幼児用補助装置使用義務違反に問われることありません。
幼児用補助装置使用義務違反の例外は道路交通法施行令第26条の3の2・第3項・第5号と道路交通法施行令第26条の3の2・第3項の第4号と第5号で規定されています。
まずは走行中に授乳やおむつを取り替えるなど子供のお世話をしている場合です。
これをチャイルドシートに乗った状態で行うとなると、かなり困難ですよね。
そのほかには適切にチャイルドシートを使用できない場合です。
例えば著しい肥満などでチャイルドシートの中に収まらない場合には、無理して乗せる必要はないわけですね。
さらにけがや病気などで緊急搬送する必要がある場合でも免除されます。
チャイルドシートをお持ちの方はお分かりでしょうが、シートを車内に設置して、そこに子供を乗せてシートベルトで固定するとなるとかなりの時間がかかりますよね。
病気やけがの種類によっては、一刻の猶予も許されないこともあります。
そのような場合にはチャイルドシートに乗せなくても、幼児用補助装置使用義務違反に問われることはないわけです。
体型でシートに座れないとかけがや病気の場合には、チャイルドシートを使わないのはやむをえませんね。
ただし授乳やおむつを交換する場合には、できることなら近くに車両を停車して作業をした方が安全ですよ。
高速道路で近くにサービスエリアやパーキングエリアのような車を停める場所がない場合などやむを得ない時だけ、車内で交換することですね。
チャイルドシートの設置不要な車がある?
チャイルドシートを設置していなくても幼児用補助装置使用義務違反にならない種類の車もあります。
これは道路交通法施行令第26条の3の2の第3項の第1号・第6号に記載されています。
簡単に言ってしまうと、一般旅客自動車運送事業用の車に子供を乗せる場合ですね。
具体的にはバスやタクシーなどですね。
しかし自分の車両ではないといっても、レンタカーやカーシェアリングなどはチャイルドシートを設置していないと幼児用補助装置使用義務違反に問われますよ。
旅行をする際旅館などが送迎車を出してくれる場合もありますが、こちらもチャイルドシートを設置していないと幼児用補助装置使用義務違反に問われるかもしれませんね。
もちろん親せきや友人の車に6歳未満の子供を乗せる際にチャイルドシートを使用していない場合には、幼児用補助装置使用義務違反になってしまいますよ。
もう一つは乗車定員との関係で幼児用補助装置使用義務違反に問われないケースもありますよ。
チャイルドシートをお持ちの方はお分かりでしょうが、座席シートに固定できるチャイルドシートの数には限りがありますよね。
もし乗せようと思っている子供の人数が固定できるチャイルドシートの数よりも多い場合、設置しなくても幼児用補助装置使用義務違反に問われることはないですよ。
しかし、この幼児用補助装置使用義務違反の例外は、乗車定員を超えていないことが前提で、もし乗車定員をオーバーした状態で運転した場合、幼児用補助装置使用義務違反は避けられても定員外乗車という別の交通違反に問われてしまいます。
ちなみに乗車定員のカウント方法ですが、子供と大人とでは異なり、大人2人分と子供3人分がイコールになります。
大人1人で子供2人分に該当と勘違いしている人も多いようなので、この部分は間違いのないようにしたいところですね。
幼児用補助装置使用義務違反が原因で悲劇が起こることも
幼児用補助装置使用義務違反が規定されたことで、小さなお子さんのいる家庭が自動車を運転する際にはチャイルドシートを設置することが義務化されました。
幼児用補助装置使用義務違反にならないためにというのももちろんありますが、基本は子供たちの命を守るために必要な装置といえます。
実際過去の事例を見てみると、チャイルドシートから子供を外していたがために、大事な子供の命を落とす悲劇が起こっています。
かつて宮城県仙台市青葉区内の東北自動車道で2台のワゴン車が衝突事故を起こしました。
衝撃はかなり強く、2台ともに横転するなどダメージはかなり大きかったです。
このワゴン車の一方は家族連れで、その中には生後5か月の乳児が乗っていました。
この車ではチャイルドシートを設置していたのですが、事故発生の時たまたま授乳をしていてチャイルドシートから乳児が外されていました。
事故の衝撃でこの赤ちゃんは車両から外に投げ出されてしまいました。
病院などで懸命に救命措置が取られたのですが、頭を強く打っていたこともあって亡くなってしまいました。
おそらくお母さんもあらん限りの力を使って赤ちゃんを抱きしめたはずです。
しかし車の衝突の衝撃は、想像をはるかに超えてきますよ。
車が衝突した場合、手に持っていたものの重さが従来の100倍以上に感じられるといわれるほどです。
どんなに赤ちゃんをしっかり抱きしめていたとしても、外に放り出されてしまう可能性は十分ありますね。
幼児用補助装置使用義務違反対策だけでなく、子供の安全を確保するためにも車が走行しているときにはチャイルドシートで固定することが大事ですよ。
この事故、厳密にいうと幼児用補助装置使用義務違反には該当しませんよね。
先ほど見たように、おむつの交換や授乳中の場合にはチャイルドシートから子供を外しても問題ないとしているからです。
その意味では本当に不運だったとしか言いようがないです。
しかしわずかな時間でもチャイルドシートから子供を下すとこのようにタイミングが悪ければ、命にかかわる重大な結果につながりかねないわけですね。
授乳やおむつの交換など「ちょっとくらいなら…」と思ってしまいがちですよね。
実際幼児用補助装置使用義務違反に問われることもないです。
しかし、このようにわずかの時間でも大きなリスクが伴うということは頭の中に入れておいた方がいいですね。
チャイルドシートの普及の状況は?
2000年の道路交通法の改正によってチャイルドシートの装着が義務化されました。それに伴い装着していなかった場合、幼児用補助装置使用義務違反に問われます。
この関係もあって、チャイルドシートの装着率は着実にアップしています。
JAFがチャイルドシートの使用状況についてデータをとっているのですが、2002年の段階では52.4%でした。
しかし2018年になると66.2%を記録しています。
これまでの期間の中で最高の数値を記録しました。しかしこれでもまだ1/3程度の家庭はチャイルドシートを使っていないわけですね。
なぜ使わないのか、JAFでは同じく年齢別の使用率に関するデータを発表しています。
2018年のデータに基づくと、1歳未満の子供の場合使用率は84.4%とかなり高い割合です。
しかし1~4歳で67.9%になって、5歳になると44.1%と半分を切ってしまいます。
年齢を重ねるにつれ、子供たちも自分の意思を表すようになります。
窮屈などの理由でチャイルドシートに乗ることを嫌がるため、使わなくなる親御さんが多いようですね。
しかし6歳になるまではチャイルドシートを使用しないと、幼児用補助装置使用義務違反に問われかねませんよ。
警察庁ではチャイルドシートに関連する統計データをとっています。
その中で幼児の死亡事故をチャイルドシートを使用しているかどうかで分析しています。
2015年と2016年は不使用の死者数が8なのに対し、使用での死者数が1でした。
ところが2017年を見てみると、不使用の死者数9に対して使用していても7という死者数を記録しています。
このようにみると「別にチャイルドシートを使っていてもいなくても安全性はあまり多いな違いがないのではないか?」と思うかもしれませんね。
しかし、これはチャイルドシートの安全性に問題のあることが原因ではないです。
使い方に問題があるために死者数が不使用とあまり違わなくなっているといえます。
チャイルドシートの取付状況に関する調査によると、誤用している人は全体の半分を超えているといいます。
その中でも腰ベルトの締め付けが不十分な誤用が全体の7割を超えているということです。
せっかくチャイルドシートを使っているにもかかわらず、正しい使い方をしていないために十分に機能を発揮しないのはもったいないことですよ。
もし適正に使用する人の割合がさらに増えれば、使用と不使用による幼児の死者数にはもっと違いが出てくるでしょうね。
ちなみに2017年のチャイルドシートを使用しても7人の幼児が交通事故により亡くなったことはすでに紹介しました。
この中でも不適正使用は5人いたということですよ。ということは、適正使用による死者数は2人に減少し、不使用の9人との差はより明確になりますね。
世界的に見ると、日本はチャイルドシート後進国といわれていますね。まだこれでも一般の方のチャイルドシートに対する意識は世界基準で見た場合、まだまだ低いといわざるを得ませんね。
幼児用補助装置使用義務違反についてもっと周知徹底させて、意識を高めることも大事ですよ。
6歳になったらチャイルドシートを外しても大丈夫?
幼児用補助装置使用義務違反の定義では6歳未満の子供を車に乗せる場合、チャイルドシートを設置しなければなりません。
このように言われると「子供が6歳になったらチャイルドシートをもう使わなくてもいいのね?」と思ってしまうかもしれませんね。
確かに6歳以上のお子さんであれば、チャイルドシートに座らせていなくても幼児用補助装置使用義務違反に問われることはないでしょう。
しかし安全を担保するためには、6歳になったら一律でチャイルドシートを使わなくてもいいと考えないほうがいいですよ。
チャイルドシートを外してもいいかどうか、一つ基準になるのがお子さんの身長です。
身長が140㎝を超えてきたのであれば、チャイルドシートを使わなくても大丈夫と判断してもいいですね。
というのも車に設置されているシートベルトは、140㎝以上の体格で使用できるように設計されているからです。
もしお子さんが140㎝を超えてくればシートベルトを使って、安全は十分確保できます。
すなわちチャイルドシートを設置する必要性がないわけですね。
6歳以上であれば幼児用補助装置使用義務違反に問われることはないですが、万が一でも子供の命を危険にさらさないためにはチャイルドシートの引き続きの仕様がおすすめですね。
成長には個人差があるので何とも言えませんが、理想は10歳前後くらいまではジュニアシートなどの補助装置を使用するのが好ましいですね。