この記事を読むのに必要な時間は約 12 分です。
交通事故を起こした時に、やるべき事の1つが「保険会社への連絡」です。
これは、被害者・加害者問わずです。
ただ、保険会社への連絡が必要な事は分かっていても、「いつ?」「何を?」「どのように?」連絡するのかについて、把握していない人もいるのではないでしょうか。
特に「どのように保険会社へ連絡するか」は重要です。
事故後ですから、気が動転して、必要のない事を伝えたり、変な伝え方になってしまいがちです。
保険会社に誤解されると、保険金を満足に受け取れない、などといった不利な立場になってしまう事も・・・。
そこで、今回は「保険会社への事故の正しい連絡の仕方」について紹介します。
保険会社に連絡する前に事故当事者がやるべき事
「保険会社への連絡」の前に事故当事者がやるべき事は以下の通りです。
- ① 負傷者の確認・救急へ連絡・救護措置
- ② 警察へ連絡
- ③ 二次被害の防止(三角表示板の設置・後続車の誘導)
- ④ 証拠保全・目撃者の確保(スマホで事故現場・車両の撮影など)
- ⑤ 相手方の氏名・連絡先・車両等の確認
- ⑤ 治療 等
事故やケガの状況などによって不要になる内容もありますが、基本的に上記の事は保険会社への連絡よりも先にやらなければなりません。
実際の事故現場では、治療が優先されますし、また警察への対応(実況見分)もあるので、保険会社に連絡したくても後回しになってしまう事が多いです。
当記事は「保険会社への連絡」が主題なので、上記の内容についての詳細な説明は省きますが、気になる人・知りたい人は以下の記事をご覧ください。
また、事故から解決までの流れなどを知りたい人は、以下の記事を参考にして下さい。
保険会社に連絡するタイミング~いつ連絡すれば良い?
保険会社に連絡するタイミングは、基本的に上記の事故処理後となります。
現実的にも、警察や救急への対応も有るので、事故直後に連絡を入れるのは難しいでしょう。
警察への対応などが一息つき、気持ちが落ち着いたところで、保険会社へ連絡するようにしましょう。
交通事故の後日に連絡しても大丈夫?期限はある?
交通事故当日に連絡しなければならない、という決まりは有りません。
後日でも大丈夫です。
また、保険会社への連絡期限は事故日から60日以内とないる事が多いようです(期限を過ぎると補償されない可能性が有ります)。
ただし、なるべく早く、出来れば事故当日に保険会社へ連絡した方が良いです。
その理由は以下の通りです。
- 「ケガ及び車両の損傷」と「事故」との因果関係が認められにくくなり、保険金が支払われない可能性がでてくる
- 保険会社から事故相手への連絡が遅れ、事故相手が不満や怒りを感じ、示談交渉が難航する可能性がでてくる
また、保険会社も事故時にはなるべく早く連絡を入れるように、重要事項説明書などでお願いしています。
事故にあわれた場合、事故発生の日時、場所および事故の概要を直ちに当社までご連絡ください。
(引用:ソニー損保「重要事項説明書」)
もちろん、ケガの具合や事故の状況によっては、すぐに保険会社に連絡できない事もあると思います。
それでも、連絡が可能になったら即座に事故連絡をするようにしましょう。
事故時の保険会社への連絡内容
保険会社への事故の連絡内容は、概ね以下のような内容です。
- 証券番号
- 契約者名、運転手名、事故相手の名前
- 住所、連絡先(自分、相手)
- 車両の登録番号(自分、相手)
- 事故日時
- 事故の場所
- 怪我をした人(自分・相手)
- 損害状況(自分・相手)
- 事故の状況(道路の状態や信号の色や速度など)
- 届け出た警察署名や救急搬送された病院名 等
かなり多くの内容を聞かれると思います。
また事故の状況によっては、これら以外の事も保険会社のオペレーターから質問されます。
事故直後は気が動転しているので、これだけの情報を正確に保険会社に伝えるのは非常に難しいのですが、この時にもし自分に不利な情報を伝えてしまうと、保険金が支払われない可能性が出てきます。
そのため、保険会社へ連絡する時には最善の注意を払って報告して下さい(もちろん嘘はいけません)。
保険会社への正しい連絡方法
保険会社へ連絡する時に最も大事なことは【冷静に客観的事実だけを伝え、自分に不利になるような事は話さない事】です。
しかし、事故直後は「事故を起こしてしまった・・・」という後悔の念も起きるでしょうし、羞恥心・混乱といった後悔以外の様々な感情が生まれます。
このような精神状態で保険会社へ連絡を入れると余計な事まで話してしまいます。
例えば、飲酒から10時間以上経過しているにも関わらず、事故連絡の際に事故を起こした羞恥心を隠す為に「昨日夜遅くまでお酒を飲んでしまって・・・」というような言い訳をしたとしましょう。
(普段なら事故は起こさないのだが、昨日は酒を飲んでいたから事故を起こした、という見栄ですよね。)
この言い訳を聞いた保険会社はどう対応するでしょうか?
保険会社は「この契約者は飲酒運転をしていたのでは?」と疑いを持ち、保険金を支払わない方向で話を進める可能性が高いです。
実際には、アルコールが体から完全に抜けているのに、自分の尊厳を守るための不用意な発言で保険金が支払われない事態を招いてしまう、とは皮肉ですよね。
言い訳をしたくなる気持ちも分かりますが、無駄な事は言わないに越した事は有りません。
事例のように無駄・余計な事を伝えてしまうと、保険会社の対応が自分の不利な方向に動いていってしまう場合があります。そのため、保険会社へ連絡するときは客観的事実を伝える事に専念してください。
連絡しないのはアリ?物損事故・自損事故・もらい事故でも保険会社に連絡しよう
物損事故や自損事故、もらい事故の場合には、保険会社へ連絡しない人がたまにいます。
もらい事故とは、駐停車中に追突された事故など、こちらの過失が0%となるような事故の事です。
「保険を使うと等級が下がるから」「こちらに責任は無いから」「車の損傷の程度が軽そうだから」などなど、理由は様々です。
中には保険会社に連絡すると、非を認めた事になる!と勘違いしている人もいます。
もちろん、保険会社への連絡は義務ではありませんが、これらの事故の場合でも保険会社へ事故連絡を入れた方が良いです。
というのも、後日修理費用を見積もったら予想以上に高額になる事も有りますし、むち打ち症など後から体に異変が生じる事もあるからです。
また、もらい事故も含めて、示談交渉を自らしなければなりません。
自動車保険には、過失が0%の場合には車両保険を使用しても等級が下がらない「無過失事故特約」や使用しても等級が下がらない「人身傷害保険」、弁護士費用を補償してくれる「弁護士特約」などがあります。
何の為に高い保険料を払っているのでしょうか?補償を受けるには保険会社への連絡は必須です。
どのような事故であっても、必ず保険会社へ連絡するようにしましょう。
念の為、付け加えておくと保険会社に事故の連絡を入れたからといって、それだけで等級が下がる事はありません。
また、過失割合が不利になる事もありません。
保険を使用するかどうかは、修理費用などと比較してそれから判断すれば良いのです。
事故時の保険会社への連絡まとめ
事故時の保険会社への連絡に関するポイントをまとめておきます。
- 【連絡の前に】負傷者の救護や警察への連絡など事故処理を優先
- 【いつ?】事故処理が終わってから、なるべく早く保険会社へ連絡
- 【何を?】事故状況や相手の情報、自分の情報など
- 【どのように?】冷静に客観的事実だけを伝える
- 【どんな事故で?】どのような事故でも連絡する
事故にいつ巻き込まれるかは分かりません。
万が一の時にスムーズに対応できるように、今回紹介した内容を頭の片隅にしまっておいてくださいね。
専門家からのコメント
中村 傑 (Suguru Nakamura)
大垣共立銀行を退職後、東京海上日動火災保険に代理店研修生として入社。研修期間を経て、2015年に独立開業。2020年に株式会社として法人成り、現在に至る。家業が自動車販売業であり事業承継者でもある。車と保険の両方の業務を兼務しており、専門領域が広い事が強み。
【コメント】
10年以上、保険代理店として事故対応に携わってきましたが、代理店としては事故のご連絡は発生から速やかに連絡頂きたいです。
特に、自分が加害者側の場合は、相手方への対応が遅くなればなるほど、相手の不満が募り、円満な解決まで遠くなります。
例えば、私の契約者様が追突事故を起こしてしまい、お相手のお車が自走不能となってしまった場合の流れをお伝えします。①契約者からの連絡、②現場到着、③事故状況の確認、④お相手の個人情報の確認、⑤保険会社への事故連絡、⑥担当者との打ち合わせ、⑦お相手のレッカー、レンタカーの手配、⑧車両搬送、という流れとなります。
どれだけスムーズに対応出来たとしても、お相手のお車の搬送までには保険会社への事故連絡から30~40分は必要で、レンタカーは更に時間を要します。初動の連絡が遅くなるという事は、それだけ被害者である相手を現場で待たせてしまう事になります。
保険は「万一」の為にあるものです。遠慮は一切必要ありませんので、事故の際は速やかに保険会社(代理店)へご一報ください。
コメント
この記事へのコメントはありません。