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被害者と加害者(もしくは代理人)との間で賠償金額について合意が得られれば「示談書」を作成することになります。
一般的に交通事故で使われている示談書のほとんどが「私製の示談書」と呼ばれるもので、相手の財産を強制的に差し押さえて競売にかけるような執行力はありません。
つまり、ほとんど口約束と同じようなものなので加害者側が払ってくれない場合にはお手上げとなり、結局、裁判など時間もお金もかかる作業をしなければなりません。
(裁判や調停で下された結論には強制執行権が付きますからね。)
しかし、示談書を公正証書にしておけば加害者の財産を競売できる強制執行権が得られるわけです。
そこでこの記事では公正証書について詳しく見て行きたいと思います。
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公正証書とはなにか?
公正証書とは長年裁判官や検察官などを務めた法律の専門家である公証人が作成する公文書です。
公証人は誰でもなれるわけではなく法務大臣から指名された者だけがなれます。
国の機関が作成する書類ですので高い信頼性、証拠力、効果がありますし、秘密保持に関しても厳密な管理が行われておりますので私文書に強制力を持たせたい場合にも利用することが可能です。
最近は電子公証も出来るようになっており利便性も高くなって利用しやすくなっています。
公正証書は何も交通事故の示談書のためだけに作られるものではなく、遺言や金銭の貸借に関する契約、定款など様々な場面で強制力を持たせるために利用されます。
ちょっと債務の弁済に不安が残るな~という場合には利用してみると良いと思います。
公証人役場の場所や公証人の人数
公証人役場と言われると一般の人からすると非常に馴染みが薄いものですが、全国合わせて約300箇所も公証人役場が設置されています。
ちなみに公証人として認められている人数は約500人と非常に少ないのも特徴です。
下記リンク先より全国の公証人役場の一覧が見れます。
「⇒全国公証役場所在地一覧」
また、上記リンク先で調べなくても最寄りの警察や区役所・市役所などの公的機関で聞けば教えてくれますのでそちらも活用しましょう。
公正証書を作るために必要な事
公正証書作成には当事者全員で交渉人役場へ行き示談の内容を説明して公正証書を作ってもらう必要があります。
その際に本人を確認できる書類と示談で決定した内容をまとめた書類を持参します。
本人確認書類は運転免許証・印鑑証明書・実印などです。
詳しくは公証役場へ確認してください。
また、本人が入院している場合など、都合により本人が行けない場合には委任状と印鑑証明書を持たせれば代理人に任せることも可能です。
但し、代理人に任せる場合でも委任状に示談内容の全てを書いておくことが必要です。
以上の条件が揃えば、役場で公正証書を作ってくれます。
この場合の本人とは会社の代表取締役の事を言います。
但し、ある程度の規模の会社になれば法務担当社員が在籍しているでしょうから、その社員が代理人として出席することになると考えられます。
公正証書作成においての注意点
①公証人は公正証書を作成するのが仕事です。
示談を斡旋してくれるわけではありませんので、示談交渉が終わり内容が確定してから公正証書を作成してもらいましょう。
②私製示談書を作成するときでも同じですが、加害者が支払いを怠った場合の遅延金(いわゆる「過怠約款」)の設定を示談書にも盛り込んでおきましょう。
人間はペナルティーが設定されていないと行動を起こさないようです(苦笑)
公正証書にする費用・手数料
公正証書作成費用は意外と安く済みます。
裁判などと比べると金額に対して非常に安価な金額で強制執行権と付与する事が出来ますので是非積極的に活用したいですね。
手数料の一覧は以下のとおりです。
目的の価額 | 手数料(円) |
---|---|
100万以下 | 5,000 |
100万超~200万以下 | 7,000 |
200万超~500万以下 | 11,000 |
500万超~1000万以下 | 17,000 |
1000万超~3000万以下 | 23,000 |
3000万超~5000万以下 | 29,000 |
5000万超~1億以下 | 43,000 |
1億超~3億以下 | 43,000円に5000万円毎に 13,000円を加算 |
3億超~10億以下 | 95,000円に5000万円毎に 11,000円を加算 |
10億兆の場合 | 249,000円に5000万円毎に 8,000円を加算 |
また、支払いを確保する方法として公正証書以外にも示談書に保証人をつけておくことも考えられます。
その他、公正証書に関する情報は日本公証人連合会のHPをご確認下さい。
参考:日本公証人連合会公式HP
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