【専門家監修】示談の効果

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この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

示談について最低限必要なことは理解していますか?

示談の意味等については「示談とは」で紹介をしましたが、知っておかないといけないのは示談の意味というよりは、むしろ示談によってどういう効果が生じるのかという点です。

実際に交通事故に遭遇した場合など、裁判まで進展することは少ないです。

交通事故の70%は裁判までいかずに示談で解決しています。

人身事故に限定すると実に95%程度が示談で解決されています。

交通事故に遭遇するとかなり高い確率で示談を経験することになるのですから、これはもう人ごとでは有りません。

しっかりと示談の効果について勉強しておきましょう。

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示談は民事の問題を解決する!

自動車事故をおこすと以下の3つの問題が生じます。

  • 民事問題・・・被害者に損害賠償金を支払う必要性が生じる
  • 刑事問題・・・加害者に罰金刑や懲役刑が課されることがある
  • 行政問題・・・運転手に対して違反金や運転免許停止などの処分がされる

この3つの問題の内、示談で解決できるのは損害賠償金を支払うという民事問題のみです。

他の二つについては交通事故の当事者が話し合ったからといって、警察や公安の方々が許してくれるということはありません。(示談が成立していると刑事罰については、情状酌量がされる可能性は高いです)

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被害者からの請求額が確定する!

交通事故の当事者間で示談が成立すると示談書に記載された金額以上ものを、示談成立以降、被害者側から加害者へ請求することが出来なくなります。

つまり例えば、人身事故を起こし当事者間で300万円を支払うという示談が成立したとします。

示談をする場合は示談書というものを作成することになり、その示談書には「本示談書に記載した事項以外に、甲乙の間に一切の債権債務がないことを確認する」といった文言を書くのが通例です。

そうすると、加害者は被害者に対して300万円を支払う義務が生じると同時に、被害者は加害者に対して300万円を超える金額を請求する事が不可能になるわけです。

ですので、後になって被害者がもう少し多く払って欲しいといってもそれは「基本的には」通じません。

上記で「基本的には」と書いたのには例外があるからです。

例外については別途記事にしておりますのでそちらを参照して下さい。

参考:「示談後に後遺症が出てしまった場合はどうなる?
参考:「加害者が示談をお願いしてきた場合、嘆願書と示談書どちらを書くべき?

示談書があるからといってすぐに財産の差し押さえは×

示談が成立したら被害者は加害者から両者で決めた金額をもらう権利を手に入れます。

しかし、だからといってその時に作った示談書をもって、すぐに加害者の財産を差押えができる訳ではありません。

お金をすぐに回収したいという被害者もいるでしょうが、差押さえをするにはちゃんとしたステップを踏む必要があります。

というのも示談書はあくまでも当事者間で作成する私文書ですので、それだけをもって財産を競売にかけるといったような力はもっていません。

差し押さえをする場合は、まず示談書を元に裁判を起こし判決をもらう必要があります。

判決が出た上で、加害者の財産を差し押さえて競売にかけることになります。

これは結構手間になるので、示談が成立する前から回収が難しそうだと思われる場合は、公正証書で示談書を作成しておくとこれらの手間が省けます。

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まとめ

  • ①示談はあくまでも民事の問題を解決する手段であること
  • ②示談が成立すると原則としてそれ以上の金額は請求できないこと
  • ③示談が成立したからといって即財産を差押えできるという訳でない事
などの示談の効果について見てきましたが、何も知らずに相手の言いなりで示談書を作ってしまうと後で取り返しがつかなくなるような場合もあります。

しっかり抑えておきたいですね。

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専門家からのコメント

中村 傑 (Suguru Nakamura)

大垣共立銀行を退職後、東京海上日動火災保険に代理店研修生として入社。研修期間を経て、2015年に独立開業。2020年に株式会社として法人成り、現在に至る。家業が自動車販売業であり事業承継者でもある。車と保険の両方の業務を兼務しており、専門領域が広い事が強み。

中村 傑(Suguru Nakamura) ブログ

保有資格:AFPMBA中古自動車販売士、等

コメント

保険代理店としての実務経験を元にこの記事を補足説明させて頂きます。

「示談」は、当事者間の合意が無ければ成立する事はありません。「何を言っているの?」と思われる方がいるかと思いますが、この意味合いは交通事故の示談においては時として非常に重みがあります。

交通事故の示談交渉は全てが円満解決とはならず、何かしら納得出来ない、釈然としない、そうした部分がある中で示談に至る事もあります。それでも、「示談」では、多少強引にでも自分を納得させ、踏ん切りをつけて、自らの意思で決断しています。

例えば、円満な解決が難しく、訴訟に発展し、双方の弁護士を通じて和解する事もかなわなければ、裁判官により判決が下されます。「判決」には自分の意志が全く介在しません。裁判官という赤の他人が決めた決断に従う事になるのです。他人が決めた決断に、「裁判官だから」と素直に納得する事が出来ますか?

「示談」という言葉の重みについて、少し掘り下げてお伝えさせて頂きました。

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