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示談交渉を進めていく上で用意すべき書類がいくつかあります。示談は話し合いで解決する方法ですが、ただ話をするだけで示談が成立するというほど簡単なものではありません。
会社でプレゼンテーションをするときに、根拠もなく夢を語ったとしてもだれも真剣に話を聞いくれないですよね。根拠もなく話を進めたのではそれはただの絵に描いた餅です。相手を説得するにはそれなりの根拠が必要で、プレゼンテーションでは実際に話を展開していくことよりも資料の収集がメインの作業となります。
示談交渉もプレゼンテーションと同じで、事前の資料収集が納得のいく示談成立への近道です。そこで、示談交渉で事前に用意しておくべき書類についてみていきましょう。
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死亡事故の場合の必要書類
死亡事故の場合に集めるべき資料としては以下の3つがあります。
- 事故証明書
- 被害者の除籍謄本と遺族の戸籍謄本
- 被害者の収入の証明書
収入の証明書は重要なので後ほど見ていきます。
傷害事故もしくは後遺障害が残った場合の必要書類
傷害事故の場合に集めるべき資料としては以下の4つがあります。
- 事故証明書
- 診断書と診療報酬明細書
- 休業証明書
- 収入の証明書
傷害の場合には後遺障害がある場合も考えられます。後遺障害の等級を認定してもらうには上記書類のほかに後遺障害診断書とレントゲンやMRI画像などが必要です。
重要なのは「収入の証明書」と「診療報酬明細書」です。以下でそれぞれ見ていきましょう。
収入の証明書
示談交渉で最終的な金額を決めていくために「被害者が事故前にどれだけ収入があり、事故により収入がどれだけ失われてしまったか」を示す客観的な証拠が必要になります。
収入の証明は被害者側でしなければ、その被害者は収入が無かったものと見なされて、とても低い金額で示談を成立せざるを得なくなります。そこで収入の証明は一般的に以下の書類によってすることになります。
- 給与明細
- 源泉徴収票
- 納税証明書
- 確定申告書の写し
被害者がサラリーマンで勤務先が役所やある程度の規模の会社である場合には、給与明細や源泉徴収票があれば収入の証明書としては十分です。しかし、個人商店の従業員や小規模の企業に勤めているような方の場合、源泉徴収手続きが正しくされた上で給与が支払われているとは限りません。
個人商店などでは源泉徴収票は雇い主が事後的に簡単に作成できることもあり、これだけでは説得力が足りない可能性があります。役所に行って納税証明書を取得するなど足りない説得力を補完する事も考えなければなりません。
つまり、被害者がお勤めの方の場合は、「給与明細」、「源泉徴収票」が基本資料となり、必要に応じて「納税証明書」を収入の証明書として用意することになります。
一方で被害者が自営業(個人事業主)の場合は必要資料が異なってきます。自営業の場合は自分自身への給料という概念は存在しないので、給与明細や源泉徴収票という書類はありません。そこで、税務署に提出している確定申告書の写し(税務署の受付印があるもの)が必要となってきます。写しを取っていない場合には確定申告に基づいて作成される納税証明書でも問題ありません。
この辺りの詳細は「消極損害の算定」カテゴリーで職種別に見ていますのでそちらも参考にして下さい。
診療報酬明細書
示談交渉で重要なもう一つの資料として「診療報酬明細書」があります。これは、どのような内容の治療が行われたか(薬の内容や入院・通院日数など)が記載される書類です。
治療費や入院費用の内容を見るだけであれば料金を支払った時に受け取れる領収書があれば十分なのですが、治療や入院の日数などの詳細情報を確認するにはこの診療報酬明細書が必要になります。
交通事故に遭遇しない限り日常生活では目にする事はなかなかない書類ですが、必ず発行してもらうようにしましょう。
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