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示談金(逸失利益や休業損害etc)の算定方法や相場金額は、市販の書籍などに計算例が掲載されていますし、青本や赤い本を見れば個別具体的な内容についての判例での結審金額が書かれています。
従って、これらの書籍を完全に頭に入れる事が出来れば、ある程度自分の事故ならどれくらいの示談金が妥当か?という事も判断できると思います。
しかし、初めての事故で気が動転している時に、それらの書籍の内容をしっかりと頭に叩き込む事が出来るでしょうか?
普通に考えて無理ですよね。
また、2,3回読んだくらいでは妥当な判断は出来ないものです。
ですので、出来れば示談交渉に入る前に専門家の意見を一度は聞いておきましょう。
もちろん、このような書籍を見てから示談交渉のテーブルに付く事は非常に大事です。
何の予備知識も無いままで示談交渉に臨むと、相手側の損保代理人に良いように丸め込まれてしまう可能性が有りますからね。
無料で相談に乗ってくれる法律相談書は沢山有る
別にお金を払ってまで弁護士の話を聞く必要は有りません。
現在の日本では、交通事故の被害者を守るために、多くの無料法律相談所が設置されています。
例を挙げると、以下の様なものが有ります。
- ①交通事故に詳しい法律相談所(例:日弁連交通事故相談センター・交通事故紛争処理センター)
- ②保険会社の交通事故相談所
- ③市役所や区役所などの交通相談
①交通事故に詳しい法律相談所
このカテゴリーには「日弁連交通事故相談センター」や「交通事故紛争処理センター」が入ります。
いずれも交通事故案件に強い弁護士が相談に乗ってくれるので、もっとも合理的な判断を聞けます。
弁護士会が行っている市民法律相談所や法テラスという選択肢も有りますが、これらは交通事故案件の知識がある人・無い人の差が激しいので、出来れば「日弁連」「紛セ」のどちらかに相談した方が良いでしょう。
②保険会社の交通事故相談所
保険会社の担当者が話を聞いてくれます。
もっとも保険に関しての知識が有るので、「保険会社としてどのように判断するか?」と言った部分に関しては最も参考になります。
ただ、担当者レベルだとそこまで法律に詳しく無い場合が有ります。
保険会社お抱えの弁護士が相談に乗ってくれるのが一番良いですね。
③市役所や区役所などの交通相談
役所でも定期的に交通事故の相談を受け付けています。
担当者は交通事故に詳しい担当者とされていますが、その時々によって「役所の担当者・弁護士・保険会社のOB」と色々変わります。
従って、こちらも相談した担当者によって知識の差がかなり激しいのが難点です。
自分一人だけで判断しないことが大事
以上のようにお金を払わなくても、色々な法律相談を無料で受ける事が出来ますので、示談交渉に入る前に出来る限り相談をしておきましょう。
上記三つのカテゴリー全ての法律相談所を回って話を聞けば、どれくらいの示談金が妥当かの世間相場をほぼほぼ掴めます。
いずれか一つだけに話を聞くと、少し偏った意見になってしまうので、三者の意見を聞く事が大事です。
概して、自分一人だけの判断で示談金を見積もっていると、どうしても自分に有利な判断をしてしまいがちです。
そうすると、いざ示談交渉に入った時に損保会社からの提示金を見て「なんでこんなに少ないんだ!?」と頭に血がのぼってしまい、その後の交渉が円滑に進まない可能性も有ります。
そういう事にならないようにする為にも、事前に、中立的な判断を下せる第三者の立場の人から意見を貰って、妥当な示談金額について総合的に判断してから示談交渉に臨みましょう。
専門家からのコメント
中村 傑 (Suguru Nakamura)
大垣共立銀行を退職後、東京海上日動火災保険に代理店研修生として入社。研修期間を経て、2015年に独立開業。2020年に株式会社として法人成り、現在に至る。家業が自動車販売業であり事業承継者でもある。車と保険の両方の業務を兼務しており、専門領域が広い事が強み。
コメント
保険代理店として、実務的な目線でこの記事を補足説明させて頂きます。
先ず、一般的な「示談金」というのは、交通事故の中では「慰謝料」と表現される事が多いです。慰謝料というのは、加害者側(責任割合が多い)から、被害者側(責任割合の少ない)方に対して、支払われる金銭の事です。
慰謝料というのは、交通事故により心身に怪我を負い長期間療養したものの完治せず、何らかの障害が残った場合において、その障害の度合いに応じて金銭で解決を図る手段です。
例えば、交通事故に遭う前の状態を0として、事故により30のダメージを負い、長期間治療に専念したものの10のダメージが残った場合、その10に対して金銭で解決を図る手段です。
具体的に当社が対応したケースでは、車対バイクの出合頭事故により(バイク側が当社の顧客)、事故後半年は寝たきりの状態、その後1年近くリハビリし退院、退院後も下半身にしびれ・痛みが残る状態でした。この事案においては、事故当初に当社が懇意にしており、交通事故の専門性が高い弁護士を紹介させて頂き、その後の示談までサポートさせて頂きました。お客様には詳細な慰謝料の金額を聞いてはいませんが、障害の度合いから相応の金額の提示があったと思われます。
今はほとんどの自動車保険のご契約に弁護士費用特約が付帯されておりますので、法律的な領域で悩む事があれば早い段階から弁護士に相談される事をお勧めします。
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