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交通事故に示談(じだん)はつきものです。
このよく出てくる「示談」とはそもそもなんなのでしょうか?何となく分かっているよ!という方もここで一度立ち止まって、改めて「示談」について見てみましょう。
示談とは??
示談は簡単にいうと、「当事者の話し合いで解決すること」を意味しています。
といっても、示談という法律用語があるわけではなく、民法上は和解(契約)が示談に当たります。
民法695条
和解は、当事者が互いに譲歩をしてその間に存する争いをやめることを約することによって、その効力を生ずる。
つまり、「お互いに譲歩し妥協点でを見つけ、争いを止めましょう!と、納得の上で約束をすること」が示談ということになります。
日常生活を送っていると色々相手と揉めることがあります。
交通事故に遭遇したり、借金の返済が滞っている、他にも賃貸物件からの立退きの場面等々・・・。
話し合いで解決できることもあれば、どうしても解決できずに裁判で決着をつけようということもあります。
ところが、裁判をしてしまうと裁判所が解決してくれるのですが、時間とお金がかかります。
できれば穏便に話し合いで解決したいところですね。
和解と示談
上では民法上の和解と示談は同じものと書きましたが、裁判で登場する「和解」とはまた別物です。
裁判で登場する和解は、裁判官が当事者の間を取り持って、話し合いで解決することを意味していて、判決と同じ効力をもっています。
示談はあくまでも、当事者同士の話し合いで解決するものなので裁判上の和解とは性質が違うので注意が必要です。
示談は刑事事件などでは使えない?
示談はあくまでも民事上で発生した問題を話し合いで解決するもので、刑事事件を解決するものではありません。
例えば他人に暴行をして警察に捕まった場合、被害者が「許してあげてください!」といったからといって警察が許すとは限りません。
明確な刑法違反がある訳ですからそれを「はい、そうですか」と見過ごす訳にもいきません。
逮捕され、起訴されれば裁判にかけれられることにもなります。
ただし、被害者と加害者の間で示談により問題が既に解決しているのであれば、裁判ではそれも考慮されて罪が決定していくことになるでしょうね。
当事者間で合意ができているのにそれを無視して判決を下すというのでは当事者も納得できないですからね。
交通事故では示談がほとんど?
ここでは交通事故の話題を扱っているので交通事故の示談が前提となって話をしていきますが、自動車事故のうち、損害賠償責任を問う裁判まで発展する事故は全体の5%程度と言われています。
つまり残りの95%程度は示談で解決されているわけです。
車同士の簡単な接触事故であればその場で謝って終わるということもあれば、ちょっとした修理代を払って終わるということもあります。
泣き寝入りで終わってしまうこともありますし、保険会社が代わりに示談交渉をしてくれるというサービス付きの自動車保険もあります。
裁判にまでなってしまうと、サラリーマンだと会社を休んでまで裁判に行ったり、裁判費用もかかってきてしまいます。
ですので、大きな事故でなければ示談で終わる、ということが日本の交通事故では大半を占めているということですね。
コラム:「示談」という言葉の由来
江戸時代には、今で言う裁判所が奉行所という名で、東京と大阪の二カ所にありました。
揉め事を起こした人たちがこの奉行所に全国から集まり、遠方から来た上、その日で解決するとは限らないので人によっては1年近く奉行所の近くに泊まっているということもあったそうです。
この奉行所の近くに宿を構えていた主人は、裁判中の方がたくさん宿泊するので皆の話を聞いているうちに自然と裁判に詳しくなっていき、宿泊客に色々裁判事情などを教えるようになりました(このような人たちを公事師という)。
時には当事者の間に入り話し合いで解決することもあったようです(これを談合という)
一方で、奉行所で実際に裁判にかけられたところで、いわゆる判決を下すということはあまりなく、内済(今で言う和解のこと)にすることが多かったようです。
また、そもそも奉行所が遠すぎるので、奉行所まで行かずに当事者のみで話し合いで解決するということもありました。
つまり、江戸時代での揉め事の解決は以下の三つがほとんどということになります。
- 奉行所が間に入って話合いで解決する
- 公事師が間に入って話合いで解決する
- 当事者同士のみの話合いで解決する
この三つの内、最後の当事者同士のみの話合いで解決することを江戸時代では「私談」と言われており、これが現在でいう「示談」の由来になっているといわれています。
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