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(出典:マイカー共済)
マイカー共済は全労済が提供している自動車総合補償共済のペットネームです。
保険会社と共済では”監督官庁”と”根拠法令”が異なるので、商品に「保険」という文言が使えませんが、内容は一般の自動車保険と同様です。
今回はこの全労済の「マイカー共済」の補償内容やロードサービス、口コミ・評判などについて紹介します。
なお、「共済と損保の違い」や「共済・損保間の等級の引継ぎ」などに関する事は、それぞれリンク先を参考にしてください。
以下の補償内容などの情報は、2017年2月版の契約のしおり等に基づいて作成しています。
全労済のマイカー共済の補償内容
マイカー共済が提供している共済の補償内容を一覧形式で紹介します。
マイカー共済は「対人賠償・対物賠償」の2つが基本補償となっています。
この2つの補償を軸にその他の特約などを付け足して、自動車共済を組み立てていく事になります。
ただし、人身傷害補償と搭乗者補償特約のどちらかには必ず加入しなければなりません(※2)。
各補償・特約に「保険」という文言が付かないため、違和感を抱く人もいるかもしれませんが、補償内容自体は一般の自動車保険と同様です。
名称そのものを気にする必要は無いでしょう。
ピックアップ特約①:対物超過修理費用補償特約が自動付帯!(※1)
この特約は、対物賠償の支払い対象となる事故により、相手方の車に時価額を超える修理費が発生した場合に、保険金が支払われるものです。
対物賠償の基本対物賠償額の計算は時価が基準!
時価が低くなっている年式の古い車などとの事故では、修理費用が時価を超えるケースも珍しくありません。
こうしたケースでは、示談において対物賠償で揉める事もしばしば・・・。
このような時に、時価額までの賠償金に加えて”対物超過修理費用補償特約”から保険金が支払われれば、示談交渉がスムーズに進む可能性が高まります。
この特約が自動付帯になっている点は、マイカー共済の特徴と言えますね。
ちなみに、通常の保険会社では自動付帯ではなく、任意で特約を追加することが多いです。
マイカー共済と同様に対物超過修理費用補償特約を自動付帯にしているのは、以下の保険会社ぐらいですね。
ピックアップ特約②:自転車賠償責任補償特約で自転車の事故も補償
この特約は、自転車事故で損害賠償責任を負った場合に補償を受けられるものです。
家族も補償対象となっています。
自転車事故でも約1億円の高額賠償事例も発生しています。
この特約では対人・対物の賠償額を合計1億円まで補償してくれるので安心です。
家族の誰かが自転車に乗るのであれば、自動車保険で自転車事故もカバーできるように付帯を検討する価値は有るでしょう。
全労済の事故対応
以下、マイカー共済の主だった事故対応内容です。
- 24時間365日対応の事故受付
- 現場急行サービスも24時間365日受付 *1
- 土日祝も初期対応サポート有り
- 示談交渉サービス付き
- 全国79ヶ所・約850名のスタッフがスタンバイ! *1
- 約1,600ヶ所の全労済指定整備工場*2
上記の中でも気になったものをピックアップして紹介しますね。
*1:現場急行サービスも24時間365日受
交通事故に遭遇したときは、何をしたらいいか分からず焦ることが多いです。
そこで事故受付の連絡時に依頼をするとスタッフが駆けつけて来てサポートをしてくれます。
交通事故はいつ起こるか分からないので、24時間365日いつでも駆けつけて来てくれるというのは嬉しいですね。
ただし以下の3点には注意が必要です。
- ① 車対車の事故に限られる
- ② 原則として、スタッフの出動場所から事故現場まで30分程度の距離までしか対応してもらえない
- ③ 状況・地域等によっては電話対応のみになってしまう
特に「②」には注意が必要です。
現時点で出動拠点は全国79箇所しか無いので、それらの場所から30分の距離となると、かなりサービス提供範囲が限定されるはずです。
「原則」としているので例外もあるのでしょうが、あまり期待しない方が良いかもしれません。
*2:約1,600ヶ所の全労済指定整備工場
全労済には約1,600ヶ所の指定整備工場があるので、事故時の修理などをなるべく近所の工場で受けることができます。
また、交通事故が発生した場合に限らず、点検整備や車検等を割引価格で受ける事が出来るのが嬉しいですね(地域や工場によりサービス内容が異なるので事前に確認が必要です)。
例えば東京都では、車検整備および修理工賃の10~20%割引、車両引取と納車の無料サービス、代車無料(車検整備の場合)といった特典があります。
マイカー共済のロードサービス
マイカー共済のロードサービスについて見ていきましょう。
- レッカー無料距離:30km(全労済の指定修理工場までなら無制限)
- 現地にて実施可能な30分以内の路上クイックサービス*1
- 燃料切れ時のガソリンお届けサービス(10ℓまで無料)
注:人身傷害補償または車両損害補償を契約した場合に無料で利用できます。(基本補償である人身傷害補償特約に加入せずに、搭乗者補償特約に加入している場合は有料となります。)
(出典:全労済)
*1:現地にて実施可能な30分以内の路上クイックサービス
バッテリーあがりのジャンピング作業やカギの解錠、パンクやタイヤの脱輪等によるタイヤ交換、側溝や道路外への脱輪引き上げ作業等30分以内で作業できる内容について対応してもらうことができます(オイル代や部品代は有料)。
他社と違い、事細かに何ができるかという説明はホームページではされていません。
しかし難解な作業で無いかぎり、通常は30分以内の作業で終わるものが多いので、広く対応してもらえると考えて問題ないでしょうね。
マイカー共済の保険料の割引制度
マイカー共済には主として自動車の仕様・構造による割引制度+補償内容を限定する場合の割引制度+複数台の所有・契約がある場合の割引制度が存在しています。また、
種類 | 割引内容 | 備考 |
---|---|---|
盗難防止装置装備車割引 | 5% | *1 |
ハイブリッド車割引 | 7% | *1 |
福祉車両割引 | 7% | *1 |
運転者限定特約 | 3%~7% | |
搭乗者傷害特約・家族限定補償型 | 10% | *3 |
人身傷害補償の被共済自動車搭乗中のみ補償特約 | 15% | *2 |
複数契約割引 | 3% | |
セカンドカー割引 | 7等級スタート | |
新車割引 | 9%割引(軽四は3%) | *1 |
*1 該当する場合は事前の申し出が必要です。
*2 すでに人身傷害補償契約があり、2台目以降の契約で被共済自動車搭乗中の事故のみに補償を限定する場合に割引を受けられます。
*3 搭乗者傷害の補償を契約者、配偶者、同居の親族及び未婚の子に限定する場合に割引が受けられます。
全労済においても、一般の自動車保険と同様に「等級」による割増引率が採用されています。
全労済の等級制度の特徴は22等級まで設定されている点です。
その割引率は64%。
優良運転者にとっては嬉しい等級制度となっていますね。
ただし、自動車保険の20等級の割引率は63%なので、その差が1%しか有りません。
全労済の等級制度だけ大幅な割引を受けられるわけではない点に注意して下さいね。
なお、直接の保険料とは関係ないですが、全労災の共済事業を利用したい場合は組合員になる必要があり、出資金として1,000円以上を納めなけれななりません。
ただし、脱退時にはこの出資金は全額返還されるため実質負担はゼロと言えます。
マイカー共済(全労済)の顧客満足度
ここでは2009年に発表されたオリコンの自動車保険満足度ランキング2009のマイカー保険(全労済)の満足度を紹介します。
なお、オリコンでは2010年から全労済を調査対象から外しています(理由は不明)。
そのため、以下のデータは古い情報(2009年)となるので、あくまで参考程度に利用して下さい。
種類 | 順位 |
---|---|
総合 | 4位 |
保険料 | 2位 |
付帯サービス | 4位 |
信頼性・知名度 | 5位以下 |
的確さ・スピード | 5位以下 |
交渉力 | 5位以下 |
保険金の支払 | 5位以下 |
担当者の対応 | 5位以下 |
利益目的ではない共済という性質上、やはり保険料の安さでは2位と上位に来ています。
大規模な保険会社がたくさんある中で総合順位も4位と健闘しています。
マイカー共済の口コミ・評判
・補償内容と保険金のバランスでは共済が一番だと思います。ただ事故の際の対応は、担当者によってばらつきが多いです。
・まず保険料が安いです。そして事故した時の対応も親切で、相手との話し合いの時もちゃんと同行していただきました。言うことなしです。
・保険内容が他の保険会社に比べて、それほど複雑ではないので自分で納得して契約ができました。
・とにかく保険料が安いのが最高です。
・一般の保険会社よりは安いという利点がありますが、特約や事故時の交渉等は劣っている感じがします。あまり車に乗らなくて、補償にあまり興味がない人にはいいかもしれません。
・保険料が安くて入っていましたが、一度事故を起こしたときの対応が遅かったです。やはり安いだけでは駄目なのかなと思いました。
・唯一不満に思うのは、他の保険ではあるゴールド免許割引がないこと。せっかくゴールド免許なので優遇して欲しいですね。
・事故が発生した時の対応が、今一つかな・・・と感じました
その他の口コミ
・他の保険会社はテレビのCMや雑誌などのメディアでの広告の露出が多すぎです。
これには必ず莫大な費用がかかっていて、保険料の高騰に繋がっているはず。
その点マイカー共済は露出が少なく安心。
確かに一般の自動車保険会社はテレビCMを中心に広告に大金をかけています。
保険会社は広告費用も保険料から捻出しているので保険料は上がってしまう、というコメントは的を得ていますね。
・営業のしつこい売り込みがないのがいいです。
保険の営業マンが自動車保険の加入を強引に勧めてくることはよくあります。
一方、共済は性質上儲けを追及していませんから、売り込みも控えめになります。
その点はいいことですね。
まとめ
全労済の自動車保険「マイカー共済」の特徴は、やはりその保険料(掛け金)の安さです。
口コミでも多かったように、保険料に関しては満足している人が多いようですね。
ただし、事故対応が今一つな点やロードサービスが全契約者に付帯されていない点などを見ると、ややサービス面で劣るのかな、という印象です。
自動車保険を選ぶ際の選択肢の1つとなってくると思いますが、その他の保険料が安い自動車保険と見積・比較して加入の是非を検討するようにして下さいね。
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