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交通事故が起こった場合、一部のもらい事故を除いては、加害者側・被害者側の両方に「過失」が有る場合が殆どです。
従って、示談時や裁判時の賠償額の計算に当たっては、両者の過失割合が重要な要素になってきます。
そして、この過失割合を計算する上で、非常に重要になってくる原則に「優者危険負担の原則」という物が有ります。
優者危険負担の原則とは
例えば、自動車と自転車が事故を起こしたとします。
この時、どちらの被害が大きくなるでしょうか?普通に考えれば「自転車」ですよね。
自転車はペシャンコになってしまうかもしれませんが、自動車は少し凹むくらいで、大きな損傷にはならないでしょう。
質量の大きい物と質量の小さい物が衝突すれば、当然質量の小さい物の被害の方が大きくなるはずです。
いわば、質量の大きい物は質量の小さい物の比べて「強者」と言う事が出来ます。
交通事故の過失割合を算定する上では、「強者」の被害の方が小さくなることを前提として、「強者」に対してより大きな注意義務・責任を与える事により、両者の公平性を図っています。
これが「優者危険負担の原則」です。
優者を強者と置き換えると分かりやすいですね。
要は、重量が大きい物のほうが強いんだから、重量の小さい弱者に対して配慮してあげなさいって事です。
で、もし交通事故を起こしてしまったら、強者の過失割合を高くしますよーという原則。
交通事故における優者の順序と具体的な事例
優者危険負担の原則における「優者」にも順番が有ります。
一般的には以下の様な順序で優者(強者)と判断されます。
大型四輪車>四輪車>自動二輪>自転車>人間
人間に関しては、更に順序が付けられており、成人よりも判断力の乏しい子供や老人の方が弱者と判断されます。(成人が強者)。
例えば、赤信号を無視した車が、青信号で道路を横断中の人を跳ねた時の車の過失割合は100%です。
ここまでは当たり前ですね。
しかし、青信号で進行した車が、赤信号を無視をして道路を横断中の人を跳ねた時の車の過失割合は70%と設定されています。(他に修正要素が無い場合)
状況を逆にすれば、過失割合も同じように逆になりそうですが、優者危険負担の原則によって、このような過失割合になります。
なお、四輪車と言っても乗用車と軽自動車に分けられますよね。
通常、乗用車の方が車重も重く大きいので、優者危険負担の原則においても「乗用車>軽自動車」となりそうですが、この点に関しては明確な定めはなく、同じ四輪車としての判断されるようです。
仮に、乗用車か軽自動車かで過失割合の算定に影響をもたせたいのであれば、裁判で個々に判断する事になるのでしょう。
心情的にも、ハマーのような大きな車と軽自動車が衝突して、軽自動車に有利な判定が行われないのは、ちょっと厳しすぎるかなという印象は受けますよね。
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