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6、7月の梅雨のシーズンや12月~3月の雪のシーズンにはタイヤ又はブレーキがしっかり機能するか日常点検としてブレーキテストを行う人も多いでしょう。
ただこのブレーキテストは周りの安全を確認してから行わないと追突される危険があります。
前を走っている車が突然急停止したら後続車は悪天候も重なって止まれませんからね。
もしこのようにブレーキテストをし追突事故が発生した場合には過失割合はどうなるのでしょうか?
参考「過失相殺とは?自動車事故被害者を悩ませる由々しき過失割合」
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■基本的過失割合
同じ車線を走行中の追突事故の場合は基本的な過失割合は後続車両の過失が100%です。
しかし、今回のように安全確認もせずにいきなりのブレーキテストをしたような場合にはブレーキテストをした運転手も過失があると判断されます。
ちなみに道路交通法第24条には危険回避等以外の目的で急ブレーキをする事は禁止されています。
そのため修正要素として安全運転義務違反によってブレーキテストをした運転手の過失割合が20%加算され、追突した運転手の過失割合は80%と判断されます。
またブレーキテストの結果スリップしたような場合にはブレーキテストをした運転手の過失割合はさらに10%加算され30%となる場合もあります。
■最終的な過失割合
ブレーキテストをした運転手の過失割合は20~30%、追突した運転手の過失割合は70~80%となります。
突然のブレーキテストをした事によって起きた事故なので追突した運転手は悪くないように思えますが、過失割合はまず基本要素から考えそして修正要素を考慮という順序で算定していくので、同車線で追突という基本要素から判断して残念ながら追突した運転手には不利な数字からスタートする事になってしまいます。
ただ後続車両も前方の車両に追突しないように車間距離は保たなければいけないのもルールですので仕方がありません。
【コラム】車間距離
道路交通法26条に車間距離の保持が規定されています。
(車間距離の保持)
第二十六条 車両等は、同一の進路を進行している他の車両等の直後を進行するときは、その直前の車両等が急に停止したときにおいてもこれに追突するのを避けることができるため必要な距離を、これから保たなければならない。
この交通ルールによって追突車両の過失割合が大きく計算される事になりますが、どれくらいの車間距離を保つ必要があるのかというと、前方車両がその場で停止したとしても停止できる距離ですから、走行速度での停止距離以上の間隔は空けなければいけません。
停止距離はブレーキを踏むと気付きアクセルからブレーキに足を移しブレーキが効き始めるまでの空走距離とブレーキにより自動車が止まるために必要な距離である制動距離で計算します。
以下が停止距離の計算結果です。
走行速度 | 空走距離 | 制動距離 | 停止距離 |
---|---|---|---|
時速40㎞ | 8.3m | 9m | 17.3m |
時速50㎞ | 10.4m | 14m | 24.4m |
時速80㎞ | 16.6m | 36m | 52.6m |
時速100㎞ | 20.8m | 56.2m | 77m |
車間距離は最低でも上記の表の距離を保たなければいけません。
あくまでこの数字は最低ラインです。
なぜなら計算仮定において晴れた日のブレーキが効きやすい路面を想定していますし、反応速度も一般的な人の反応速度を用いているためです。
このページの本題のように雨の日や雪の日などは視界も悪く反応速度は遅くなりますし、路面状況も悪いため制動距離も上記の表より伸びます。
例えば反応速度を0.1秒遅くして雪の日の路面では時速50㎞での停止距離は計算上77mにもなります。
天候が悪い日は走行速度を落とし、車間距離をしっかりと保つようにして安全運転を心掛けましょう。
5万円以下の罰金(道路交通法120条二号)
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