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損害保険会社は営利企業である事を忘れてはいけません。
つまりメーカーや卸売業などと同様に利益を最大化するために売上を伸ばし、費用を節約するために経営努力をする事になります。
どのようにして利益を増やすのか?
メーカーが利益を伸ばすには、例えばいい商品を開発し多くの店頭に並ばせ買って貰う事で売上を最大化し、製造原価の低下や人件費の削除、業務の効率化などで費用の削減を行います。
一方、損害保険会社ではどのようにして利益を捻出するのでしょうか?当然、売上を伸ばすために多くの契約を締結出来るように努力するでしょう。
では、費用の節約はどのように図るのでしょうか?人件費を削る?
確かに保険が自由化されて以後は業界再編が進みリストラが多く行われました。
ですが損害保険会社がもっとも力を入れている費用削減があります。
それは保険金の支払い額を減らす事です。
損害保険会社の財務諸表の1つ損益計算書を見てみると費用では正味支払保険金(保険契約者に支払った保険金)が一番大きい金額となっています。
この大きな費用を減らす事によって損害保険会社の利益は最大化される事になるためです。
文字で見たら当たり前のように思いますが、言い換えると保険契約者に保険金をなるべく支払わないようにする事が経営努力となるわけです。
ちょっと本末転倒ですよね。
保険会社が支払う保険金を抑える手口
以前言われていた手口としては以下の様なものが有ります。
- 保険金支払の交渉段階では補償の範囲に入るか微妙な事故はとりあえず払えないと答える
- 電話も文書も簡潔にしたりして被害者の泣き寝入りを待つ
つまり示談交渉の過程で事故をあらゆる角度で検証して被害者に対して保険金を少しでも多く支払う努力するのではなく、1件でも多く、素早くかつ安い示談金で示談書に判子を押させようとする手口が行われていたと言われています。
査定部門にも成果主義を入れる払い渋り
保険金の支払いを抑えるという目的がエスカレートして保険金の支払い額を算定する査定部門に成果主義を取り入れる損害保険会社も登場しました。
売上を上げる営業に対してノルマを設定するならまだしも困っている契約者・被害者に支払う保険金を減らす方向に成果主義を取り入れたのです。
成果主義としてどのようなノルマを課したかというと社員1人の示談件数や損害率の低下などが挙げられます。
このような成果主義では事故態様など詳細に検証しない事は言うまでもありません。
例えば、小さい事故は現場への視察・被害者との面会などを行わず、事務的処理終始し、示談が難航する場合にはほったらかして弁護士案件にして自らは担当から外れ、自分のノルマではなくそうとするのです。
そして極めつけは保険金の支払いを減額した社員は表彰されるいう始末。
このような成果主義の元では仕事にやる気が出る損保社員もいるでしょうが、被害者の気持を考えて苦しむ社員も出てくるでしょう。
問題は社員1人1人の行動ではなく損保会社の経営体質が不払いの原因の1つになっていたのです。
損保会社の体質改善が被害者を守る事になるはず!
任意保険は自賠責保険で賄えないような大きな事故に巻き込まれて多額の損害賠償を自己負担する事がないようにするためや、車両に同乗している人に迷惑をかけないようにするために任意保険に加入するわけですから、契約者にとっては掛け捨てのような保険がいざという時にも掛け捨てのままではなんの意味もありません。
こういった損害保険会社の経営体質の改善が、不払いで悩む被害者を減らす事は言うまでもありませんよね。
現役損保査定社員が現在は改善されていると言っていました!
ただ2014年10月にある損害保険会社の査定部門で働いている人と会う機会があったのですが、その方の話では今は保険金をなるべく払う方向になってきていると言っていました。
本当かどうかはわからないところですが、契約者にとっては全ての損害保険会社が支払うべき保険金をしっかり支払うようになってくれれば損害賠償で無駄に悩む人の数が減る事になると思います。
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