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交通事故の後遺障害が原因で、誰かに「介護」をしてもらわないと生活がままならなくなる事も有ります。実は「被害者が必要とする介護レベル」を専門外の弁護士や学識者が判断すると、見当違いの結論を出してしまう可能性が有るんです。
今回の事例は「被害者が必要とする介護レベル」の違いで、算出される賠償金が大きく変わったという事例です。
①交通事故でAさんが後遺障害第1級3号の高次脳機能障害と認定された。
②母親がそのショックでうつ病を発症。代わりに父親が会社を辞めてAさんの介護をせざるを得ない状況に。
③示談のあっ旋を交通事故紛争処理センターに依頼したが提示額は約1億2,600万円。高次脳機能障害にも明るい専門の弁護士に相談したところ、流れが急変。
④弁護士が「Aさんの状態は寝たきりではないが、介護をするのに非常に体力を要する常時介護の状態であること」を様々な角度から検証し裁判で主張。
⑤その結果、寝たきりの状態と比べても精神的な負担が大きい事例であると認められ、紛セの提示額から倍増の約2億4,300万円を勝ち取った。
恐らく、紛セの担当者は「寝たきり」ではないから「常時介護」を認めるのは妥当ではない。従って、将来の介護料も少し控えめに計算していたのでしょう。
しかし「寝たきり」でなくても、それ以上に体力を要する「介護」も有ります。今回の事例がまさにそれです。物事の上っ面だけで判断するのではなく、実態に応じた判断を下してくれる弁護士に相談できた事はAさん家族にとっては不幸中の幸いだったでしょう。
なお、交通事故紛争処理センターへの示談あっ旋依頼は無料です。従って、有料で仕事を請け負っている弁護士に比べれば、1つの事故をしっかりと綿密に調査する理由・時間が無いのも事実です。
示談のあっ旋を依頼する時は、その辺りも含めてどこへ依頼するか決定したいところですね。
また、両親が「常時介護を要する被害者」を生涯にわたって面倒見るのは難しいですよね。毎日介護ばっかりでは両親も精神をやられてしまいますし、そもそも両親がいつまで生きられるのかも分かりません。
従って、職業的付添人に介護を依頼する可能性も検討しなければなりません。今回の裁判例では、当然そういう可能性が有ることを考慮して、1日あたりの介護料を1.5万円と認定しています。これくらい有れば、家族も安心してプロに介護を頼めるでしょう。
職業付添人と親族・近親者付添人のどちらを前提として賠償金を計算する?
ちなみに、この裁判例では慰謝料として「3,800万円」の提示がなされています。これは後遺障害の慰謝料基準(弁護士基準)上回るものですので、「母親の精神的ショック(うつ病)」「父親が仕事を辞めた事への逸失利益」などが、多少なりとも慰謝料に反映されているのでは無いかと思います。