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2014年10月27日、政府と日本自動車工業会(以下自工会)が消費税が10%に増税された場合の平成28年度日本国内の自動車業界への影響を予測した結果が発表されました。
消費税10%の影響
その内容は国内の新車販売減少台数が年50万台と予想しています。
新車販売台数は毎年500万台前後なので約10%も減少する事になり、金額にすると減少台数全台が購入金額が100万円~150万円の軽自動車であったとしても5,000億円~7,500億円の売上減少となり経済に大打撃を及ぼす事は容易に想像できます。
これは予測の話ではありますが良いモデルが2014年4月に行われた8%への消費税増税です。
この実際に行われた増税の新車販売台数の影響を自工会は2013年度と比較すると約100万台、割合で言うと約18%の減少と見込んでいます。
既に行われた消費増税の影響結果から考えると、消費税が10%に上がった場合の影響予測は大きくは外れないでしょう。
■政府・自工会の予測内容
年度 | 新車販売減少台数(予測) |
---|---|
2016(消費税10%へ増税) | 約50万台 |
2014(消費税8%へ増税) | 約100万台(前年比約18%減) |
消費税10%の増税はまだ決定では有りませんが、政府及び自工会は2015年10月に10%に増税された翌年度2016年度の販売台数を予測しているようです。
消費増税が自動車新車販売台数に与える影響の大きさをもっとわかりやすくするために以下の表を御覧ください。
■新車販売台数
年度 | 新車販売台数 | 前年比 |
---|---|---|
2013 | 5,692,019 | 109.2% |
2012 | 5,210,232 | 109.6% |
2011 | 4,763,232 | 103.3% |
2010 | 4,601,059 | 94.3% |
2009 | 4,880,174 | 103.8% |
出展「㈶日本自動車販売協会連合会」
2009年度から2013年度までの新車販売台数の数値ですが2010年度のみ減少しています。
この減少原因は東日本大震災です。
震災の影響で減少した台数は約28万台、割合は約6%なので、消費増税による影響は甚大な被害を与えた東日本大震災よりもはるかに大きい事がわかります。
税制改正による対策
消費税が8%に上がった際に需要が急激に冷え込まないようにエコカー減税によって対策をしたものの実際には需要の冷え込みを止めきれませんでした。
今回の10%への増税に対してはもっと強力な対策が必要になってくる事は言うまでもありません。
平成27年度の税制改正では10%の増税と同時に増税による負担軽減を目的として自動車取得税を廃止する予定です。
しかし新たな税金として環境性能課税を導入する事も予定されていて結局消費者の税負担が増える結果になる可能性が高いのです。
自動車の燃費性能によって車両取得価格の0~3%を課税。
政府の導入趣旨は、環境対策として電気自動車などの環境に優しい自動車への乗り換えを促す狙いがある。
問題は燃費性能の基準をどのようにするかです。
2014年現在では平成32年度の燃費基準とされていてほとんどの車両が課税対象になる模様で、自動車業界からは大きな反発を買っています。
最終的にどのような新税の内容となるか注目される事は必至です。
消費増税まとめ
自動車産業ばかりに対策を講じるのもどうかと思いますが、自動車産業は根幹産業である事から多くの関連産業に影響を及ぼすため増税による対策を施さざるを得ません。
また8%への増税前には駆け込み需要がかなりあった事を考えると今回の10%への増税前も駆け込み需要があると思います。
ちなみに10%へと消費増税が行われるのは2015年10月の予定です。
ただ増税への反対の声が強いため安倍政権が予定通り増税するか注目が集まるポイントとなりそうです。