この記事を読むのに必要な時間は約 11 分です。
「高速道路を逆走する」なんて事は、普通は考えられませんよね。
しかし、現実には、各高速道路株式会社が把握しているだけでも、かなりの逆走件数が発生しています。
そして、逆走事案を個々に見ていくと、逆走する人の多くが「高齢者」なんですね。
では、なぜ高齢者は高速道路を逆走してしまうのでしょうか?
そこで今回は、「逆走が発生する原因・理由」及び「防止策・逆走車への対策」などについて見ていきたいと思います。
まず、実際の逆走発生件数や高齢者が占める割合などの統計情報について見ていきましょう。
高速道路での逆走の発生件数と高齢者が占める割合
平成23年~27年(平成27年のデータは1月~9月まで)において、各高速道路株式会社と警察庁が把握している高速道路での逆走件数は、以下のようになっています。
年 | 発生件数 |
---|---|
平成23年 | 203件 |
平成24年 | 202件 |
平成25年 | 136件 |
平成26年 | 198件 |
平成27年 | 177件 |
普通は有り得ない「高速道路の逆走」が、かなり発生していると思いませんか?
これらの数値は高速道路株式会社と警察庁が”把握している件数”なので、把握出来ていない事案も含めると、実際はもうちょっと逆走件数は増えると思います(運転手が逆走している事にすぐ気付いて、元に戻った場合など)。
では、把握している逆走件数の年齢層の内訳を見てみましょう。
65歳以上の運転者が、逆走件数の約70%も占めています。
統計データからも高齢者が逆走を起こしやすい事が分かりますね。
ただし、64歳以下の人も全体の約30%を占めているので、油断は禁物です。
高速道路の逆走が原因で発生した事故・死亡事故の件数
先ほど紹介した高速道路の逆走件数のうち、事故・死亡事故に発展した件数は以下の通りです。
お互いに時速100km前後で走行しているにも関わらず、全ての逆走事案で事故に発展しているわけではないようです。
それでも、高速道路の逆走が原因で毎年4・5件の死亡事故が発生しています。
高齢者が高速道路を逆走してしまう理由
さて、今回の本題「高齢者が高速道路を逆走してしまう理由」について見ていきましょう。
主な理由は、以下のような事が考えられます。
- 認知症の疑い
- 判断力の低下
- 知識不足 等
以下のグラフは、各高速道路株式会社と警察庁が把握した逆走事案全体における「運転手の状態」を表わした物です。
高速道路を逆走した運転手のうち、約9%の運転手が「認知症の疑い」があるとされています。
一般的に、認知症は高齢者がかかりやすい病気なので、認知症の疑いが有るとされた運転手のほぼ全員が高齢者であったと考えられます。
また、ICやJCTなどで、どの道へ進めば良いか判断が出来なかったり、高速道路の利用方法に関する知識不足なども逆走する理由だと考えられます。
これらは高齢者に限らず、普段高速道路をあまり利用しない若年のドライバーにも当てはまる事かと思います。
逆送が発生しやすい場所と原因
続いて、逆走が発生しやすい場所について見ていきましょう。
各高速道路株式会社と警察庁が把握した逆走事案で、運転手が逆走を開始してしまった場所は以下のようになっています。
- 1位・・・IC・JCT(約50%)
- 2位・・・本線(約20%)
- 3位・・・SA・PA(約8%)
■IC・JCT
逆走が最も発生しやすい場所は、IC・JCTとなっています。
IC・JCTは場所によって分岐がかなり複雑になっていて、目的地に向かう道がどれか非常にわかりにくい場合が有ります。
判断力が低下している高齢者にとっては、道を間違ってしまう可能性が高くなる事が考えられます。
「この道じゃない!?」と思い、引き返そうとして逆走してしまったり、本線に合流してから逆走を開始してしまったりするケースが多いのではないでしょうか。
■本線
IC・JCTに次いで、逆走が多く発生する箇所は意外にも「本線」となっています。
おそらく、本線での逆走は、降りるはずの出口を通過してしまい、Uターンをして逆走してしまうパターンが多いのではないかと思います。
出口に関する知識や判断力の低下が、本線での逆走を招いているのでしょう。
また、料金所の無い高速道路の出口から、本線に進入してしまうようなケースも考えられます。
「進入禁止」の標識を理解していなかったり、高速道路の入り口・出口の知識不足が原因ですね。
■SA・PA
逆走が発生する場所の3位は、SA・PAです。
SA・PAで逆走が発生する原因は、本線への出口を間違えてしまうためです。
高速道路の知識や標識の知識不足が、SA・PAでの逆走を発生させてしまうのでしょう。
高速道路の逆走を防止する為に
逆走を防ぐ為に、各高速道路株式会社は、路面の進行方向を示す矢印標示や進入禁止などの看板の視認性の向上・拡大化などの対策を施しています。
一定の効果は上げられているものの、逆走を撲滅出来ていないのが現状です。
日本全国の高速道路に逆走対策を施すには、時間と費用がかかるので仕方のない事かもしれません。
やはり、運転手自身が高速道路に関する知識を向上し、注意深く運転する必要が有ります。
高齢者講習を受けるなど、運転の危険性や知識について再度確認をして下さい。
また、遠出をする時などは、前もって通る道を調べておきましょう。
道が分からなくなり、パニックになって逆走してしまうケースも少なく有りませんからね。
そして、高齢者の人で認知症の疑いの有る人は、免許を返納して、自動車の運転を自ら辞めるようにしましょう。
これは、周りの家族も注意してあげる必要が有ります。
高齢者本人は痴呆症である事は認めたくないでしょうし、「年だから」と誤魔化している場合も有るからです。
注意する際には、長年運転してきたプライドを傷付けないように、優しく、時に厳しく対応するようにして下さい。
お医者さんの力を借りるという手も有ります。
高速道路を逆走しての事故は、致死率が高くなります。
速度がかなり出た状態で、正面衝突するわけですから当然です。
年齢に関係なく、高速道路での逆走を防ぐ為に、高速道路に関する知識を身に付けて、正しく高速道路を利用するようにしましょう。
高速道路に逆走車有り!?どう対策したら良い?
高速道路に逆走車が侵入した場合、該当区間の各電光掲示板に「逆走車有り!」と表示されます。
実際に見た事がある人もいるのではないでしょうか?
この時、順行車(正しい方向に走行している車)はどのような対策・対処をすれば良いのでしょうか?
最寄りのPA・SAに入って逆走車をやり過ごす
前方から逆走車が走ってきているのが分かっているのに、本線を走り続けるのは非常に危険です。
そのため、逆走車と本線で遭遇しないように最寄りのPA・SAに入って、逆走が解消されるまで待機しましょう。
道路管理者に問い合わせをすれば、逆走事案がどうなったかを教えてくれるはずです。
逆走車と事故にならないようなPA・SAまでの走行方法
とは言っても、都合よくPA・SAが近くに有る、なんて事はなかなか無いです。
最寄りのPA・SAまで恐怖を感じながら本線を走行しなければなりません。
対策方法を紹介する前に、まずこちらの動画をご覧ください。
この動画のように、前方に車両がいた場合には、逆走車を察知するタイミングが遅くなってしまいます。
また、順行車と逆走車は真逆の方向に走行しているので、接近するまでの時間が非常に短いです。
こうした事を踏まえて、逆走車と事故にならないような走行方法のポイントを紹介します。
- ① 前方車両との車間距離をあける
- ② 速度を落とす
- ③ 走行車線を走行する
基本的な事ですが、非常に重要です。
逆走車が前から来たとしても、それを察知して回避行動を取れる十分な時間を作るためにも、「車間距離の確保」と「低速走行」を心がけましょう。
なお、「適切な車間距離」よりも長い車間距離を確保しましょう。
また、基本的に、逆走車は順行車から見て追い越し車線を走行してきます。
というのも、法律上、車は必要な時以外は左レーンを走行するように規程されているからです(道路交通法第20条)。
逆走車からすれば、順行車の追い越し車線が左レーンとなります。
逆走車と正面衝突を避けるためにも、追い越し車線ではなく、走行車線を走行するようにしましょう(逆走車が必ず追越車線を走行してくるわけではありません)。
まとめ
今回は、高齢者が高速道路を逆走する原因・理由などについて見てきました。
統計データを見ても、毎年のように逆走事案が発生しています。
あなたが高速道路を利用している時に逆走車が本線に侵入する可能性もあります。
そのため、当記事の後半に紹介した走行方法を頭の隅に置いておきましょう。
実際に逆走が発生した場合は、逆走車と事故にならならいように冷静に対処してくださいね。
関連記事をチェックする