この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。
平成28年度の税制改正大綱(案)によると、自動車取得税は廃止され、新税「環境性能割」が導入されます(参考:平成28年度税制改正大綱案P76)。
燃費課税とも言われていますね。
新車販売台数の約半分は非課税となる見通しで、現行の自動車取得税と比較すると全体では200億円ほどの減税となるようです。
新税「環境性能割」の内容や影響などが気になる人も多いと思いますが、やはり「いつから導入されるのか?」という点が最大の関心事項ではないでしょうか?
当初の発表では、自動車取得税が平成29年3月末に廃止され、平成29年4月に環境性能割を導入する予定でした(消費税の10%への増税と同時に導入予定)。
しかし、消費税の増税が令和元年10月1日(2019年10月1日)に延期されたため、環境性能割の導入も延期されました。
つまり、現在のところ、環境性能割は令和元年10月1日(2019年10月1日)に導入予定となっています。
それでは、新税「環境性能割」の内容について見ていきましょう。
新税「環境性能割」の内容
「環境性能割」は燃費性能の良い車は税負担が軽くなり、燃費性能の悪い車は税負担が重くなるという性質を持つ税金です。
現行の自動車取得税(普通車:3%、軽自動車:2%)も、エコカー減税によって燃費性能の良い車ほど優遇されているので全体的には似たような制度である、という印象です。
課税対象車
課税される自動車は、登録車と軽自動車です。
また、中古車も課税の対象であることは、自動車取得税から変化有りません。
課税のタイミング
環境性能割の課税のタイミングは、自動車を取得した時です。
これも自動車取得税と変わり有りません。
取得価額
環境性能割の税率を乗じる取得価額は、以下の計算式で求めます。
取得価額=(課税標準基準額+オプション価額)×残価率(中古車の場合)
上記の式で求めた取得価額に対して新税の税率を乗じる事になります。
課税標準基準額については、自動車取得税と同様の金額になるでしょう。
つまり、総務省令で定めるところにより算定した(財)地方財務協会の「自動車取得税の課税標準基準額及び税額一覧表」に記載されている金額で、概ね新車価格の90%となります。
また、中古車に関しても自動車取得税と同様に残価率が適用されるかと思います。
なお、取得価格が50万円以下であれば免税となる点に変更は有りません。
■残価率の表
経過年数 | 普通車の残価率 | 軽自動車の残価率 |
---|---|---|
1年 | 0.681 | 0.562 |
1.5年 | 0.561 | 0.422 |
2年 | 0.464 | 0.316 |
2.5年 | 0.382 | 0.237 |
3年 | 0.316 | 0.177 |
3.5年 | 0.261 | 0.133 |
4年 | 0.215 | 0.1 |
4.5年 | 0.177 | - |
5年 | 0.146 | - |
5.5年 | 0.121 | - |
6年 | 0.1 | - |
(参考:総務省-PDF)
経過年数は、まず初度登録年又は初度検査年から取得した年の前年までを年単位で計算します。
そして、1月1日から6月30日までに取得した場合は0.5年を、7月1日から12月31日までに取得した場合は1年を加算して求めます。
税率
税率は環境性能によって、以下のように異なります。
環境性能割の税率 | 対象車 |
---|---|
非課税 | 電気自動車 プラグインハイブリッド車 平成32年度燃費基準値+10%達成車 など |
1% (営業用は0.5%) | 平成32年度燃費基準値達成車 |
2% (営業用は1%) | 平成27年度燃費基準値+10%達成車 |
3% (軽自動車と営業用の自動車は2%) | 上記以外の自動車 |
燃費基準は、ガソリン1L当たりの走行距離となっていて、車両重量によって区分されています。
平成32年度燃費基準値の方が平成27年度燃費基準値よりも厳しい内容となっています。
ちなみに、環境性能割は新車販売台数の約半分が非課税の対象になる見通しです。
トヨタのプリウスやダイハツのタントなど、燃費性能が良いと言われている車種は概ね非課税になるんじゃないでしょうか。
燃費基準に適合しているかは、各メーカーが車種毎にエコカー減税と同様に記載するはずなので、自動車を購入する際は必ずチェックするようにしましょう。
なお、被災代替自動車に対する非課税の特例措置は継続されます。
また、自動車税が軽減される「グリーン化特例」は、概ねそのままの内容で1年間延長されます。
自動車取得税との比較
現行の自動車取得税はエコカー減税を適用すると6区分になりましたが、新税の環境性能割は普通車が4区分、軽自動車が3区分と若干簡素化された内容となっています。
普通車と軽自動車のそれぞれで環境性能割と自動車取得税を比較してみましょう。
普通車
普通車では平成32年度燃費基準を達成した車両は、環境性能課税の方が廃止される自動車取得税よりも有利になります。
一方、平成32年度燃費基準未達成車は、軒並み増税という厳しい内容に。
軽自動車
軽自動車は最高税率が当分の間2%と自動車取得税の時と変化は有りません。
しかし、普通車よりも増税の影響を受ける範囲は広くなっています。
平成32年度のより厳しい燃費基準を達成したとしても0.8%から1%の増税となってしまいます。
取得価額が100万円の軽自動車を想定すると、自動車取得税では8,000円でしたが、環境性能割では10,000円となり、2,000円の増税となります。
まとめ
現時点で分かっている「環境性能割」の内容について紹介してきました。
令和元年年10月以降に車を購入する場合は、自動車取得税ではなく、この環境性能割を新車購入の諸費用として考えていく事になります。
購入を検討している自動車の「燃費性能」、それによって「非課税」となるのか「課税(何%課税されるのか)」となるのか、という点を必ずチェックするようにしましょう。
なお、環境性能割は消費税10%と同時導入なので、導入前後に新車を購入する場合は、消費増税の影響も考慮してくださいね。
関連記事をチェックする