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「収入減少」や「支出の増加」などで自動車ローンの返済に困っていませんか?返済を延滞してしまうと、遅延損害金(年利最大29.2%)が発生し、余計な支出が増えてしまいます。
また、滞納を続けると最悪の場合、車を手放さなければなりません。
重い自動車ローンの返済負担を軽くするために、考えてみて欲しい手段が「返済期間の延長」です。
返済期間を延長すれば、1月当たりの返済金額は以前よりも少なくなるので、負担を軽くする事が出来ます。
ただ「返済期間の延長」は当初の契約条件を変更する事になるので、認めてもらえないのでは?と思う人もいるでしょう。
そこで今回は「そもそも自動車ローンの返済期間を延長する事が出来るのか?」「返済期間を延長出来るのなら、何かデメリットや注意点は無いのか?」などローンの返済期間の延長について紹介したいと思います。
車のローンの返済期間を延長(変更)する事は可能?
まず結論を先に言うと「自動車ローンの返済期間の延長(変更)は可能」です。
ただし、これはあくまで例外的な措置となります。
当初の契約期間で返済していくのが原則です。
金融機関の中には、返済期間の延長を認めていない所も有るので注意が必要です。
例えば、三井住友銀行です。
三井住友銀行では商品概要説明書に以下のような規定が有り、返済期間の条件変更は出来なくなっています。
お借入後の期間・返済方法等の条件変更はできません。
(出典:三井住友銀行)
このような規定を設けている金融機関では、契約者が返済期間の延長を申し出ても、認めて貰えない可能性が高いでしょう。
しかし一方で、多くの金融機関では例外的措置である「返済期間の延長」を認めています。
「返済期間の延長」を認めている金融機関の商品概要説明書には、以下のような規定が設けられています。
「返済方法の変更」とは、増額(ボーナス)月の変更・借入期間の短縮・毎月返済部分元金の割合の変更および、お客さまの申し出に対して、特に〈ちば興銀〉が認めた場合の各種変更をいいます。
(出典:ちば興銀)
お客さまからの返済条件の変更のお申し出を受け、横浜銀行が認めた場合
(出典:横浜銀行)
このような規定になっていれば、返済条件を変更する事が可能です。
返済期間を延長したい場合は、まず契約している自動車ローンの規定をチェックしてみましょう。
条件変更を申し出る際にはしっかりと理由説明を
例外的措置として「返済期間の延長」が規定されていても、金融機関に断られる場合も有ります。
もう一度上記の規定を見て下さい。
そこには「○○銀行が認めた場合」と記載されていますよね。
つまり、返済期間の延長を申し出ても、金融機関が認めない事も有るわけです。
ただ単純に「延滞しそうだから返済期間を延長して下さい」と申し出ても金融機関は認めてくれないでしょう。
金融機関に返済期間の延長の申し出を認めてもらうためには、納得出来る理由を添えて申し出を行うようにして下さい。
「給料が減少してこれまで通りの返済が困難になった」「家族が病気で入院して支出が急増した」など、具体的な状況を説明するようにしましょう。
なお、その理由を証明する書類(給与明細・領収書)も用意すれば、返済期間の延長を認めてくれる可能性がより高まります。
返済期間の延長が不可能な場合
以下のような場合には、返済期間の延長を認めてくれない可能性が高いです。
- 最長の返済期間で契約している場合
- 完済時の年齢が年齢制限を超えてしまう場合
- 既に延滞してしまっている場合 等
特に注意しなければならないのは「延滞」です。
もちろん、金融機関によっては延滞している状態でも返済期間の延長を認めてくれる所もあるでしょう。
しかし、認めてくれない場合の方が多いです。
というのも、金融機関は返済期間の延長の是非を判断する際にも、新規契約を結ぶ時と同様に審査を行うからです。
当初の契約も支払い期日も守れない、と判断されて審査に落ちる可能性が高いです。
そのため、返済が厳しいと分かったら延滞する前に「返済期間の延長」を申し出るようにして下さい。
返済期間を延長する事のデメリット
自動車ローンの返済期間を延長する事のデメリットは以下の通りです。
- 支払利息・総支払額が増える
- 手数料が発生する
支払利息・総支払額が増加
例えば、同じ金利条件で返済期間を1年間から2年間に延長した場合の支払利息と総支払額を比較してみましょう。
計算条件:元金100万円、金利5%、ボーナス払い無し
返済期間 | 月々の返済額 | 支払利息総額 | 総支払額 |
---|---|---|---|
1年間 | 85,607円 | 27,290円 | 1,027,290円 |
2年間 | 43,871円 | 52,913円 | 1,052,913円 |
まず「月々の返済」を見て下さい。
返済期間を1年間延長すると約4万円も“月々の負担”が軽減している事が分かります。
これが返済期間を延長する目的で有り、メリットとなります。
一方、「支払利息総額」と「総支払額」はどうなっていますか?どちらも返済期間を延長した場合の方が約2万5千円多くなっていますよね。
この理由は返済期間を延長したために利息の金額が増えたからです。
その結果、総支払額も増加します。
これが返済期間を延長するデメリットとなります。
手数料が発生
「返済期間の延長」だけに限った話では有りませんが、契約条件を変更する場合には手数料が発生します。
この手数料の金額は金融機関によって異なります。
例えば、横浜銀行では条件変更手数料が5,400円となっています。
返済期間を延長する際には、支払利息の増加及び手数料の発生によって支出が増加する事は覚えておいて下さいね。
返済期間を延長したらブラックリスト入りする?
「ブラックリスト」とは、ローンなどの返済の延滞情報等が信用情報機関に登録される事を指します。
ブラックリストに載ってしまうと、新たな借り入れ等は基本的に困難になります。
ブラックリスト(事故情報)に載っていたら車のローンは組めない?
ブラックリストに載る原因は「延滞」「保証債務の履行」「債務整理」の3つです。
そのため、「返済期間の延長」をしたからといってブラックリストに載る事は基本的に有りません。
ただし、信用情報機関に情報を登録するのは金融機関です。
金融機関側が、当初の契約を破ったから事故情報として登録する、と判断した場合にはブラックリスト入りしてしまう可能性も有ります。
また、ブラックリストに載らなかったとしても、登録される情報には「契約終了予定日」も含まれるので、この部分は間違いなく変更される事になります。
そのため、他の金融機関で借入等をする際に「これはどういう事だ?」と怪しまれる可能性は多いに有ります。
「返済期間の延長」はこういったリスクが発生する可能性も有る点には十分注意して下さい。
返済条件を変更する前にどういった扱いになるのかを担当者に相談しておいた方が良いですね。
なお、「ローンの借り換え」であれば信用情報に傷が付く可能性は有りません。
ただし、返済期間を延長出来る借り換え先が少ないので注意して下さい。
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