やむを得ず有給休暇を取得・消化した場合の休業損害

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有給休暇と言えば【家族と旅行に行ったり日頃の疲れを癒やすために取得・消化するもの】というイメージが有りますが、交通事故に遭遇しやむを得ず有給休暇を使わなければならなかった場合、これは休業損害として認められるのでしょうか?

以下で詳しく見ていきます。

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有給休暇と休業損害

交通事故に遭遇し入院や治療等で会社を休む事になった場合、有給休暇を消化すると給料は減少しないので、表面上は損害が無かったように見えます。

しかし、事故に遭わなければその分の有給休暇は別の日に自由に使うことが出来たわけですから実際は損害が発生しているものと判断されます。

つまり、【事故により有給休暇請求権(有給休暇をとる権利)を止むなく行使する事になった】という点について損害が発生したと見るわけですね。

普通に考えて、欠勤したら休業損害が認められけど、有給を使ったら認められないって明らかに不公平ですからね。

判例紹介

事故で会社を休む事になった事務職員の事例。

有給休暇を5日分取得したことを休業損害として、前年の給与所得を基礎に「給与所得×5日÷365」と算定した例

また、有給休暇は1年の全労働日数の8割以上出勤しなければ付与されませんが、入院等で欠勤が多くなった場合、出勤日数が足らず翌年度の有給休暇が付与されないという事態も想定されます。

本来事故が無ければ貰うことが出来た権利が事故のせいで貰えなくなる訳ですから、ここも損害が発生したものとして扱われます。

判例紹介

会社員が事故により欠勤が続き、翌年度の有給休暇請求権を取得出来なかった事例。

有給休暇はそれ自体に財産的価値があるとして、20日分の有給休暇請求権分の賠償を認めた例。

 

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休業損害の計算方法に関する基礎知識

 

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コラム-そもそも有給休暇とは?

有給休暇(年次有給休暇)は、労働基準法に基づいて一定期間勤続した労働者に与えられる「有給」の休暇のことで、有給休暇を使用して休んだとしたとしても給料は減額されません。

給料を貰いながら休む事ができるので従業員にとってはありがたい制度です。

年次有給休暇が与えられる為には以下の二つの条件を満たす必要が有ります。

  • 雇い入れの日から6ヶ月経過していること
  • その期間中、全労働日の8割以上出勤していること

上記の条件を満たした方は10日間の有給休暇が与えられます。

そして、最初の付与以降、1年毎に新たに年次有給休暇が与えられる事になります。

勤続期間と有給が付与される日数の関係は以下の通りです。

勤続期間付与される日数
6ヶ月10日
1年6ヶ月11日
2年6ヶ月12日
3年6ヶ月14日
4年6ヶ月16日
5年6ヶ月18日
6年6ヶ月以上20日

ちなみに、上記はフルタイムで働いている方の日数です。

派遣社員やパート・アルバイトの方は、フルタイムの方より労働時間が短いので有給休暇の日数が減りますが、一定の日数は以下の様に取得できます。

週間労働日数年間労働日6ヶ月1年6ヶ月2年6ヶ月3年6ヶ月4年6ヶ月5年6ヶ月6年6ヶ月以上
4日169日〜216日78910121315
3日121日〜168日566891011
2日73日〜120日3445667
1日48日〜72日1222333

上記で定められているのは、会社が従業員に対して法律上与えなければならない最低日数であって、この日数を超えて更に多くの有給休暇を従業員に対して与えても問題ありません。

実際に、大手の企業では福利厚生の一環として初年度から毎年20日の有給休暇を付与するというような例もあります。

使用義務は法律で定められていない

有給休暇の付与は法律で強制されていますが、付与された従業員がその有給休暇を使用しなければならないという義務は法律で定められていません。

旅行に行きたいからといって連続で何日も有給をとると、白い目で見られる様な会社もありますし、社内環境的に有給休暇をとりづらいと言った話は良く聞きますよね。

法律上の権利として与えられたものなので業務に支障がない限りは使い方は自由なのですが、実生活ではそうもいかないようです。

いっそのこと使用義務も法律で定めてくれるといいんですけどね(苦笑)

なお、有給休暇をとらずに2年間が経過した場合は、古いものから順に時効によって消滅していきます(労働基準法第115条)。

使い切れなかった有給休暇に関する取り扱いに関しては制度設計上の問題で買取が出来たり、出来なかったりする場合が有るようです。

この辺りは当サイトの趣旨と反しますので詳細は社労士等のホームページでご確認下さい。

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