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交通事故で「むち打ち症」になった事が有る人も多いのではないでしょうか。
軽い追突事故(オカマ)でも、むち打ちの症状が出てくるので困ったものです。
むち打ち症が厄介なのは、治療期間が長引く事に加えて、「神経症状」の部類に入るので被害者本人の感覚によるものが多く、画一的な判断がしづらい事でしょうか。
この記事では、むち打ち症の場合の「損害賠償項目」についてまとめて行きたいと思います。
傷害部分の損害賠償項目
傷害部分の損害賠償項目として「治療費・入通院慰謝料・休業損害」が挙げられます。
治療費・入通院慰謝料に関しては、一般的な負傷の場合と変わりありません。
但し、温泉療養にいく場合には医師の指示のもとで、権威ある温泉に行くことが必要になってきます。
■休業損害について
なお、むち打ち症の場合、治療期間が長引く事になるので、休業損害の取り扱いは一般の負傷の場合と同じようには行かないようです。
入院中は当然全休として扱われますが、仮に1年間通院して経過観察をしていても、半年間は全休・残りの半年間は「半休」の取り扱いになります。
症状の程度や通院頻度に応じて、休業割合が変わってくることになるので、会社を休んで通院しているなら、自宅療養ではなく、きちんと病院に通った方が良いでしょう。
任意保険会社は6ヶ月以内を目処に治療費等の打ち切りを通告する事が多い
上記で、むち打ち症の場合の「傷害部分」の賠償項目に関する、基本的な考え方を述べましたが、任意保険会社の取扱では事故後1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月程度を目安(症状にもよる)に治療費等の打ち切り宣告をしてくる事が多いようです。
というのも、むち打ち損傷は「受傷後3ヶ月経過するまでに9割程度の患者が治る」とか「長くても1年以内には治る」という意見が、整形外科医の中でも有るからでしょう。
それでもなお、自覚症状が酷くまだまだ通院を行いたいと考えるなら、医師に症状の状態を詳しく書いてもらった診断書等を書いてもらい、調停や訴訟も辞さないという覚悟が必要でしょう。
むち打ち症の後遺障害
むち打ち症の場合の「後遺障害逸失利益」をどのように算定すれば良いのか?については、従来から実務上大きな問題となっていましたが、最近の判例では以下の様に判断されることが多いようです。
等級 | 労働能力 喪失率 | 労働能力 喪失期間 |
---|---|---|
12級13号 | 14% | 5~10年 |
14級9号 | 5% | 5年以下 |
通常、後遺障害として等級が認定されれば、就労可能年数まで労働能力喪失期間が認められる事が多いのですが、むち打ち症の場合は「一生続くものではなく、何年か経てば治る」という見解のもとで、労働能力喪失期間を通常の後遺障害よりも短く設定しています。
判例では、その症状や状況に応じて、上記の表よりも長期の労働能力喪失期間を認める場合も当然あります。
なお、むち打ち症として等級認定を受けていたとしても、現実に減収が発生していない場合には、逸失利益が半分にされることも有りますし、神経症状がより酷い場合には9等級として認められる場合も有ります。
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