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交通事故により不運にも亡くなる人のバックボーンは様々で、年齢はもちろん職業も違いますし、家族構成も違います。では、進学予定が有ったり、就職予定がある学生が交通事故により死亡した場合、逸失利益はどのように計算するでしょうか?
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賃金センサスによる基礎収入算定が原則
交通事故損害額算定基準では以下の様に定められています。
賃金センサスによる全年齢平均賃金額を基礎とする
基本的には死亡による逸失利益と同様に、賃金センサスによる平均賃金額を基礎収入とします。しかし、学生には進学する人もいれば就職する人もいますし、就職する人でも在学している学校や学部によって就職先は百種百様です。
そこで、事故時に既に大学生であったり、若しくは大学等への進学が確実と考えられる人については、賃金センサスの大学卒の平均給与額を用いる事が多いです。また、被害者が将来的に医者や教師など特定の職業に就職する可能性が高い場合(医学部に在籍していたり、専門学校に通っている場合etc)は、その職業の平均賃金を採用することもあります。
注意が必要な点として、大卒センサスで基礎収入を算定する場合は22歳から仕事を始める前提となります。その結果、大学に進学せずに18歳から働くものとして学歴計センサスで基礎収入を算定した場合より、働く期間が4年短くなるので最終的な損害額が少なくなる事があります。
①後遺障害のある予備校生の事例。浪人中だったが予備校の国公立大医進コースに在籍していたことと大学進学率を照らすと、大学に進学する可能性が高いと判断できるので、賃金センサス(男性・大卒・全年齢)平均賃金を基礎として算定した例
②医学部3年生の事例。医師国家試験の実態から大学を卒業し国家試験に合格、26歳から67歳まで医師として働く可能性が極めて高いことから、賃金センサス(男性・医師・企業規模計)平均賃金を基礎として算定した例
③教員養成過程に在学中の女子大学生の事例で、教員給与を勘案した例。
④大学院で博士課程の男性の事例。死亡逸失利益について、賃金センサス(男性・大卒・全年齢)平均賃金を基礎収入額とした例。
⑤進学校に在学していた高校生の事例。在学中学年トップクラスの成績で、将来は大学を卒業し高校の数学教師を目指していた事から、賃金センサス(男性・大卒・全年齢)平均賃金を基礎収入とした例。
人の価値が職業で決まるものなのか・・・と愕然としてしまう人もいるのではないでしょうか。お医者さんになる予定だから高い給料で・・・というのは少し納得行かない部分も有りますよね。
しかし、賠償金自体が金銭で支払われるものですから何かしらの基準を作って決めないとおかしなことになりますのでしょうがないなという気もしますよね。
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