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個人事業主の方は毎年2月16日〜3月15日の間に確定申告をすることになります。しかし確定申告は1度提出すると終わり!という訳ではなく、提出した確定申告書が間違っていると後日「修正申告」をすることがあります。
「修正申告」とは、納める税金が少な過ぎた場合や還付される税金が多過ぎた場合に確定申告をし直すことをいいます。ちなみに、確定申告をした結果、納める税金が多過ぎた場合にする手続きは「更正の請求」といいます。
修正申告をすると前年の所得金額が大きくなります。そこで、交通事故の被害者が修正申告をした場合、休業損害はどのように算出されるでしょうか?
事故後の修正申告は信用性が低い
修正申告書は、当初の申告金額が間違っていた場合に提出することになりますが、事故後に提出された修正申告書というものは信用性が低くなる傾向にあります。
個人事業主の休業損害は「個人事業主やいわゆる自由業者の場合の休業損害(事業所得者の休業損害)」で書いた様に、基本的には前年の確定申告額によって決まります。
そこで、事故後に前年の確定申告所得額を上げる様に修正申告をすると、休業損害の金額が上がることになります。本来正しい所得金額にするために修正申告をするはずが、意図的に所得金額を上げるための手段として修正申告がされることがある、ということですね。
従って、事故前に修正申告をしている場合は特に問題ないですが、事故後に前年の修正申告をしている場合は、内容によっては休業損害の算定では採用されない事がある、ということに注意が必要です。
修正申告が採用されなかった場合は、賃金センサスなどを参考に適切な金額を基礎収入として計算することになります。
①電気工事従事者の事例。過去の確定申告について、給与所得の源泉徴収票と齟齬する内容の修正申告をしたものの、修正申告及び当初の確定申告は採用できないものとされ、賃金センサス(男性・学歴計・年齢別)平均賃金を基礎収入とした例。
②個人タクシー運転手の事例。事故前年の収入は約300万円として確定申告をしていたが、訴訟提起後に収入を約720万円として修正申告をした。また、5人家族で、住宅ローンがあることや事故後にタクシー用に新車を購入していることから、当初申告額では生活を継続するのは困難と判断。タクシー運転手の平均年収を考慮し、賃金センサス(男性・学歴計・全年齢)平均賃金を基礎収入とした例。
コラム-修正申告と過少申告加算税
修正申告には、自主的に間違いに気付いて修正申告をする場合と、税務調査で指摘をされて修正申告をする場合があります。
税務調査で指摘されて修正申告すると、過少申告加算税(罰金の一種です)を支払う必要があります。国税庁のHPにあるように、過少申告加算税は新たに納めることになった税金の10%相当額です。ただし、新たに納める税金が当初の申告納税額と50万円とのいずれか多い金額を超えている場合、その超えている部分については15%になります。
過少申告加算税を払うのはもったいないので、間違いに気付いた場合はすぐに自ら修正申告をすることが望ましいですね。
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