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「女性が働いている」「我が家は共働きです」・・・これは最近では至極普通のことです。
お勤めをしている女性もいれば、経営者の女性もいますし、はたまた女性の政治家も多くいます。
もはや女性の社会進出は当たり前のことと言われていますね。
一方で最近では、育児に熱心な男性を表す「イクメン」という言葉がはやり、女性が社会に進出する代わりに、男性も家庭生活を重視する傾向にあります。
子供が産まれると育児休暇を取得する男性も増えて来ています。
そんな中、男性の家庭生活重視の極みとして「主夫」と言われる、男性が専業主婦の代わりに家事労働をするというものがあります。
2004年に阿部寛さん主演の、主夫を題材にしたドラマ「アットホーム・ダッド」がフジテレビ系列で放送されていたのを見られた方も多いのではないでしょうか?
現実はまだまだ主夫は少ない
しかし、女性が社会進出するのが当たり前と言われる様になっても、男性が働くのは当然と考えられる状況は特に変わっていません。
「私、主夫をしています」と聞くと、「さぼっているのか?」と思われる事がまだまだ多いのが現実でしょう。
現に、「主夫」は「主婦」と比べると遥かに少ないです。
平成22年国勢調査産業等基本集計(総務省統計局)によると「妻が就業者で夫の労働力状態が家事」であると回答されているのは約18万人となっています。
一方で「妻も夫も就業者」と回答されたのが約1,310万人となり、約72倍の差があります。
では、「主夫」が交通事故に遭遇した場合、休業損害はどのように算出することになるでしょうか?
主夫の損害は女性センサスを参考に算出
「休業損害」は事故により仕事を続けることが出来なくなり、入院中や休暇中に減少した給与や収入の額を言います。
家事労働をしたからといって給料をもらえる訳ではありませんが、本来は金銭の対価が得られる行為を行っているものと考えて、休業損害を認めることになります。
専業主婦が交通事故にあった場合は、女性センサスを参考に休業損害を計算することになります。
(参考記事:家事従事者(専業主婦etc)の場合の休業損害)
そして家事労働は男女のどちらがするかによって、労働の対価が変わる訳ではありませんよね。
主夫だからといって男性センサスを採用すると、主婦の場合より休業損害が高く計算されることになってしまいます。
従って、男性家事労働者(主夫)についても、基礎収入額は女性センサスの値が採用されることが多いです。
①無職男性の事例。
病気で寝たきり状態の妻を介護していた点を家事労働と認定。
賃金センサス(女性・学歴計・年齢別65歳以上)平均賃金の80%を基礎収入とした例。
②妻が実家の事業を継いだため、夫が職には就かず家事全般に従事していた事例。
夫の基礎収入として、賃金センサス(女性・学歴計・全年齢)平均賃金を採用した例。
③52歳専業主夫の事例。
基礎収入を賃金センサス(女性・学歴計・全年齢)平均賃金として計算した例。
2012年6月に行われた「父親の育児参加に関する世論調査」によると、父親の育児参加に対する考えは「父親も母親と育児を分担して、積極的に参加すべき」が45.0%(昨年:39.1%、一昨年:34.7%)で、年々増加傾向にあります。
一方で「父親は外で働き、母親が育児に専念すべき」は8.5%(昨年:6.6%、一昨年:8.7%)にとどまり、一昨年とほぼ同じ割合とになっています。
育児はある程度手伝う必要はあるけど、男性は外で働くべきという考えがまだまだ根強いという結果ですね。
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