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積極損害の中には、子供の学費や保育費などの費用も含まれるのでしょうか。
判例をもとに見ていきましょう。
子供の学習費・保育費等は損害として認められる?
結論からいうと、交通事故損害額算定基準(青本)では、子供の学習費・保育費・学費等については実費相当額が損害として認められるとされています。
そもそも、交通事故により発生する子供の学習費・保育費・学費等にはどういったものがあるでしょうか。
以下で3パターンみてみましょう。
授業に追いつく為の費用
まず一つには、交通事故に遭遇し入院をしたことで学校を休んでしまい、授業に遅れたのでその遅れを取り戻すために塾に通ったり、家庭教師をお願いした場合の費用が考えられます。
事故により高校生が110日間入院したため、授業に追いつくためにお願いした家庭教師の費用を6ヶ月分認めた例。
払済みの学費等
次に、入院等で学校を欠席することになり出席日数が足らずに留年してしまった場合などで、新年度に払った授業料や事故前に支払ったその年分の授業料なども賠償額として認められる判決が出ています。
大学生が交通事故でケガをし、卒業試験を受ける事ができなくなり留年になってしまったことで発生した翌年1年間の授業料を認めた例。
保育費・子供預け費用等
最後に、被害者が親だった場合です。交通事故に遭遇し親がケガの治療や入院の為に子供の面倒をみられなくなった場合に必要となった子供の保育料なども賠償額として認められようです。
主婦が交通事故に遭遇し、娘の養育を祖父母に頼むことになったため、一日あたり3千円の養育費用を損害として認めた例。
この点について、被害者が働いている親である場合は休業損害が別途認められることになりますが、子供の保育料なども同時に認めてしまうと、損害が重複してしまうため損益相殺がなされることもあります。
注意点
上記は何れも相当額が損害額として認められることになります。
しかし、注意が必要なの点として必ずしも損害として認められるのではなく「被害の程度や内容・家庭の状況などから総合的に判断して決められる」という点です。
例えば、子供が入院して授業に遅れが出たものの、その後普通に学校に出席し勉強をすれば進級できたとします。
この時に、子供がさぼっていたことが明らかで、その結果進級ができなかった場合などにまで家庭教師の費用等を損害として認めてしまうのは公平ではないですからね。
他にも以下のように損害を否定されたケースもあります。
大学生が交通事故による後遺障害が原因で、元々通っていた通学時間の長かった大学を断念し、近い大学に入学しなおした事例。
大学に入り直した費用は損害として認められたが、事故時に通っていた大学への授業料は事故がなくても支払う必要のあったものなので、損害としては認められなかった例。
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