【交通事故の加害者のリアルな体験談】事故対応から警察・検察の聴取そして示談解決まで全てを公開

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この記事を読むのに必要な時間は約 42 分です。

当記事は、交通事故の加害者の体験談を「事故概要」や「事故現場での対応」「示談」などの項目別に整理して紹介しています。

また、各項目の体験談本文の途中又は最後に「QA形式」などによって気になるポイントなどの解説を挿入しています。

交通事故に遭遇すると、普段は冷静な方でも正常な判断が出来なくなるのが普通です。

事故を起こしてしまった場合に備えて、事前に”実際の体験者(加害者)の人の体験談”を見て勉強しておくのも、ドライバーの一つの義務とも言えるでしょう(*)。

* もちろん事故を起こさないに越した事はありません。

日々安全運転を意識して車に乗って下さい。

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【交通事故の概要】事故はこうして起きた

陽も沈み、ヘッドライトを付けた自動車が家路に着く時間帯。

夕方から断続的に雨が降っていました。

事故当時の天気は雨。

当然ながら、路面は濡れていました。

私が走行していたのは片側2車線の左車線です。

前方に停車車両が有ったので、右車線へ車線変更しました。

事故が起きたのはこの時です。

事故で転倒したバイク

右車線を後方から走ってきていたバイクが、私の車を避けようと急ブレーキしたせいで前輪がロックしスリップしてしまったのだそうです。

「~だそうです」という伝聞調の表現になっているのは、詳しい事故の状況を後から警察官と被害者の方に聞いたためです。

というのも、車の後方でのスリップ、かつ車とバイクが接触しておらず、一切衝撃がなかったので、事故に全く気付かなかったのです。

事故に気付いたのは、車線変更をして7,80m走行した辺りでした。

バックミラーをチラッと覗いた時にバイクが転倒しているのが見えたからです。

ただ最初に思い浮かんだのは「なぜバイクが転倒しているのか」という疑問です。

そして、徐々に「もしかしたら、自分のせいでは・・・」と思い始めました。

車線変更する前に、ウィンカーを出し、目視で確認をしたのですが・・・。

バイクが死角の位置にいたのか、見落としてしまったようです。

雨で視界が悪かったのが影響したのかもしれません。

今はこのように冷静に事故の状況を書いていますが、当時はかなり気が動転していました。

ポイント1:非接触事故は当事者間で揉めやすい

今回の体験者の事故を「非接触事故」と言います。

非接触事故とは、車両同士が接触せずに事故になってしまう事を指します。

今回の体験談のように車とバイクのケースが多いですが、車同士でも起こり得ます。

急ハンドルを切って電柱や壁に衝突するケースなどが考えられますね。

このような非接触事故では、当事者間で事故の因果関係や損害賠償等について揉める事が多いです。

やはり車両が接触していないので、加害者側が事故との関係性を認めようとしないのです。

つまり相手の操作ミスによる自損事故だと主張するわけです。

また、加害者が事故時に自分の非を認めていても、後日加害者側の保険会社が自損事故だと主張するケースも有ります。

もし非接触事故の被害者になってしまった場合は、「加害者の運転」と「事故」に因果関係が有る事を証明する為に、目撃者の証言を集めたり、自車又は周りにいた車両のドライブレコーダーの映像を確保するなど、証拠集めをするようにして下さい。

なお、ほとんどのタクシーやバスはドライブレコーダーを搭載しています。

事故現場にこれらの車両が居合わせたのであれば、運営会社に問い合わせしてみましょう。

なるべく、早く行動しないと録画した映像が上書きされる恐れが有るので注意が必要です。

 

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【事故対応】救急・警察へ通報するまでの流れ

バックミラーに転倒しているバイクが映っているのを見た私は、事態の把握に戸惑ったせいもあり、バイクが転倒している位置から100mぐらい走行した場所に車を停止させました。

車を降りて、転倒している運転手の元へ。

「すいません!大丈夫ですか?」と声を掛けると、返答が有りました。

意識がはっきりしている事に少しホッとしました。

が、怪我をしているようです。

夜だったので怪我の具合は分かりません。

「怪我=救急車」と反射的に119番に通報を入れました。

119番に通報

消防指令室に電話が繋がると、救急か消防かを聞かれます。

とりあえず交通事故が有った事を伝えました。

他にも以下のような事を聞かれました。

  • 被害者の性別・年齢
  • 怪我の有無・具合
  • 通報者(私)の名前
  • 現在地の住所 等

一番困ったのが住所です。

GPS対応のスマホなのになぜ住所を聞くのか?という疑問も有りましたが、それよりも事故現場の住所が分からなかったのです。

通ってきた道や近くに有る建物の名前など、分からないながらも、なんとか現在地が伝わるように努めました。

電話口の相手にはおそらく現在地の正確な情報は伝わっていなかったと思いますが、通報してから10分ほどで救急車と消防車が現場に到着しました(おそらくGPSで有る程度の場所は把握していたのでしょう)。

もし事故現場付近が携帯電波の圏外だったらどうしたら良い?

携帯電話の基地局は日本全国に整備されていますが、それでも電波の届かない地域も有ります。

そのような場所で交通事故が発生した場合には、救急・警察へ連絡する為に、以下のような行動を取るしか無いでしょう。

・通過する他の車両を止めて救急や警察に連絡してもらう
・近くに民家が有れば、電話を借りる
・電波の届く所まで移動する(自損事故の場合)

なお、人身事故の場合は怪我人を病院へ運ぶ、という方法も考えられます。


110番に通報

消防に通報した後は110番にかけて警察にも通報しました。

110番でも同じような事を聞かれたと思います。

警察に電話しながら、後方から走ってくる車を手で誘導して転倒しているバイクにぶつからないようにしていました。

発炎筒や三角表示板で後続車に危険を知らせるべきなのでしょうが、そんな余裕は有りません。

そうこうしている間に、まず事故現場に消防車が到着しました。

交通事故になぜ消防車が出動するの?

消防車の任務は消火活動だけでは有りません。

救急隊及び救急車がスムーズに医療活動・搬送を行えるように支援する事も消防車の任務となっています。

これはPA連携と呼ばれています。

交通事故現場が交通量の多い場所であったり、玉突き事故などの多重衝突で負傷者が多数になる場合などに消防車も出動する事になります。


その数分後に、救急車とパトカー(警察)も到着。

救急隊員はすぐに被害者の元へ行き、担架に乗せて救急車の中へ運びました。

警察官は先に到着して交通整理をしている消防隊員と一緒に交通整理を始めました。

救急車の中で治療を受けている被害者の方が心配で中の様子を見ようと近づいたのですが、警察の人に「危険だから車で待機しておくように!」と言われました。

仕方なく車内で待機する事に。

ここでやっと自動車保険会社と家族へ連絡を入れました(⇒保険会社とのやりとりは後述)。

ポイント2:事故現場の住所を正確に伝えるために

GPS機能の搭載・非搭載に関係なく、携帯電話で緊急通報(110番・119番)をした場合には発信者の位置情報が自動的に消防・警察に通知されます。

しかし、利用している機種や発信場所によっては、精度の低い位置情報が通知されてしまいます(数百m~1万mの誤差)。

そのため、通報をした際に現場の住所を聞かれるようになっているんですね。

正確な住所を伝えなければ、緊急車両の到着が遅れ、二次災害や怪我人の症状悪化などに繋がる恐れが有ります。

気が動転している中でもなるべく正確な住所を伝えるようにしなければなりません。

そこで、知らない場所でも住所が簡単に確認出来る方法を紹介しておきます。

  • 電信柱の街区表示板(電力会社の管理番号でも伝わるようです)
  • 公衆電話の整理番号表示
  • 自動販売機の住所表示ステッカー
  • 信号機の制御機の管理番号
  • キロポスト(高速道路の場合) 等

上記のいずれかの方法で事故現場の住所を伝える事が出来ます。

頭の隅に置いといて下さいね。

ポイント3:怪我人の救護は加害者の義務!しなかった場合はひき逃げ

交通事故の体験者のように、事故を起こした加害者は、被害者の救護や救急・警察への連絡、二次被害の予防などを行わなければなりません(道交法第72条)。

これらの行為を加害者の緊急措置義務や警察への報告義務と言います(参考:交通事故の現場で加害者に課せられる緊急措置義務や警察への報告義務)。

もし緊急措置義務を怠った場合には”ひき逃げ”となり重い罰則を受ける事になります(警察への報告義務に対しては別途罰則が規定されています)。

 

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事故を起こしてしまうとパニックになり、怖くなってしまいますが、逃げずに被害者の救護などを行うようにしましょう。

【事故現場での警察の実況見分】調書作成から確認・拇印まで

その後、被害者の方はそのまま救急車で近くの病院に搬送されました。

そして、残された私はまず消防隊員から簡単な質問を受けます。

年齢や職業、車を運転していた目的などです。

そうこうしていると、レッカー車が現場に到着して転倒したバイクを運んでいきました。

被害者の方か警察が呼んだようです。

本来なら私が手配しなければならないのかな?とその時思いましたが、そこまで頭が回りませんでした。

事故時の相手車両のレッカー代は自動車保険で補償されるの?

自動車保険の対物賠償責任保険で補償されます。

車の修理費用だけでなく、付随的に発生する費用も対物賠償保険の補償範囲となっています。

なお、補償される金額は過失割合に応じた額となります。

例えば、10万円のレッカー代が発生し、過失割合が9:1だった場合には、加害者(保険会社)が9万円、被害者(車両保険又はロードサービスにより補償)が1万円を負担する事になります。

相手車両のレッカー代も対物賠償保険でカバー


警察の実況見分

その後、警察の方が来て、実況見分が行われました。

まず、事故現場から何十mか手前まで二人で歩いていきました。

そして、そこから事故現場まで歩きながら「スピードはどれくらい出ていたか?」「どこで方向指示器を出したか?」「目視はしたか?」など具体的な質問をされます。

その間、別の警察の人が車幅や両車両の位置関係などの距離計測をしていました。

そして、事故現場手前から事故現場までを背景に何枚かの写真を撮ります。

その時、私はカメラに背を向けて、進行方向や転倒した場所などに指を指した状態で写真を取られました。

ニュースで殺人現場の実況見分のシーンを見た事が有りますが、実際にやるのは物凄く気が滅入りました。

そして、またしばらく車で待機していると、警察の人に呼ばれてワンボックスのパトカーに乗りました。

そこで実況見分調書と書かれた書類を一読されて、内容に間違いが無いかを確認されます。

この時、事故から1時間ほどしか経過していませんが、記憶はかなりぼやけていたと思います。

それでも当時の事を思い出しながら「内容に間違いは無い」と伝え拇印をしました。

ポイント4:実況見分ではしっかりと自分の意見を主張する事!

実況見分では、警察官が事故の概要を断定して話を進めていく事も有りますし、被害者・加害者双方の意見が食い違う事も有ります。

また、被害者の人は病院での治療が優先され、加害者よりも後に実況見分を受ける事が多く、加害者の言い分が警察官をミスリードしてしまう事も有ります。

そのため、自分の意見をしっかりと主張する事が大切です。

事故の相手方がちょっと怖い人だったとか、警察官には意見を主張しにくいなどと控えめになってしまうと、後で不利な立場に追いやられる恐れが有ります(過失割合の逆転など)。

特に、人身事故の被害者になった場合は注意して下さいね。

ただし、被害者も加害者も嘘はダメですよ。

実況見分調書は大事な証拠!実況見分に立ち会うときのポイント

これで実況見分は終わりだそうです。

帰っても良いのですが、被害者の方の怪我の状況や名前、連絡先などを知りたかったので、病院へ向かいました。

警察の人も被害者側の実況見分を行うらしく一緒に病院へ。

診察が終わるまで待ち、そこで謝罪し、連絡先を交換しました。

被害者の方は治療後にまた現場に向かい、警察の人と実況見分をされたそうです。

時間も遅く、怪我した体で実況見分をした事に本当に申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。

【被害者への謝罪やお見舞い】誠意とは何なのか?

被害者に電話で謝罪

事故の翌日、仕事が終わった後に被害者の方に電話をしました。

罪悪感も有り、また相手が怒っているかも、という不安も有り、かなり気が重かったです。

「もしもし、○○さんの携帯でしょうか?昨日、交通事故を起こしてしまった△△です。」

自分自身の説明が、かなり違和感の有る言葉になってしまったのを今でも覚えています。

私が悪いのは分かっていても、言葉の選択が”示談に影響するのでは?”と不安に思ったからです(結果として示談に影響は有りませんでした)。

「誠に申し訳有りませんでした。お怪我の具合はどうでしょうか?」

1日しか経っていないのに怪我の状態を聞くのは、相手の気分を害してしまわないか、と不安でした。

”治っているわけないだろ!”と怒鳴られる事も覚悟していました。

しかし、予想に反してというのは語弊が有るかもしれませんが、被害者の方は私に丁寧に接してくれました。

仕事を休んだ事、そして病院に行った事、どこにどんな怪我が有り、どれくらいで完治するのか、など細かく話してくれました。

自分の事ばかり考えていた事にもの凄く恥ずかしくなりました。

被害者への謝罪はいつが良い?

一刻も早く謝罪するべきです。

今回の体験談の加害者のように、ほとんどの人が謝罪する事に億劫になると思います。

しかしながら、今後の刑事処分や示談などの事も考えると早めに謝罪しておくべきでしょう。

直接会って謝罪するのが一番良いですが、互いの治療の状況や住まいが遠方に有るなどの理由ですぐに謝罪するのが無理な事も有ります。

そのような場合は、まず電話又は手紙で謝罪して下さい。

そして後日、直接会って謝罪するようにしましょう。

なお、謝罪やお見舞いに行く前に保険会社に一言断るようにして下さいね。

事故の加害者が被害者のお見舞いに行く必要性と効果


そして、怪我の話などをもう少し聞いた後に、お見舞いさせて欲しい事を伝えました。

「本当にすみませんでした。まだ正式に謝罪が出来ていないので、ご都合の良い日とお時間を教えて頂けませんか?」

ただ被害者の方は「そういうのは良いよ。病院でも、こうして電話でも謝ってくれてるし。後は保険会社に任せましょう。」と言ってくれたのです。

本当に頭が上がりません。

あまり長電話をするのも、また食い下がるのも「迷惑かな」と思い、この電話ではお見舞いの件は引き下がる事にしました。

その後、ほぼ毎日のように電話をして、怪我の回復具合などを伺いました。

その都度「お見舞いに行かせてください」とお願いしたのですが、断られ続けました。

ですが、交通事故から1週間が過ぎた日に、しつこくお見舞いをしたいと願い出る私に「それで気が済むのなら」と会う約束をしてくれました。

被害者へのお見舞い品

お見舞いの当日。スーツにネクタイ、ちょっとした菓子折りを持って、被害者の方の家に向かいました。

お見舞い品の相場はいくらぐらい?

1,000円~3,000円程度で良いでしょう。

あくまでお見舞いの品は気持ちです。

高ければ良いというものでは有りません。

なお、あまり必要になる事は有りませんが、お見舞いの品を買った時の領収書は大切に保管しておきましょう。

反省・誠意という抽象的な事象を証明する証拠として利用出来るためです。

お見舞いの注意点と見舞い品の相場【交通事故】


そして、チャイムを鳴らし、被害者の方が出てくるのを待ちます。

第一声は「わざわざ時間を作って頂いて有難うございます」と言おうと思っていたのですが、玄関から出てきた被害者の包帯が巻かれた姿を見て、ただただ頭を下げて謝罪する事だけしか出来ませんでした。

会っていた時間は30分ぐらい。

謝罪をし、お見舞いの品を渡し、怪我の状態や仕事に多少影響が出ている事などについて話をしました。

示談については特に話をしなかったのですが、保険会社に連絡して補償に関するお願いはしてある事だけを伝えました。

その後も何度かお見舞いに行かせてもらいました。

回数を重ねる毎に交通事故や怪我以外の会話も出来るようになり、被害者の方が私の事を少しでも許してくれたのかな、と気がラクになりました。

悩む女性

謝罪・お見舞いをする前に、インターネットで交通事故関係のサイトを色々と調べたのですが、そこには「誠意」が大切なんて書かれています。

実際に加害者の立場になってみて「誠意って何?」と自問自答する日々を送りました。

結局、答えは見つからなかったのですが、1つ感じたのは「誠意とは何か」を決めるのは加害者では無い、という事です。

いつすれば、何をすれば、誠意になるなんて基準はおそらく無いのでしょう。

誠意の有無を決めるのは被害者なんだと思います。

これは警察署での聴取の時に聞いた話なんですが、被害者の方が減刑を求める嘆願書を出してくれたみたいなんです。

誠意が伝わったんだな、とその時に感じました。

誠意が有れば良いという話では無いと思いますが、しっかりと謝罪をしておいて良かった、と後から思いました。

【交通事故での警察の聴取】取り調べと調書の作成に約1時間

交通事故から1週間後、警察署から電話がかかってきました。

用件は供述調書を作成するための聴取の日取りです。

都合の良い日で構わないがなるべく早く、という事だったので、その週の土曜日(仕事が休みの日)にしてもらいました。

当日、警察署には車で向かいました。

服装はラフな格好だったと思います。

聴取に要した時間は1時間ほどでした。

この日以降、警察署に呼ばれる事は有りませんでした。

警察署に入り、受付で担当者を呼んでもらいます。

すると、パソコンを片手に持った警察官が来て「こちらで聴取を取りますね」という感じで部屋に案内されました。

警察の取調室

聴取を取る部屋は、ドラマでよく見る無機質な取調室ではなく、屋外に接している壁はガラス張りで圧迫感は一切有りませんでした(警察署によって違うのかな)。

警察官と対面で座ります。

パソコンを開いた警察官が、机の上に事故現場の見取図や実況見分調書などを並べます。

それから聴取が開始されました。

警察の聴取で起訴・不起訴が決まるの?

起訴・不起訴を決めるのは検察官です。

警察では有りません。

ちなみに、量刑(罰則内容)を決めるのは裁判官です。

ただし、警察の聴取で作成された供述調書は、その後の検察官の聴取においての重要な捜査書類となります(実況見分調書なども)。

そのため、警察の問いに対して曖昧な返事をすると、不利な立場になる事も有るので注意が必要です。

覚えていない事は覚えていない。

間違っている事は間違っている。

とはっきりと主張するようにしましょう。

交通事故の捜査を受ける場合の注意点-悪質な場合以外は任意捜査


事故現場の見取り図は、かなり精巧に作成されていて、実況見分の際に計測していた様々な距離やポイント毎に色んな記号が記載されていました。

まず最初に聞かれたのは「事故に関して過失・不注意などが有った事を認めますか?」という質問でした。

この点に関して、一切争うつもりは無かったので「認めます」と即答しました。

完成した供述調書には「私はこの事故において、~~中略~~、不注意が有った事に相違有りません」や「もう少し注意を払っていれば・・・」などのような文言が記載されていました。

その後の聴取は、見取り図を基に時系列を追って進んでいきます。

といっても、取り調べという感じではなく、事実確認が多かったですね。

例えば、以下のような感じです。

  • 速度は何キロ出ていましたか?
  • ウィンカーを出したのは見取り図の記号Aの地点ですか?
  • 目視をしたのは見取り図の記号Bの地点ですか? 等

警察官は質問をしながら、パソコンで供述調書を作成しているようでした。

ちなみに、タイピング速度は遅かったので、予め骨子を作成しているのかな、と思いました(テンプレートの様な物が有るのかもしれません)。

事実確認以外には警察官が疑問に思った事を聞かれました。

しつこく聞かれたのは「なぜ接触もしていないのにバイクが転倒しているのに気付いたのか?(なぜバックミラーを見たのか?)」という事でした。

質問の意図は分かりませんが、何かしら違和感が有ったからバックミラーを覗いた、という曖昧な返答しか出来ませんでした。

事故から1週間が経っているので、かなり記憶が曖昧になっていました。

事故直前から事故後の事実確認が終わると、「調書を印刷するので少し休憩しましょう」と言われました。

喫煙所でたばこを吸って良い、という事だったので喫煙所で一服。

複数の白バイ

印刷が終了して、警察官が部屋に戻ってきます。

そして、見取り図と調書を並べて、読み聞かされます(調書に記載された記号の説明を見取り図で受けます)。

読み終わると、「間違いや気になる文言などが無いか」と質問されます。

もう一度全文を読ませてもらって、気になる箇所は訂正してもらいました。

最後に、調書に押印しました。

警察の聴取を受けるのは加害者だけ?

被害者も受けます。

あくまで任意なので聴取に協力する必要は有りませんが、示談における過失割合(*)の事も考えると、きちんと対応しておいた方が良いでしょう。

* 被害者の参考人調書は、裁判でも有用な証拠として利用出来ます。


そして「他に質問が有りますか?」と聞かれたので、今後の手続きについて聞きました。

人身事故を起こすと3つの責任が発生し、検察で刑事責任の処分、公安委員会で行政責任の処分を受ける、と説明されました。

この時に被害者の方から嘆願書が提出されている事を聞きました。

「こんな良い人は滅多にいない。感謝しなければなりませんよ。」

と言われ、あと1つの民事責任(損害賠償)はしっかりと果たすように!と念を押されました。

警察の方にも迷惑を掛けたので、最後に謝罪をして警察署を後にしました。

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【交通事故で検察庁からの出頭要請】起訴?それとも不起訴?

交通事故から約1カ月が経過した頃、地方検察庁から出頭の通知が郵送されてきました。

書面の内容は、出頭日時・場所や担当検察官の名前、持参する物(認印・免許証などの本人確認書類・示談が成立していれば示談書・用意出来れば嘆願書)などです。

指定された日は平日だったので、仕事を休んで検察庁に行きました。

出頭日時を変更する事は可能?

可能です。

指定された日時がどうしても都合がつかない場合は、通知書に記載された連絡先に電話をして、その理由と日程調整を申し出て下さい。

日程調整をしたからといって、基本的に起訴・不起訴の判断又は罰則の軽重に影響する事は有りません。

が、担当検察官は、たくさんの事件を受け持っています。

そんな中での日程調整となるので、心証が悪くなる恐れは否定出来ません。

よっぽどの理由が無い限り、当初の指定日時に出頭した方が良いでしょう。


検察庁

服装はスーツでした。

指定された時間の30分前には受付を済ませ、待合室のような所で名前を呼び出されるまで待ちました。

時間になると名前を呼ばれ、検察官のいる部屋に入ります。

まず最初に出頭の目的を説明されました。

「交通事故の件でいくつか確認したい事が有ったので来ていただきました」というような事を言われました。

そして、この聴取で起訴・不起訴の判断や刑事処分(懲役又は罰金)の求刑内容が決まる事を伝えられました。

ポイント5:人身事故における刑事処分

人身事故の加害者は、基本的に「過失運転致死傷罪(自動車運転死傷行為処罰法5条)」に問われます。

刑事処分の内容は、7年以下の懲役もしくは禁錮、又は100万円以下の罰金です。

懲役刑と禁錮刑の違い

処分の軽重は、事故の内容や過失の度合い、被害者が負った怪我の程度、被害者感情などによって決まります。

ただし、飲酒運転や無免許運転など、悪質な加害者にはより重い「危険運転致死傷罪」が適用されます(最高20年の懲役)。

それから、警察が作成した供述調書と事故現場の見取り図を出して、事実確認が行われました。

といっても、警察の時ほど詳細な確認ではなく、事故概要の確認程度でした。

事実確認が終わったら、被害者の方への対応について聞かれました。

ただ世間話のように「お見舞いには行きました?」という感じでした。

数回お見舞いに行った事と謝罪をした事も伝えました。

検察官は調書などを片付けながら「今回の交通事故の状況と被害者からの嘆願書、そして反省している様子などを総合的に判断して、あなたを不起訴にしたいと思います」と言われました。

ポイント6:嘆願書の効果

嘆願書とは、被害者が加害者に対する刑事罰の減刑を求める書面です。

検察官が刑事処分の起訴・不起訴や処分の軽重を決定する上での参考資料となります。

交通事故の加害者となった場合は、この嘆願書を被害者に作ってもらう方が良いでしょう。

そのためには、早めの謝罪とお見舞いなどの誠意有る行動が必要です。

謝罪をしない人に嘆願書を作成するような加害者はおそらくいません。

:今回の体験談のように不起訴になる事も有りますが、必ず嘆願書を提出すれば不起訴になるわけでは有りません。

ちなみに、被害者の方は加害者への厳罰を求める書面を提出する事も出来ます。

こういった意味からもしっかりと謝罪はしておいた方が良いでしょう。

罰則を受けると思っていた私は内容を理解するのに時間を要しました。

さらに「不起訴にする旨を上司に伝え、それが通ればあなたは不起訴になります。

しかし、上司が起訴しろ、と言う場合は後日連絡します。

連絡が無い場合は不起訴になったと思って下さい。

不安であれば1、2週間後に私に連絡してもらえれば結果をお伝えします。」という事も言われました。

ちなみに、その後検察官から連絡は有りませんでした。

担当検察官の言う通りに不起訴になりました。

そして最後に「被害者の方にしっかりと補償をする事、今後事故を起こさないように安全運転を心掛ける事、この2点をしっかりと守るように」と忠告されました。

私は検察官に謝罪とお礼を言い、部屋を出て検察庁を後にしました。

【交通事故の行政処分】いつ通知が来たのか?その内容

交通事故から1カ月と少しが経過した頃、公安委員会からも出頭の通知が郵送されてきました。

書面には出頭日時と場所、免許停止期間、処分点数などが記載されていました。

ちなみに、私の処分内容は8点の加点と30日の免停という内容でした。

ポイント7:人身事故の行政処分

人身事故の行政処分は、安全運転義務違反の2点に過失運転致死傷の2点~20点が加えられた合計点数となります。

過失運転致死傷の点数は被害者の怪我の程度などによって決まります。

なお、人身事故は交通反則通告制度の対象ではないので反則金は課されません。

免停(免許停止)になる違反点数と停止期間・前歴との関係性

運転免許更新センター

出頭当日に免許更新センターへ行きました。

免許を新たに取得する人や更新をする人がたくさんいる中、「出頭通知を受けた人はこちら」という案内に従って、エレベーターに乗り、目的の部屋に向かいました。

その部屋は小・中学校の教室ほどの広さで、既に20人ほどが椅子に座り何かを待っていました。

おそらく、事故・違反で免停等の処分を受ける人達でしょう。

とりあえず、受付に行き通知書を渡して名前を伝えます。

すると年配の警察官の人が側にやってきて「ちょっとこちらに」と仕切りで区切られた別の空間に案内されました。

その警察官の人は私の事故の状況と不起訴になった事などを知っており、それが理由なのかどうか分かりませんが「今回は行政処分は無し」という判断になった事を伝えられました。

ポイント8:本来ならば免停になり停止処分者講習を受ける

体験者のように行政処分が免除される事がよく有る事なのかは分かりませんが、原則通りの処分だと免停となります。

そして、出頭した日に停止処分者講習を受けて、免停期間を短縮するのが通常の流れです。

なお、停止処分者講習は義務では有りません。

受けなくても大丈夫です。

ただ免停期間を短縮する為に受ける人が多いです。

停止処分者講習の内容 – 受けないと免停の期間短縮は出来ません

警察官の人はこうも付け加えました。

「加点された8点は消えず、1年以内に1点でも違反すると60日以上の免停処分になるので注意して下さい」と。

事故を起こしといてこんな事も有るんだ、と不思議に思ったくらいです。

書類にサインしてその部屋を出ました。

時間にして20分程度でしょうか。

特に何もせずに免許更新センターを後にしました。

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【示談】保険会社とのやりとり

保険会社への第一報をしたのは、救急・警察への対応がある程度済んでからでした。

車のグローブボックスに保険証券を保管していたので、記載されている事故受付の番号に電話をしました。

自賠責保険と任意保険を契約した保険会社が別の場合は両方に連絡するの?

任意保険のみで構いません。

任意保険の担当者が自賠責保険の手続きも全て行ってくれます。


事故直後だったので、事故を起こしてしまった事、事故の相手方が怪我をしている事など、分かっている事だけを伝えました。

保険会社の事故受付の人から「いつの事故ですか?」と聞かれ、

「30分~1時間前です」と答えると、

「分かりました。事故の受付は完了しましたので、担当者から明日ご連絡させていただきます。事故の相手方の氏名や連絡先などの情報は今の時点で不明だと思いますので、分かり次第担当者にお伝えください。」

と言われました。

“事故受付の方のこちらの状況が分かっているかのような対応”と”担当者がすぐに行動してくれる事”に凄く安心した事を今でも鮮明に覚えています。

保険会社への連絡はいつまでにすれば良い?

事故発生から60日以内です。それまでに保険会社に連絡をしないと保険金が支払われない場合が有ります。

ただ事故の相手方への対応なども考えると、事故後すぐに保険会社に連絡した方が良いでしょう。


任意保険の担当者

事故の翌日、担当者から連絡が有り、被害者の方の情報などの必要事項を伝えました。

その時に「示談は私共(保険会社)に全て任せていただけますか?」という確認をされ、示談の解決までの大まかな流れの説明を受けました。

保険会社への連絡事項は?

保険証券の番号や契約者名、運転手の名前、相手方の名前・住所・連絡先、車の情報など、その他にも多数の情報が必要になります。

かなり多くの内容を保険会社に伝えなければならないので、体験談のように取り敢えず事故連絡だけ済ませて、後日情報を整理してから連絡した方が良いでしょう。

事故時の保険会社への基本的な連絡内容


その日の夜には相手方と連絡が取れた事の報告を受けました。

「示談の話を進めていくので安心して下さい」との事。

その後、事故状況の確認の為に何度か連絡が有りました。

そして、事故の状況からの基本的な過失割合(8:2だそうです)の話を聞き、このラインで示談を進めていく事、また双方の過失の有無によって最終的な過失割合は変動する事などの説明を受けました。

車のバイクの同一方向へ進行している場合の進路変更による事故の過失割合

事故から1週間ぐらいは毎日のように保険会社から連絡が有りましたが、保険会社側の不明な点が解消されるにつれて連絡の頻度は少なくなっていきました。

私から保険会社に連絡したのは、被害者の方にお見舞いに行く前ぐらいでした。

 

 

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物損の示談

車の傷

物損に関する示談が解決したのは、事故からおよそ1カ月が経過した頃です。

検察の聴取が終わった後ぐらいでした。

保険会社の担当者の話では、バイクの修理費用でかなり揉めたようです。

全損扱いになったのですが、年式が古かったので時価がかなり低く、賠償金額は10万円にも満たなかったそうです。

そこで付帯していた「対物超過修理費用特約」を利用して、示談に至ったようです。

任意保険を契約した時はこの特約いらないかも?と思っていたのですが、付帯していて良かったです。

物損の示談内容は、バイクの修理費用、レッカー代などです。

金額にして数十万円でした。

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対人の示談

対人補償の賠償金

怪我の賠償などの対人に関する示談が解決したのは、事故からおよそ6カ月が過ぎた頃です。

けっこう時間が掛かりました。

1月に1回、保険会社から示談の進捗状況が郵送されてくるのですが、「交渉中」としか記載されていませんでした。

数カ月が過ぎ、状況が良く分からなかったので保険会社に連絡したところ、被害者の方の治療が完了するまでは具体的な示談の話は出来ないのでもう少し時間がかかる、との事でした。揉めているようではなかったので、安心しました。

確かに、被害者の方はまだ通院していましたからね。

その後、後遺障害の等級認定をするらしく、再度事故状況などの確認をされました。

物損の示談に関してもそうですが、保険会社に任せっきりでした。

迷惑を掛けたな、と思うと同時に心強さも感じました。

自分だけではどうする事も出来なかったでしょうから。

対人に関する示談の内容は、治療費や慰謝料などです。

新車が2、3台購入出来るぐらいの金額でした。

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最後に

交通事故の全てが解決して思った事は、被害者の方に対する申し訳ない気持ちと自動車保険に加入していて本当に良かった、という事です。

自動車を運転する際はより安全運転を心掛けていきたいと思います。

 

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