【弁護士基準】傷害(事故)の慰謝料の計算方法

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今回は弁護士基準の傷害事故の場合の慰謝料の計算方法について紹介していきますので、自賠責保険の計算方法について知りたい方は下記の参考記事をご利用ください。

参考記事:【傷害】の場合の損害額の算定方法(自賠責保険の場合)

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弁護士基準の慰謝料計算

弁護士基準は裁判の判例などを基にして弁護士が損害賠償請求をする際に使用される基準で、全国版と東京版の2つがあります。当サイトでは全国版を基にして説明していきます。この全国版は財団法人日弁連交通事故相談センターが作成した「交通事故損害額算定基準(通称:青い本)」です。これに対して東京版は同センターの東京支部が作成した「損害賠償額算定基準(通称:赤い本)」です。

では弁護士基準(通称:青い本)での傷害の場合の慰謝料の計算をしていきます。

慰謝料計算表

■入通院慰謝料基準表(1月~7月抜粋 単位:万円)

基準表

(出展:交通事故損害算定基準-日弁連交通事故相談センター著)

傷害の場合の入通院慰謝料は上記の表を利用して上限・下限を算出してその範囲内の妥当な金額を慰謝料として計算します。

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基準表の使用方法

基準表の上の入院期間と左の通院期間(通院初日から通院をしなくなるまでの期間)が交差した所を慰謝料金額とします。例えば入院期間が2ヶ月で通院期間が3ヶ月だった場合には、入院期間2月の位置から下に降りていき、通院期間が3月の位置から右に移動していき交わった所の99万円(下限)~183万円(上限)が入通院慰謝料となります。

また入院のみや通院のみであった場合には、「入院のみ」「通院のみ」の欄を利用する事になります。

入院のみの金額、通院のみの金額のカラクリ

ここで入院期間と通院期間が交わっている金額と入院のみと通院のみの金額を合計した金額が違うと思った人もいるかと思います。その理由は、例えば入院3ヶ月で通院3ヶ月であった場合には入院は3月入院のみの数字を使いますが、通院は3月通院のみの数字は使わずに、6月通院のみと3月通院のみの慰謝料額の上限下限の差額を使用するからです。

つまり、上限に関しては139万円-84万円=55万円、下限に関しては76万円-46万円=30万円となり、これを3月入院のみの上限下限額に加算する事によって入通院慰謝料額の表の金額になります。上限は55万円+171万円=226万円、下限は30万円+92万円=122万円となり、3ヶ月入院3ヶ月通院の表の値と一致している事がわかると思います。

最後にこの基準表は、15ヶ月までしか記載されていないのでもしこれよりも治療が長期に渡った場合には、1月あたり以下の金額を上限下限に加算していく事になります。

  • 入院上限・・・5万円
  • 入院下限・・・4万円
  • 通院上限・・・3万円
  • 通院下限・・・2万円

慰謝料額決定の目安

上記のように入通院期間によって慰謝料額の上限と下限を決定するのですが、幅がかなりありますよね。弁護士基準にはある程度の指針が示されています。

  • 慰謝料額を上限とする症状・・・太ももの骨の粉砕骨折や複雑骨折、脊柱の骨折をし脊髄損傷した場合など
  • 慰謝料額を下限とする症状・・・軽い怪我や神経症状など
  • 慰謝料額を上限の7,8割とする症状・・・上記以外の通常の傷害
  • 慰謝料額を上限の2割増しとする症状・・・内蔵破裂や複数箇所の骨折や脳・脊髄の損傷などで長期間に渡る治療や重い後遺障害が残る場合など

このように交通事故で受けた傷害の軽重によって入通院慰謝料金額を決定することになります。

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入通院期間の考え方

基準表における入院期間は入院してから退院するまでの期間であり、通院期間は全治療期間から入院期間を除いた期間になります。また1月に満たない端日数が生じた場合には、まず切り上げて請求・交渉したらいいと思います。

例えば入院期間が40日で通院期間が70日なら入院期間は2月、通院期間は3月で考え基準表に当てはめて上限の183万円で請求・交渉すればいいでしょう。この金額が慰謝料のMAXの金額になるわけです。

参考:賠償金をより多く取るための示談交渉テクニック

正確に計算するなら1月に満たない日数は日割計算(1月を30日と考える)をする事になります。計算方法は基準表の使用方法と同じように計算します。

上の例の入院40日、通院70日、全治療期間110日で日割り計算すると、まず110日は3月と20日ですので通院のみの期間の3月と4月の慰謝料の上限・下限の差額を30日で割りそれぞれの日額を算出します。

計算すると、上限は(105万-84万)÷30日=7,000円、下限は(57万-46万)÷30日=3,666円となります。それぞれに20日を掛けて3月の上限下限に足す事で110日分の通院慰謝料を算出します。7,000円×20日=14万、3,666円×20日=73,333円となり、それぞれを3月の上限と下限の84万円と46万円に足し、98万円と533,333円となります。

さらに、入院期間40日分の通院慰謝料を控除しますが、これも端数計算が必要です。同じように上限下限の差額を求め日額を出し、端数分を算出し1月の上限下限に足す事によって求めます。

2月と1月の上限下限の差額はそれぞれ28万円と15万円で日額は9,333円と3,000円となります。ここから端数の10日分を計算し1月の上限下限に足します。93,333円と30,000円となり、40日分の通院慰謝料は383,333円と19万円となります。この金額を110日分の通院慰謝料から控除します。上限は98万円-383,333円=596,667円、下限は533,333円-19万円=343,333円となります。

最後に入院慰謝料40日分を計算しますが、ここも端数計算が必要です。同じように2月と1月の入院慰謝料の上限と下限の差額から日額を求め、10日分の入院慰謝料を計算し1月の上限下限に足します。

差額は57万円と31万円で日額は19,000円と10,333円となり、10日分は19万円と103,333円と計算でき1月分の上限60万円下限32万円に加えると入院慰謝料の上限79万円、下限423,333円が求まります。

最後に70日分の通院慰謝料と40日分の通院慰謝料足すことによって正確な入通院慰謝料を求める事ができます。上限は596,667円+79万円=1,386,667円、下限は343,333円+423,333円=766,666円となります。

参考「【弁護士基準】通院日数が少ない場合の入通院慰謝料の使い方

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特別な事情がある場合の上乗せ

治療期間の長さと傷害の軽重で傷害慰謝料を計算するのが基本的な考えですが、それ以外に交通事故により不利益を被った場合には慰謝料を相当額加算する場合があります。

参考「入通院慰謝料が加算される特別な理由とは?

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