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物損事故の場合、車両の塗装費用に関して問題になる場合があります。
なぜ問題になるかというと、損傷箇所だけ塗装をする部分塗装では周りの塗装と違いが出てしまい違和感のある仕上がりになってしまうため、被害者としては現状回復していないわけですから車両全体を塗装する全塗装を希望する事になるからです。
ただ、全塗装が認められるには修理方法の相当性が認められる必要があります。
以下、どのような場合に認められてどのような場合には認められていないのかチェックしていきたいと思います。
修理方法の相当性って何?
修理方法の相当性とは、今回の問題でいう全塗装での修理方法が必要か否かという意味になります。
全塗装は認められるのか?
事故により車両の損傷箇所を修理する際に、外観(美観)の損傷が著しい場合には全体に損傷が及んでいなくても全塗装が認められる場合があります。
外観(美観)が損なわれるような場合には基本的に全塗装が認められる?
確かに部分塗装では損傷箇所とその周りの部分で違和感が生じてしまいますが、塗装方法や塗装範囲を広げる事によって、ほとんど区別が付かない状態に修理する事ができる場合が有ります。
そのような場合には、例え宣伝車のような美観を大切にするような車両であっても全塗装は認めずに部分塗装の費用だけを認める事があります。
特殊な塗装をしていた場合は全塗装OR部分塗装?
マジョーラ塗装(見る角度や光によって色彩が変化)やキャンディ塗装(半透明の色を重ね透明感のある合成色を作り出す)やラメフレーク塗装(ラメを種類やベースカラーの組み合わせにより独特のキラメキ感を出す)など特殊な塗装を施している車両は、部分塗装で周りの部分との違和感を解消する事が困難な場合が多いので全塗装が認められる場合があります。
部分塗装で周りとの違和感があれば全塗装は認められる?
部分塗装によって周りと色や光沢などの違和感があったとしても、損傷箇所の大きさから外観を損ねているかどうか、また購入からの経過年数(古ければ色褪せやくすみは当然生じる)や、全塗装と部分塗装の費用の比較をした結果認められない事があります。
まとめ
裁判所は原則として特殊な事情がない限りは部分塗装でよいという立場を取っています。特殊な事情とは、
【特殊な塗装をしているため部分塗装では他の部分との違いが明らかになってしまい車両全体の美観を損ねてしまうような場合でその美観が車両の価値の多くを占めるような時】
としており、さらには
【全塗装と部分塗装の費用を比較し大きな差が生じない場合に認める】
としているため全塗装が認められにくいのが現状です。
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