交通事故で死亡した場合の損害額(慰謝料や保険金等)の算定方法【自賠責基準】

Advertisement(広告)

この記事を読むのに必要な時間は約 10 分です。

交通事故(自動車事故)で被害者が死亡した場合の損害額(損害賠償金の額)の計算基礎は以下の3つです。

  • ①逸失利益
  • ②慰謝料
  • ③葬儀費

これら3つの計算基礎を元に金額を計算し、合計したものが被害者遺族が受け取る事ができる保険金の総額となります。ただし、自賠責保険の支払保険金の限度額は、死亡時の場合で3,000万円です。限度額の3,000万円を超えた部分については”加害者の任意保険”から支払われます。(参考:自賠責保険で支払われる保険金額の上限

この記事では“自賠責保険の基準に則った計算例”を紹介していきます。ただし、交通事故の損害額の算定基準は自賠責基準だけでなく、その他にも任意保険の基準や弁護士会基準もあります(他の基準でも3つの計算基礎は同じです)。

自賠責基準以外の支払基準については、下記記事を参照して下さい。(損害額の算定額は「弁護士会基準>任意保険の基準>自賠責の基準」の順で大きいです。自賠責基準は最も算定額が小さくなる。)

  死亡逸失利益の計算方法【弁護士基準】
【弁護士基準】死亡慰謝料についての金額と判例

それでは、自賠責基準における各計算基礎の算定方法について見ていきましょう。

Advertisement(広告)
Advertisement(広告)
Advertisement(広告)

【自賠責保険の支払基準】死亡時の逸失利益の計算方法

倒れている硬貨

逸失利益とは、被害者が、その交通事故で死亡しなければ、今後得られたであろう所得の金額を表すものです。

基本的には、計算式に則って画一的に計算されますが、裁判などでは被害者の特殊性等に応じて柔軟に金額が計算されるようです。

計算式は以下のようになっています。

逸失利益=(年間収入額ー生活費)×死亡した年齢の就労可能年数のライプニッツ係数

計算式のそれぞれの項目について以下で見ていきますね。

年間収入額

年間収入額

例えば、サラリーマンの方であれば賞与等の臨時給与も含み、個人事業主であれば事業から得られた収入から必要経費を差し引きます。

個々人の職業に応じて、年間収入額の算定方法は異なりますので、詳しく知りたい方は下記記事から該当するものをご参照下さい。

Advertisement(広告)

生活費

死亡したのに年間収入額から生活費を差し引くの?と思う人もいるかもしれませんが、この計算式は交通事故に遭わなかったと仮定して、その後得られたであろう利益額を計算するものですから、生活費は差し引かれます。

被害者の方が生きていたら、その分可処分所得は少なくなるので生活費も引いておきましょうね。というイメージです。

生活費

ただ、”死亡した被害者の生活費”を具体的に算定するのも困難なので、通常は「生活費控除率」を乗じることにより算定されます。

この生活費控除率は、被害者に被扶養者がいる場合は35%、被扶養者がいない場合は50%となっています。なお、弁護士基準では30%~50%で計算されます。詳細については下記記事をご覧ください。

生活費控除率の基準

ライプニッツ係数

逸失利益とは、被害者が生きていれば得られたであろう”利益”の事を指します。(裏を返せば、残された家族にとっては損害とも言えます。)

交通事故で被害者が死亡した場合、この”利益”の金額を現時点で一括で支払うことになります。しかし、それは本来、被害者の方が長年にわたり獲得していく利益であり、そこには時間的価値の相違があります。

つまり、将来獲得できたであろう利益を現在一括で支払う為には、将来の利益を現在価値に置き換える必要性がでてくるわけです。

そして、現在価値に戻す計算方式の事を”ライプニッツ方式”と呼び、利率は民法404条で規定されている年5%を使用します。(計算は複利で行われます)。

とはいえ、いちいちライプニッツ方式を使って計算するのも面倒なので、ライプニッツ係数と呼ばれる係数を利用することで計算を簡略化します。

第404条
利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、年五分とする。

引用元: 民法-e-Gov法令データ提供システム

注:民法改正により法定利率が5%から3%に引き下げられる予定です。施行日はまだ未定です。詳細は下記記事を御覧ください。
民法改正で法定利率が5%⇒3%に!逸失利益の金額が大幅に増えます



年齢等に応じたライプニッツ係数に関しては、下記国土交通省のPDFファイルを参照して下さい。

就労可能年数とライプニッツ係数 | 国土交通省
ライプニッツ係数とは~中間利息控除算定時の基準係数~(当サイトの記事です)

Advertisement(広告)
インズウェブ自動車保険一括見積もり

【自賠責保険の支払基準】慰謝料の計算方法

遺族への慰謝料

慰謝料の金額・計算方法は、算定対象者毎に以下のようになっています。

慰謝料算定者金額
本人への慰謝料350万円
遺族への慰謝料 *550万円(請求権者が1人の場合)
650万円(請求権者が1人の場合)
750万円(請求権者が1人の場合)
* 被害者に被扶養者がいる場合は、上記「遺族への慰謝料」に200万円が加算されます。

なお、請求権者には以下のものが該当します。

  • 被害者の父母
  • 配偶者
  • 子供
  • 【補足】養父母、内縁の配偶者・胎児や養子、認知した子供も請求権者に該当

要するに、被害者と実質的に家族関係があった場合には慰謝料の請求を認めてくれるということです。この辺りは遺族への配慮がしっかりとなされていると思います。

Advertisement(広告)
Advertisement(広告)

【自賠責保険の支払基準】葬儀費の計算方法

葬儀

葬儀費は60万円です。60万円を明らかに超える場合には、証拠証憑を見せることで100万円以内の妥当な金額までなら認められます。

以下、葬儀費に含まれるもの・含まれないものの例示です。

葬儀費に含まれるもの葬儀費に含まれないもの
通夜・告別式などの葬儀にかかる費用や初七日追善供養・祭壇・仏具・火葬・埋葬・石塔または墓石に要する費用墓地・永代供養・年忌供養・香典返し等

Advertisement(広告)
Advertisement(広告)

自賠責基準における「死亡」時の損害額算定例

計算の前提は以下のとおりです。

前述したように、自賠責基準での損害額(支払保険金や慰謝料など)の算定は「①逸失利益②慰謝料③葬儀費」の3つの計算基礎からなります。以下、1つずつ見ていきます。

Advertisement(広告)

逸失利益の計算例

逸失利益=(年間収入額ー生活費)×死亡した年齢の就労可能年数のライプニッツ係数

計算式
421,300円×12ヶ月×(1-0.35)×15.803=51,931万円(1万円以下端数切り上げ)

解説
35歳男性の平均月額給与”421,300円”に12ヶ月を乗ずることで年間収入額を算定します。もちろん、死亡した方の収入が平均給与月額よりも多い事が証明できる場合には、実際の収入額により計算されます。

(1-0.35)は生活費の控除ですね。被扶養者がいる場合には控除割合は35%、被扶養者がいない場合には50%で計算されます。

15.083は35歳の場合のライプニッツ係数になります。

慰謝料の計算例

算定対象者金額
本人慰謝料350万円
遺族への慰謝料650万円(請求権者が2人なので)
被扶養者ありの加算金200万円

以上より、合計1,200万円が慰謝料の金額となります。

Advertisement(広告)

葬儀費の計算例

60万円

これは説明不要ですね。

合計の計算例

51,931万円+12,000万円+60万円=63,991万円

計算例の前提の被害者が死亡した場合、自賠責基準では63,991万円が損害額として算定されます。ただし、自賠責の対人補償金額は最大3,000万円なので、残りの33,991万円に関しては任意保険から支払われます。

反対に言えば、加害者が任意保険に加入していない場合には、3,000万円を超える損害額が計算されたとしても”3,000万円分”しか支払われないことになります。

加害者が保険未加入の場合に備えて、自衛できるところは自衛しておきましょう(参考:加害者が任意保険未加入/自賠責保険未加入の場合に自分を守るためにどんな対策をすればいいの?

自賠責基準の損害額の算定方法に関しては、国土交通省の資料も参照して下さい。

参考:自賠責保険の支払基準‐国土交通省

Advertisement(広告)
インズウェブ自動車保険一括見積もり
損保との違い
Advertisement(広告)

最新Newsを『X』で確認!『X』開始しました

【人気各社に個別見積もり】

ある程度、自身で保険会社が絞られている方は、個別に見積もりしていく事も個別の内容把握や対応が少なくなるので、オススメです。

気になる自動車保険会社だけに無料で個別見積もり!

自身の状況を反映させ、大まかな契約概要を把握する

自身である程度、保険会社が絞られている方は『個別見積もり』もオススメでしょう。

  1. 【個別見積もり】ソニー損保
  2. 【個別見積もり】セゾン自動車火災保険(おとなの自動車保険)
  3. 【個別見積もり】楽天損保
  4. 【個別見積もり】アクサダイレクト
  5. 【個別見積もり】チューリッヒ

まだ自身のニーズや年齢・家族構成など、保険会社を絞りきれてない方には一括見積もりで自分に合った保険会社を見つけることが重要です。一度試してみましょう。

【独自分析!2024年ダイレクト型ランキング1位】

「保険料の安さ」「事故対応の満足度」「ロードサービスの充実度」など全ての項目を総合的に勘案した自動車保険会社の2024年総合ランキング(独自分析)でトップに位置するソニー損保

【独自分析!名前の通り「50代以降」や「子育て世代」にお勧め】

「保険料の安さ」「事故対応の満足度」「ロードサービスの充実度」など全ての項目を総合的に勘案した自動車保険会社の2024年総合ランキング(独自分析)でソニー損保と共に、トップに君臨するセゾン自動車保険(おとなの自動車保険)

【楽天経済圏の方にオススメ!楽天損保】

最大のポイントは自動車保険料の支払いで「楽天ポイント」を貯められる点でしょう。『楽天カード』での自動車保険支払いの場合、楽天ポイントが、なんと『3倍』貯まります。100円で1ポイントが貯まるので、保険料月50,000円の場合、1000ポイントが貯まります。さらに自動車保険料を楽天カードで支払った場合、プラスで500ポイント貯まるので、月1,500ポイントの楽天ポイントが獲得でき、1ポイント1円で使用可能です。

【サービスと保険料で人気「アクサダイレクト」】

インターネット割引では、ウェブサイトで見積もりをした場合、条件達成で最大2万円のインターネット割引が適用可能に!また無事故の年数が長ければ長いほどお得になる20等級継続割引では、条件の達成で「1年目」「2年目」「3年目」「4年目以降」の4区分された割引が適用されます。

またアクサダイレクトでは、必要に応じて面談担当者が自宅を訪問して説明するAXAフィールドサービスを展開。事故時に電話だけのやり取りだけでは不安な方でも、対面でやり取りをすることにより、安心して手続きを進めることが可能です。

まだ自身のニーズや年齢・家族構成など、保険会社を絞りきれてない方には一括見積もりで自分に合った保険会社を見つけることが重要です。一度試してみましょう。

『自動車保険』を比較・分析・賢く選ぶ

自動車保険は個人の年齢、自身が補いたいリスクなど、人によって様々なニーズがあると思います。ただ自身のニーズにあった商品を一社一社見ていくのも、大変な作業です!

もちろん、懇意にしている保険会社があれば、それを利用するのも手ではありますが、「合理的」「経済的」に考えたい方は、数社から見積もりを取るのが良いでしょう。

そんな時には、【一括見積り】で、自動車保険を比較し、「自分のニーズにあった商品」を見つけたり、「ある程度保険会社を絞ること」が最も効率的でしょう。

愛車の価値を把握!無料一括査定

自分の愛車の「下取り価値」や「目線」も分からずに売却や交渉をすると損してしまいます!

高値で売るには、あなたの車がほしい買取店を見つける事も重要です。高い値段で車を買い取ってもらうには、今まさに「あなたの車を欲しい買取店」を見つける作業が重要なポイントの一つです。

そのためには、結果的にできるだけ多くの買取店から査定を受けることが重要でしょう

オンライン一括査定を行ってもすぐに売る必要はないため、とりあえず下取相場を把握するのが重要です。

事前にチェックしておきたい「自動車保険情報」

  1. 【専門家監修】独自分析!【2023年】自動車保険おすすめランキング
  2. 【専門家監修】煽り運転に自動車保険は適用される?おすすめ自動車保険・ドライブレコーダーの重要性について
  3. 【専門家監修】コロナ化で外出激減!自動車保険を見直す?見直さない?
  4. 【専門家監修】自動車にはどの燃料が一番おすすめ!?水素・電気・ガソリンを比較・分析!
  5. 【専門家監修】増加するウーバーイーツ配達員!知って備える!?賠償や怪我の補償
  6. 【専門家監修】楽天損保の自動車保険!口コミ・評判・サービス概要・特徴について
  7. 【専門家監修】雹や水没で被害!台風などの自然災害で自動車保険は適用される?
  8. 【専門家監修】車両料率クラスとは?2020年改定!自動車保険の型式別料率クラスの仕組み
  9. 【専門家監修】自動運転の事故の責任は誰?「自動運転」と「自動車保険」
  10. 【専門家監修】高齢者事故の原因と時間帯を考察!60代・70代以上におすすめの自動車保険
  11. 自動車盗難対策!盗難で自動車保険はいくら支払われる?自動車盗難の最新傾向と盗難対策をご紹介
  12. 【専門家監修】テレマティクス保険とは?メリット・デメリットを考える!

【Car Lounge】車情報サイト

車情報サイト「Car Lounge」

様々な車のモデル、新車情報や人気車種の情報が満載!中古車情報や車のお役立ち情報も沢山掲載されています。

気になる車や様々な情報をチェックしたい方、車情報サイト【Car Lounge】もチェックして下さい!

コメント

この記事へのコメントはありません。

コメントする