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体が不自由な方にとって、目的地まで歩くことなく行ける自動車は非常に便利です。
しかし、一方で車で目的地まで行けたとしても、その場に車を置きっぱなしにしていると、駐車違反の取締まりを受けてしまいます。
わざわざ違反を逃れるために、どこか駐車場を探して置きに行かなければならないとなると、結局長距離を歩く必要があり、利便性が失われてしまいます。
そこで、身体障害者の保護の為にあるのが、駐車禁止の取締まり受けなくて済む「駐車禁止除外指定車標章」です。
しかし、便利さ故にこの標章は偽造されたり障害者ではない方が転用したりと、悪用が横行しています。
ここでは「駐車禁止除外指定車標章」の説明から悪用した場合の罰則までを説明していきましょう。
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交付条件
歩行が困難な身体障害者は、実際に使っている車に対して、駐車禁止の標識がある場所や、パーキングメーター・パーキングチケット設備のある場所に駐車をしても、駐車違反の取締まりを受けなくなる「駐車禁止除外指定車標章」を交付してもらうことが出来ます。
もちろん、「骨折して一時的に歩けないから」、といった事情などでは交付を受けることは出来ません。
交付を受けることが出来る人は、視覚障害や聴覚障害などで重度の障害を持っている方に限られています。
対象者については「身体障害者等用除外標章交付対象者」(警視庁)に詳しく書かれているので参考にして下さい。
なお、標章を使用して駐車が出来るのは「標章を交付された人が、その車を運転しているor同乗している場合」に限られています。
標章は車と人に紐づけられる為、他の車に乗っている時はその標章を使うことは出来ませんので注意して下さい。
交付を受けるには?
標章の交付対象者の方は、最寄りの県警本部や警察署の交通課で手続きをすれば、2週間程度で標章の交付を受けることが出来ます。
なお、手続きには以下の書類等が必要になります。
- 申請書
- 身体障害者手帳とコピーを一部(※1)
- 住民票
- 印鑑
- 代理申請の場合は委任状
※1 身体障害者手帳には戦傷病者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳も含まれます。
ちなみに、標章の有効期限は発行後3年となっています。
更新時期が来たら更新を忘れない様にしましょう。
更新をせずに使っていると、駐車違反として取締まりを受けることになります。
駐車出来る場所と出来ない場所
標章の交付を受けたからといって、どこでも駐車してもいいか?というとそういう訳ではありません。
障害者とはいえ、ルールは守る必要があります。
標章があることで駐車違反の取締まりを受けなくなるのは、既に書いたように「駐車禁止の標識がある場所や、パーキングメーター・パーキングチケット設備のある場所」です。
これらの場所については、車のダッシュボードの上に標章を置いておくことで、自分の車が駐車禁止の取締まり対象から外れることになります。
一方で、交差点内や横断歩道の上、道路の右側といった、駐車禁止の標識の有無に関わらず法律上駐停車が禁止されている箇所については、たとえ標章があったとしても駐車してはいけません。
実際に駐車禁止除外にならない場所に止めると、標章があったとしても通常の方と同様に、駐車違反の取締まりを受けることになりますので注意して下さいね。
なお、警視庁のホームページで、駐車禁止除外とならない場所が分かりやすく例示がされているので参考にして下さい。
偽造した場合どうなる?
駐車禁止除外指定車標章は公安委員会が作成・発行する公的な文書です。
従って、これを偽造することは有印公文書偽造罪(刑法155条)に当たります。
そして捕まると「1年以上10年以下の懲役刑」が課されることになります。
一般的に、この標章はカラーコピーしてもすぐに偽造と分かる様に工夫がなされているので、偽造されること自体はあまり無いようです。
しかし、中には標章全体を偽造するのではなく、日付の部分だけ上から小さな紙を貼って、有効な日付の様に見せかけるといった手口もあります。
例として平成22年に上記の様な偽造手口を使った方が、有印公文書偽造罪で逮捕・起訴され懲役2年8ヶ月が言い渡されるという事例がありました。
障害者ではない方が使うと?
上記にある様に、標章は本人が運転するか、同乗するときにしか使うことが出来ません。
他の人に貸したり譲渡したりすると、公安委員会から標章の返納を命じられることがあります。
「家族とか友達だったら貸してもいいかな」と安易な気持ちで人に貸すと、後々障害者本人が困ることになるので、気をつけましょう。
また貸与や譲渡を受けた人が標章を使用しても、有効にはならないので通常通り駐車違反の取締まりを受けることになります。
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