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自動車事故対策機構(NASVA・ナスバ)は昭和48年に設立された自動車事故対策センター(平成15年に解散)の後を受け平成15年に設立されました。
自動車事故対策機構は「自動車事故の発生防止及び被害者の支援」を主な業務としています。
NASVAの役割に関しては大きく分けて以下の2つに分類する事が出来ます。
- 事故発生防止事業
- 被害者支援事業
NASVAの交通事故発生防止の為に行っている事業
自動車の安全性能に関する情報の公表
交通事故を防ぐ為に自動車ユーザーが安全な車を選びやすいようにする事及び自動車メーカーがより安全な車の開発を促進するために、市販されている自動車の安全性能を比較する試験を行い公表しています。
例えば、人形を載せた車を壁に正面から衝突させてみたり(フルラップ全面衝突試験)、車の半分だけ壁に衝突させてみたり(オフセット全面衝突試験)して、人形が受ける衝撃や車体、車内の変形度合いを車種毎に5段階で評価する試験を行っています。
その他にもブレーキ性能試験や電気自動車の衝突時の感電保護性能試験などいろんな安全性能に関する試験をしております。
また、自動車の性能に限らずチャイルドシートの安全性を評価する試験も行い、乗車する人の為に様々な試験を行い情報として公表しています。
車を購入しようとしている方は一度その車種の安全性を確かめるために情報を利用してみてはいかがですか?
参考サイト:「自動車事故対策機構」
安全運転を普及するために
事故を防ぐにはやはり安全運転が必要不可欠ですよね。
特に運転を業務としている場合は一日のほとんどが運転時間だったりします。
そのような運送事業者が会社として安全対策をするために自動車事故対策機構が行っている事を紹介していきます。
事業者を対象にした安全対策
■運行管理者等指導講習■
バスやタクシーやトラックなど運送事業を行っている自動車の安全な運行の為に、管理の実務や関係法令などの講習を実施して事故防止につなげるための講習を行っています。
■安全運転マネジメントサービス■
平成18年に法律上義務付けられた「運輸安全マネジメント」は、運送事業の経営者が安全向上を主導し、現場の安全に関わる情報を経営に反映させていくという制度ですが、経営者自身がどのようにやればいいかがわからないという問題がありました。
そこで自動車事故対策機構が運輸安全マネジメントをどのように経営に反映させていくのかをコンサルティングやセミナー・講習会等で経営者を支援しています。
運送業の運転者に対する安全対策
■運転者適正診断を実施■
ドライバーの性格や認知・処理機能など心理面と肉体面の特性を把握して安全運転のためのアドバイスを記載した適性診断票を発行する一般診断やカウンセラーや専門委員(大学教授など)が一般診断よりも精密に安全運転のためのアドバイスを行う特別診断などを行っています。
また事故を起こしたドライバーに対してなぜ事故が起こったのか、今後運転する上で何を気を付けるべきなのか等の助言・指導を行う診断も実施していますし、この適性診断を安全運転を指導する運行管理者がどのように役立てるべきかを助言する講座も実施しています。
自動車事故対策機構が行っている被害者支援
重度の後遺障害を負った人への介護料支給
自動車事故対策機構は交通事故によって重度の後遺障害を負った人へ介護に要する費用を支給する支援を行っています。
支給対象者は以下のとおりです。
- 自賠責保険等において常時及び随時介護が必要と等級認定された人
- 自損事故等により自賠責保険等で等級認定は受けていない人で自賠責保険において介護が必要と認定される後遺障害と同程度の障害を負い、かつ、事故後18ヶ月経過して症状固定とされた人
参考:「症状固定についてはこちら」
介護料として支給される金額は症状によって3種類(特Ⅰ種、Ⅰ種、Ⅱ種)に分けられ、毎年3、6、9、12月に3ヶ月分まとめて支給されます。
- 特Ⅰ種・・・68,440円~136,880円
- Ⅰ種・・・58,570円~108,000円
- Ⅱ種・・・29,290円~54,000円
介護サービス(デイサービスや訪問介護やホームヘルプサービス等)や介護用品(介護ベッドや介護用椅子など)の購入費用などが介護に要する費用となり、自己負担額に応じて介護料が支給されます。
支給額に満たない場合は最低額(特Ⅰ種なら68,440円)が支給されます。
自動車任意保険の人身障害補償保険では保険会社によって違いはありますが、介護を要する後遺障害を負った場合に将来の介護費用として保険金が支払われます。
人身障害補償保険の将来の介護費用と自動車事故対策機構の介護費用支給の違いは一括で支払われるか、月額(3ヶ月に1回支給)で支払われるかです。
人身傷害補償保険では常時介護が必要な場合には月16万円前後、随時介護が必要な場合には月8万円前後として計算し、平均余命年数表から該当する余命により支払う保険金を計算して一括で支払います。
例えば50才男性(随時介護16万円で計算)の場合は
16万円×12ヶ月×14.898(平均余命年数に相当するライプニッツ係数)=2,860万4,160円が一括で支払われる事になります。
参考:「人身傷害補償保険の詳細」
養護センターの運営も行っています
自動車事故対策機構は養護センターを設立し植物状態の後遺障害患者の治療・介護をしています。
現在全国で7箇所の養護センターを運営・委託しており、合計288の病床数があります。
植物状態の患者は家族にとっても患者にとっても養護センターのように24時間体制で介護にあたる施設が必要と考えられますが、植物状態の要看護患者は長期入院が一般的でまだまだ病床数が不足しているのが現状です。
今後はこの辺りの拡充も行っていって欲しいところですね。
以上、NASVAの役割でした。
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