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自動車保険でさえ任意保険は「任意」なのに、自転車保険が「加入義務化」されるようです。
もちろん自動車保険の場合には強制保険である自賠責保険への加入義務が有るので単純には比較できませんが、それでも「たかが自転車ごときで保険に加入しなければならないなんて!」という感想を持った人が大半ではないでしょうか。
今回、このように自転車保険への加入義務が叫ばれるようになった背景には【自転車の普及率の増加とそれに伴う事故件数の増加】があります。
自転車保有台数が増えれば、それだけ事故も増加する
自転車が有ると、近所のスーパー等色々なお店に気軽に足を運ぶことが出来るので非常に便利ですよね。近年では1万円以内で購入出来る自転車も数多くあります。このような安い自転車の登場は、各家庭での自転車保有台数にかなりの影響を与えていると考えられます。
- 地球環境のために脱自動車を図って、自転車に乗り換えた人
- 健康のため、交通費の節約のために自転車を利用する人
- そもそも自転車ブームが近年来ている事
また、安いという理由だけでなく上記のような理由も加わって自転車の保有台数が増加していると考えれます。少し、年代が古いのですが警視庁の資料を見ると自転車保有台数の増加傾向が分かります。
(出典:警視庁ー参考資料)
自転車を利用する人の数が増えれば、それだけ自転車事故の件数も増加する事は皆さんもお分かりでしょう。ま当然「自転車対自動車の事故」だけでなく、「自転車同士の事故」や「自転車対歩行者の事故」も比例して増加していきます。
事故の増加を防ぐ事が目的なら、自転車のルール違反に対しての罰則・罰金等を強化する事でも対応出来るのかもしれませんが、自転車利用者には子供も多く、ペナルティーだけでは満足な対応が出来ないと判断したことも「加入義務化」の要因ではないでしょうか。
そして、自転車保険を義務化する最大の理由が「損害賠償金額の高額化」です。
自転車事故でも1億円の賠償命令!?
以下、自転車事故における高額賠償命令の一覧です。
賠償金額 | 事故内容 |
---|---|
約9,521万円 | 小学生が時速20km超で60代女性に衝突し後遺障害を負った事故 |
約9,266万円 | 高校生と会社員の自転車同士の事故 |
約6,779万円 | 片手で下り坂を走行中に女性と衝突し、女性が死亡した事故 |
約5,438万円 | 信号無視をして交差点に進入し、女性と衝突し女性が死亡した事故 |
約4,043万円 | 高校生が信号無視をして横断中に、オートバイと衝突し運転手が死亡した事故 |
最高で9,521万円の賠償命令を始め、近年数千万円の賠償金額となる自転車事故が増加しています。何も保険に加入していない人が、このような高額賠償を遂行できる可能性は少ないでしょう。そこで、被害者救済の観点から「自転車保険の加入義務化の流れ」が加速していったのは間違い有りません。
兵庫県が加入義務化への先陣を切ったのは、損害賠償最高金額となった自転車事故が神戸で起きたからなのかもしれません。
なお、自転車保険の義務化の条例が制定されたとしても罰則はありません。罰則が重要では無く、義務化の条例を定める事によって「自転車事故の危険性・損害賠償責任の重要性・深刻性」を県民、特に自転車に乗る子供を持つ親に知ってもらう事が第一の狙いなのでは無いでしょうか。
加害者が若く、賠償額が高くなってきている
これ以外にも、数千万円単位の賠償額は多く発生している模様で、とても個人で支払える賠償額ではありません。自転車搭乗中のスマホ操作や無点灯、信号無視など過失がある場合には自動車事故と同様に賠償金額も高くなります。
学生が加害者になっている事故も多いので、本人だけでなく保護者も責任に問われます。子供任せにするのではなく、親がしっかりと自転車事故について考えないといけない時代ですね。
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